「「心配」とは利己的なもの」流浪の月 まかのさんの映画レビュー(感想・評価)
「心配」とは利己的なもの
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ただただ役者の演技力に圧巻された。表情、目線、息遣い全てが人物像を表しているようで、その人の感情や場面解釈において、いい意味で観客任せの映画だった。
人間誰しも、自分にとって、社会にとっての「異物」に嫌悪感を抱くものだろう。そこから理解しようとするか、排除しようとするかは関係性や期待度によって変わるだろうが。
だが、その言葉は真実を全て映し出せるものなのか。
「異物」の認識がどう影響するか。
「異物」認定された人の内情とは。
そのような点にスポットを当てたストーリーだと思った。
DVなど痛みにまつわるものであれば誰しもが後先考えず、駆けつけて心配する。
一方で性的嗜好や発育に対しては「正しいと思われるもの」を基準として、目を逸らしたり、拒絶してしまう。
周りがどう思おうが、本人が劣等感を抱いてしまえば誰にも相談できず、「外には出ていけないもの」として意識してしまう。
だが、エンタメや噂話ではそのようなネタを笑いものとして盛り上がるのだから、この文化は到底無くならないだろうと思う。
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