「ニコケイは200年後も変わらないクラシック音楽みたいな存在だ!!」PIG ピッグ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
ニコケイは200年後も変わらないクラシック音楽みたいな存在だ!!
だからカーステでラジオの解説なんて聞く必要ない!彼が本当に消さずに最後まで聴くべき=向き合うべきなのは…
大切な人を失った人々の再生への過程を描いた思いがけず深いドラマで、淡々と静かに沁み入る、いい映画だった ---「豚を強奪されたニコケイが…」とまで書くと、自ずと『マンディ/地獄のロードウォーリアー』のような壮絶なニコケイ(ハイテンション演技)フォーマット復讐劇を想像してニヤリとしてしまうハード・ニコケイファンも多いだろうが、そういう予想の斜め上というか、気持ちいい意味での肩透かしを食らう良作だった。『マンディ』とも『グランド・ジョー』とも違うけど、まさかの『ジョン・ウィック』ミーツ・テレ東深夜系グルメ(に付随する人と人との心の交流)ドラマからの『マネーボール』?
目を背け気丈に平然と振る舞ってきたのに突如襲いかかってくる哀しみ、喪失。その中で豚という存在は失くしたもの、取り返しのつかないものに対する一種代替/精神的支柱のようにも思えた。おまけに"形振り構わず自分の本当に好きなことをしろ"、という『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンみたいな普遍的メッセージを届けてくれるし、それは何よりある仕事から名の通る存在から一転、世俗から離れた暮らしを始めて、作中では形振り構わず、人の目など気にせず愛豚を探し回る主人公自身に言えること。つまりそれ自体が本作の根幹を貫くテーマの一つとも言える。けど、それが全てではなさそうな…。そんな余韻がエンドまで静かに沁み入る。
P.S. …とは書いたものの隣の席のお洒落ボーイが始終意味の分からないところで笑っていて怖かった。やっぱりクソ客マグネットなのかな
♪I'm on Fire / Bruce Springsteen