「メガネを外した飯尾さんが凄く良かった」沈黙のパレード カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
メガネを外した飯尾さんが凄く良かった
原作未読。
道端で子供達と遊び、定食屋で常連と仲良くなり、地域のイベントに参加し、楽しそうにパレードの動画を撮り、打ち上げに参加する・・・。
年を重ねたからなのか、教授になったからなのか湯川博士の人間臭い一面がたくさん見れることができる作品。(反面キャラクター設定の崩壊が少し心配)
そう言った事からもこの街で起こった事件に対しての思い入れは普段以上に強くあるのだが、あくまで冷静に対応しようとするところはほんの少しだけ「ガリレオ」を維持できている感じと言うくらい変人ぶりは見当たらない。
草薙刑事にとっては因縁の犯人との再会になるのだが、置かれた状況と言動とのバランスが取れていないように見えるため共感することが出来ず、終始メンタルが落ちており警察官としての活躍も湯川博士にマルッと譲る格好となった。
湯川博士は増村の素性や、蓮沼の衣服に付いた血痕の理由などを突き止め、警察を超える捜査や推理でスーパーマンのような活躍ぶりを見せる一方、科学的な謎解きはそれほどではなく、お得意の道端に計算式を書くシーンも見られなかったので残念だった。
最も印象に残ったのは被害者の父親役のずんの飯尾さんで、悲しみとか怒りとかなんとも言えない複雑な気持ちが凄く良く表現されていた。
トム・ハンクス、ジム・キャリー、ロベルト・ベニーニなど悲劇を演じるとピタッとハマるコメディアンって国内外でも結構いるが、自分は被害者顔コメディアンと勝手に呼んでおり、飯尾さんは完全にこのカテゴリーに入るタイプだと思う。
自分がお薦めできる映画ではないが、福山さん、柴崎さんはたくさん画面に出てくるのでファンなら手放しで楽しめる映画だと思う。
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