「エドシーランを無駄遣いするほどのコメディ」レッド・ノーティス スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
エドシーランを無駄遣いするほどのコメディ
本作はあらすじのとおり、ドウェイン・ジョンソン演じるごつい見た目に似つかわしくない美術品専門の盗犯係のFBI捜査官がひょんなことからライアン・レイノルズ演じる世界「NO.2」の美術品ハンターであり、脱獄の常習犯でもある大泥棒と手を組み、世界最高の大泥棒「ビショップ」と
「クレオパトラの3つの卵」というインペリアルイースターエッグのような宝飾品の争奪戦を繰り広げるアクション・コメディである。
特に印象深かったのが、大泥棒ライアン・レイノルズのコメディ・リリーフっぷりだ。
彼のセリフや行動に思わずくすっと来てしまった。
また、それぞれが父親に対して歪んだ感情を抱いているという共通点。
追手やピンチを切り抜けながら、「お宝」へと近づいていく中で深まっていく2人の絆に少し感動しかけたが・・・
それすらも「フェイク」だったなんて、少しがっかりしたと同時に不覚にもまんまと騙された。
脚本家と一鑑賞者である私のコンゲームは見事作り手側の勝利に終わった。
また、「人を見たら泥棒と思え」はまさに真理だとつくづく感じたし、騙されてもダダでは起きないというしなやかさも見せてもらった。
この作品を総括すると
どうストーリーが締めくくられるのかというハラハラ感、劇中世界各地で繰り広げられる派手なアクション。散りばめられたユーモア。多少粗はあるが鑑賞者を騙す練り上げられた脚本。などなど特筆すべき点は多々ある。
しかしながら、さしずめスマートさにやや欠ける「ルパン三世」や「オーシャンズ11」(どちらかというとオーシャンズ12のストーリーと少しかぶるか?)を彷彿とする二番煎じ感があり、斬新さにやや欠けるか?
テンポはいいのだが、アクションなのか?コメディなのか?さらにいろいろ既知のテイストのものを詰め込み過ぎてどちらに振り切りたいのかどういう作品としたいのか判然としない部分が個人的にはあまり好きではない。
余談だが、この映画を配信している某動画配信サービス会社の10~12月期の決算は今一つだったと聞く。
しかし、作品に罪はないし、本作のようなスケールの大きな結末の読めない「迷作」をどんどんリリースしてほしい。