「役に立たない魔法が広げるファンタジーの世界。」ミラベルと魔法だらけの家 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
役に立たない魔法が広げるファンタジーの世界。
「モアナと伝説の海」のモアナと本作のミラベルとはイメージが重なる。モアナはポリネシア、ミラベルは南米コロンビアというエスニックな共通点を感じさせるが、自分で自分の道を切り拓くというディズニーらしいヒロインの性格が似ていて共感できる。家族皆が魔法の才能というギフトを「マドリガル」からもらっているのに、ミラベルだけが持っていないというハンディは彼女の行動の大きな原動力になっている。冒頭で彼女だけがギフトを持っていないことの辛さ、引け目、ねたましさと、力もちの姉ルイーサのギフトをもらったが故の辛さがミュージカルで対比される場面が印象的である。これで作品テーマのつかみはオッケーという感じである。「魔法の家」が崩壊の危機に直面した時、行動力を発揮して一番活躍したのはミラベルだった。それは彼女が魔法の力を持たない「普通の女の子」であり、家族を愛していたからに他ならない。この点が一番共感できる所である。
映画の作り方という点では、魔法でできた家と、そこからそれぞれ個性的な魔法の力を授かった家族という設定がまず面白い。力持ちのルイーサ以外あまり役に立ちそうにもない魔法なのもユーモアがきいている。それによってディズニーらしいファンタジーの見せ場がたっぷり展開されることになる。さらにそこに「モアナと伝説の海」で驚かされた映像美と、ラテンアメリカのソウルにあふれた歌と踊りが融合してとても楽しい作品になった。
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