「これに懲りず、また製作して欲しい」グッバイ、ドン・グリーズ! よしさんの映画レビュー(感想・評価)
これに懲りず、また製作して欲しい
3人の少年達の一夏の冒険を描く物語。
アニメ史に残ると思われる「宇宙よりも遠い場所(通称「よりもい」)のスタッフが作成するオリジナルアニメですね。CMでもそれを盛んに喧伝していた作品でしたし、私もそれで注目をしていた作品でした。
ただ、映画の評価としては、比較されるのはマイナスになったようにも感じられる・・・そんな印象を持った作品でした。
コンセプトは「よりもい」と同じ。思春期真っ只中の高校生。周囲と馴染めず、夢や希望よりも、漠然とした不安が上回る主人公。その主人公と親友二人の少年が繰り広げる一夏の冒険を活写します。冒険の最中、思わず吐露する自らの悩み、それを上回る自然の壮大さの描き方等は見事でした。
作画は流石の映画クォリティ。ドローンで空撮された花火シーン等は感動的ですらあります。また、声優陣も本職を揃えていて、これも流石のクォリティ。
でも、映画としては、高い評価は難しいところです。
尺に合わせる為でしょうか?端折られている(?)部分が多く、それが物語を希薄にしてしまったように感じられます。
例えば、主人公のロウマとトトがハブにされている理由。それがあるのとないとでは、彼等への感情移入の仕方が変わってきます。
例えば、チボリ。彼女をもう少し描いていれば、比較してロウマの悩み、劣等感のようなものを、より描けたかもしれません。
そして、最大の理由はドロップなのでしょう。
三人の少年の物語だと思っていたのに、実際はロウマとトト・・・二人の成長譚。その二人の成長の糧に使われるのはドロップの命。それは、余りにも不釣り合いで戸惑いを覚えます。もっと厳しい言葉を使えば、感動の押し売りに感じられました。
制作側としてはドロップを「青春の幻影」のような描き方をしたかったのかもしれません。いきなり現れ、そして去っていくドロップ。抽象的で、実在を怪しむような描き方。それは成功しているようにも思いますが・・・それなら尚更「安易」に「死」という結末を選んで欲しくはありませんでした。
私的評価は、普通にしました。