「スケールアップした『SING』」SING シング ネクストステージ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
スケールアップした『SING』
一作目もマネージャーのバスター・ムーンが、落ちぶれた劇場を、仲間を集って立て直していくサクセス・ストーリーで、なかなか面白く印象に残る作品だった。その分、パート2となるとハードルも高いのではと思っていたが、そんな心配をよそに、題名通りの『ネクスト・ステージ』として、素敵なミュージカル・ムービーに仕上がっていた。
美しい色彩や動物たちの質感に至るディテールは、文句のつけようのない仕上がり。そして、それぞれの動物たちの歌やダンスも、確かにそれぞれの動物の特徴を捉えながらも、ヒューマンティックな表情や動きを表現している。
今回は吹き替えで鑑賞したが、吹き替えも、なかなか素晴らしい面々が揃った。前作からのバスター・ムーン役の内村光良をはじめに、MISIA、大橋卓弥(スキマスイッチ)、長澤まさみ、坂本真綾、大地真央、斎藤司(トレンディーエンジェル)に加え、今回の超目玉は、B'zの稲葉浩志が、往年のロック歌手の声優に初挑戦。なかなか渋い役所を演じ、素適な歌も披露してくれた。また、新たな仲間のポーシャ役に、アイナ・ジ・エンドが抜擢。フワちゃんが演じているのかと思うくらい、喋り方はよく似ていたが、ハスキーな歌声は流石だった。
ストーリーは、地方劇場で成功したバスターが、更なる高見を目指して、ラスベガスの様なショーの聖地『レッド・ショア・シティー』に乗り込んでいく物語。そこで、冷酷なショー・マネージャーのジミー・クリスタルに認められるために、一線を退いた往年のロックスターのクレイ・キャロウェイを、自分たちのショーに出演させることを約束するのだか…。
アニメ映画というよりは、本物のミュージカル映画とそのメイキング映像を観た感覚。ストーリーの起承転結もハッキリしていて、善玉と悪玉の人物構成…いや、動物構成もあり、感情移入もしやすい。そして、目玉のクレイの登場シーンは、感動すら覚えた。
いずれにしても、『ネクスト・ステージ』の名に相応しく、1作目を大きく上回るスケールとストーリーの面白さに、老若男女問わずに楽しめるミュージカル・エンターテイメント作品である。
字幕版もスカーレット・ヨハンソンやマシュー・マコノヒー等、魅力的な俳優が声優を担当しているので、観てみたい。