「【"青い入り江で観た儚き夢と、厳しい現実。”アメリカ養子縁組制度の瑕疵に対応していない、アメリカ司法、移民制度への怒りと、保守的なホワイトアメリカで生きるアジア系移民の怒りと哀しみを描いた作品。】」ブルー・バイユー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"青い入り江で観た儚き夢と、厳しい現実。”アメリカ養子縁組制度の瑕疵に対応していない、アメリカ司法、移民制度への怒りと、保守的なホワイトアメリカで生きるアジア系移民の怒りと哀しみを描いた作品。】
ー 今作で、監督・脚本・主演を務めた韓国系米国人のジャスティン・チョンの哀しき過去を背負って、米国に養子縁組で来たアントニオを演じる姿が、素晴らしい。
今作は、彼がエンドロールでも流れたアメリカ養子縁組制度の瑕疵をほったらかしにして、多くの家族を引き裂いたアメリカ司法制度、移民制度への怒りと、保守的な、ホワイトアメリカで生きるアジア系移民の遣る瀬無さと哀しみを描いた作品である。
◆感想 <Caution!内容に触れています。>
・全身タトゥのアントニオの哀しき過去を想起させる、劇中、屡描かれる、若き韓国女性の哀しき表情。
・アントニオの子を身籠ったシングルマザーキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と娘ジェニーとアントニオは貧しいながらも、楽しき生活を送っている。生意気ジェニーはアントニオに良く懐き、アントニオも実の子の様に可愛がっている。
- 元夫、白人警官のエースが頻繁に”娘に合わせろ”と迫って来るが、ジェニーは影に隠れてしまう。エースの相棒の太った白人警官デニーは明らかにレイシストである。-
・その幸せに突然降って湧いたアントニオにエースの相棒の太った白人警官デニーに絡まれた事で、明らかになった30年以上前の養父母による手続きの不備が発覚。国外追放命令を受け、二度とアメリカに戻れない危機が訪れる。
・金策に走り回るアントニオの前に現れたベトナム移民の女性パーカー。睡蓮のタトゥを手首に入れて貰う。
- ”睡蓮は、根が無いようだけれど、逞しいの。”
余命僅かなパーカーとアントニオ一家の交流。
アリシア・ヴィキャンデルが歌う”ブルー・バイユー”は沁みたなあ。-
・幼き日、養父母に盥回しにされたアントニオはバイクを盗んで裁判費用を作るも、生きていた養母を法廷に呼ぶ事を激しく拒否する。(養父から、虐待されていたのに、養母から守られなかった・・。)
・そして、劇中屡描かれる、若き韓国女性が幼きアントニオに行おうとしたことと、彼が自暴自棄になりバイクで、水中に飛び込むシーンの哀しきながらも美しきシンクロニシティである。
<ラストのアントニオの強制出国のシーンは切なすぎる。涙が出た。
そして、エースが実は、心優しき、良い男であったことも、嬉しき驚きであった。
再び書くが、今作は、彼がエンドロールでも流れたアメリカ養子縁組制度の瑕疵をほったらかしにして、多くの家族を引き裂いたアメリカ司法制度、移民制度への怒りと、保守的なホワイトアメリカで生きるアジア系移民の、遣る瀬無さと哀しみを描いた作品である。>
<2022年4月10日 刈谷日劇にて鑑賞>
コメントありがとうございました。
NOBUさんのレビューを拝見するたびに思うのは、とてもロマンチストであるということです。
私は、目の前に「先行きのない純愛」と「一億円」を差し出されたら迷わず「一億円」を手に一人で生きていく女でございます。
と言ったって最初っからそうだったわけでは全然なくて、私のティーンエイジャー期は、貧しさこそ美徳、金持ちは悪役 の時代だったので、迷わず貧乏男と手に手を取って生きてきた、、、間に親になり「やっぱお金大事やん」という真実に目覚め、知識や世の中の仕組みを学んでオトナになったという言い訳をさせていただき。。。。
夫亡き今、人生の終盤であることをひしひしと感じるこの頃なので、なおさらNOBUさんの少年のような無垢な心に触れると時に自分が煩悩にまみれた婆に思えてくる時があります。
今後も NOBUさんの初々しい精神に触れさせていただけるといいなあとしみじみ思いました。今後ともよろしくお願いいたします。
アリシアの「青い入江」めちゃくちゃ良かったですよね。もうすぐ、リンダ・ロンシュタットの映画もありますが、この映画のシーンでは、リンダ版よりアリシア版の方がシーンにハマりまくってて号泣ものでした。( ; ; )
母キャシーで娘ジェシーってよくある名前でどっちがどっちだったか非常に混乱しましたが、アリシアの娘と言っても納得のシドニー・コウォルスケがめちゃくちゃ可愛いくて切なくて良かったですね。^ ^