「歴史的エロ吸血鬼映画」赤い唇 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史的エロ吸血鬼映画
1971年のベルギーの巨匠の映画が本邦初公開。
スイスから豪華な個室付き寝台列車でかるーい乗りのゴージャスなカップルがイギリスの男の実家に彼女を紹介しに向かう設定。何日かかるのか知りませんが、昼夜おかまいなくイチャイチャしっぱなしの場面から始まります。列車が故障で遅延し、イギリスへ渡る船に間に合わなくなると、ベルギーのオステンドの海辺沿いの老舗の豪華なホテルのロイヤルスイートに泊まることに。実家の母親はどんな女でも息子の相手に難癖つけるイカれた母親らしい。たぶん難癖つけて血を吸っちゃうのかな。心配する彼女には実家に電話すると言っておきながら、ホテルの接客係のおじさんには「繋がらなかったことにしろ」と書いた紙をそっと手渡す男。何を企んでいるのかよくわからないが、実家にいるのは吸血鬼っぽいキモいおじさん。監督のハリー・クメール自身らしい。出たがりなんですね。男も吸血鬼一族だったのかもしれませんが、ミイラ取りがミイラになった感じ。次の日、伯爵夫人が若い女性の付き人(Andrea Rau)を連れて訪れる。我慢できない付き人。ホテルのおじさんは長く勤めているが、ベルボーイの頃(40年前)に会ったことがあるが、その時とちっとも変わらないとハッキリと言う。しかし、それは母ではないですかとかわされる。吸血鬼は年取らない。一滴も血液を残さず、若さを保つために吸い取る相手と、レズビアンの相手として、ゾンビ的に残す相手と使い分ける耽美なエロス。ストーリーはとっ散らかっていますが、アバンギャルドな雰囲気で、Andrea Rau の蠱惑的な魅力がドストライクでした。ベランダから金髪女性を脅すシーンなども面白い。子供の頃に見たら、鼻血ブーでしたね。
再三繰り返される挿入曲が天地茂が出ていたサスペンスドラマチックで、時代を感じました。