劇場公開日 2021年11月26日

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「ただのつまらないB級映画だった」ダーク・アンド・ウィケッド 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ただのつまらないB級映画だった

2021年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 登場人物の台詞の中に、何度も「イエス様」という言葉が出てくる。キリスト教の社会に生きるクリスチャンなら台詞の意味を理解できるのかもしれないが、無宗教の当方にはどうにもピンとこなかった。だからなのか、本来はおそろしいシーンと思われるシーンが、まるで怖くなかった。
 未知のものに対する恐怖は普遍的にある。特に死は、他人の死を通じて介在的にしか理解しようがないものだから、否応なしに恐怖の対象である。ホラー映画は登場人物に感情移入させることによって、介在的な死の恐怖を感じさせるものだ。
 ところが本作品は、姉にも弟にも感情移入が出来ない。もちろん母親にも看護婦にも、当然ながら何の感情移入も出来ない。それが当方の無宗教や想像力の不足によるのかもしれないが、言い訳を言えば、姉や弟の人となりや、前後の事情も何もわからないのだから、感情移入のしようがないとも言える。キリスト教圏のクリスチャンの観客にも、もしかしたら感情移入できない作品の可能性がある。
 という訳で、本作品のどのシーンにも死の恐怖を感じることが出来なかった。当方にとってはホラーでもなんでもなく、ただのつまらないB級映画だったということだ。

耶馬英彦