「色々と考えさせられました」流浪の月 haginoさんの映画レビュー(感想・評価)
色々と考えさせられました
オープニングでブランコを静かに漕ぐ少女。その目はどこか虚で、物憂げで、それでいてきれいだなあと思った。やがてベンチで赤毛のあんの本を読み、雨に降られてもなおそこを動かない。そこへ傘を差し出す男性。帰りたくないという少女に、うちに来る?と声をかけてついていく少女。
そのまま一緒に暮らす2人、少女役の玉季ちゃんがほんと良いなあと思った。
ただ、、ストーリーとしての違和感は残った。性的暴力を受けていた少女が、知らない男性に声をかけられるのは怖いと思う。ましてやついていって一緒に暮らすなんて、、。いくら家に帰りたくないと言っても、原因となったお兄さんとそう変わらない年齢なのでは、、?
しかも2ヶ月もしないうちに笑顔で笑えるとか、そんなすぐ相手を信用してトラウマから抜け出せるものかな?
2人が警察に保護された時、湖で更紗は水着を着て泳いでる、、いくら信用したとしてもちょっと警戒心なさすぎ。
大人になりすずちゃんになった時、これもまた違和感があった。大人になって恋人作って、同棲して、、ってできるもの? 役柄としては玉季ちゃんの方があってる感じはした。すずちゃんは個性が強くて、ほかの役やってもやっぱりすずちゃんだからかな、、。
そういうのは置いといたとして。
文と更紗は、お互い辛い過去を持ち、何も言わなくてもどこか通じるところがあって、心で繋がっているだけなのに、何を言っても周りには理解されないでいる。
何年か経って再開して、離れた方が良いことはわかっていても、あの時の心の拠り所を求めて、会わずにはいられない。誰にもわかってもらえなくても、2人がわかっていればそれでいいのに、周りのいろんな干渉が邪魔をする。
桃李が時々見せる表情が、誰?と思うほど違う人にも見えることがあった。自分は必要ないと母から切り捨てられ、大人になりきれない子供だった。
流星の演じる亮もまた不安を抱え、わかっていてもどうしようもない自分の心の葛藤を見事に演じていたと思う。最後のシーンが切なかった。
後半はほとんどずっと泣いてました。
みんな幸せになってほしい。原作読んでないので、読むとまた違うかもしれませんね。また読んでみよう。