劇場公開日 2021年11月26日

「ラテンポップが彩るリン=マニュエル・ミランダらしさ全開な作品!!」ミラベルと魔法だらけの家 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ラテンポップが彩るリン=マニュエル・ミランダらしさ全開な作品!!

2022年1月20日
PCから投稿

『ハミルトン』『イン・ザ・ハイツ』『tick, tick… BOOM!: チック、チック…ブーン!』『ビーボ』と今年はかなり忙しかったリン=マニュエル・ミランダが、ディズニーとしては『モアナと伝説の海』に続いて音楽を手掛けたのが今作。

コロンビアが舞台ということで、現在Disney+でも配信開始されたということで、劇場で英語版1回、Disney+でスペイン語版を1回、日本語版を1回の合計3回観た結果、英語かスペイン語版で観ることをおすすめする。

日本語吹替えのクオリティが低いというわけではないのだが、今回の楽曲が全体的にラテンミュージックになっていることもあって、日本語だとラテンポップと上手くマッチできないのだ。

みんなが家から魔法(ギフト)が与えられる中で、ミラベルだけは魔法が使えないという疎外感があるものの、前向きなミラベルが家族の危機に立ち上がるという物語で、そこで描かれているのは、家系の呪縛、しきたりや固定概念といったもののメタファーとなっている。

大まかなプロットは、やはりディズニーらしく王道的ではあるのだが、近年の傾向として強い女性像というのは、今回も主張されている。

『モアナと伝説の海』のように、ミラベルには恋の相手というものが、そもそも存在しておらず、全体を通して独立した女性像、そして家族の大切さを描いている。

『ラーヤと龍の王国』のように一部例外的なものもあるが、ディズニーは基本的に、歌唱シーンが含まれているため、ミュージカルなのか、通常仕様に歌唱シーンがあるだけなのか、判別し辛い部分があるのだが、今作は間違いなくミュージカルであって、全編にリンのラテンポップなミュージックが敷き詰められている

英語版のミラベル役には『イン・ザ・ハイツ』にも出演していたステファニー・ベアトリスを起用しており、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のダイアン・ゲリロ、さらに『ムーランルージュ』のジョン・レグイザモといったラテン系の俳優を大勢起用していて、中でもキャロライナ・ガイタン、アンジー・セピーダ、マウロ・カスティージョ、マルーマなど、そのままスペイン語版にもシフトしているキャストもいる。

このように徹底的に歌えるラテン系俳優で固めていることもあって、ディズニー作品の中でも、音楽ひとつひとつのレベルが格段に高いといえる。

アカデミー賞はこれ一択でしょ......

バフィー吉川(Buffys Movie)