劇場公開日 2022年2月18日

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「声優陣もマッドハウスもよい仕事しているが、実はニコンもがんばってる一作。」グッバイ、ドン・グリーズ! yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0声優陣もマッドハウスもよい仕事しているが、実はニコンもがんばってる一作。

2022年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作付き劇場長編アニメーションが活況を呈する中で、本作はオリジナル作品。主役のロウマの声を演じる花江夏樹はさすがのうまさ。ちょっと某有名キャラクターに被らなくもないけど。

森の小径を辿ってある「もの」を探して一晩の小冒険に旅立つ少年達の物語という、ポスターや予告編から想像できるとおり、『スタンド・バイ・ミー』(1986)を明らかに意識した筋立てで、そこにちょっとした不思議が加わっているあたりもキングっぽさがあります。オカルト要素はほぼないけど。

主人公、ロウマとトトが結成した「ドン・グリーズ」が一体どんなグループなのかといった「旅」の前提となる状況説明は、短くて断片的な回想シーンを除いてほぼ省略されており、そこは想像力で補う必要があるものの、描写の巧みさからか、わりとすんなりと彼らの状況を受け容れることができました。むしろすぐに冒険と、そのきっかけとなる事件が起きるので、展開の小気味よさが心地よく感じました。

もっとも本作の「謎」要素は、冷静に考えるといくらなんでも確率的にあり得ないだろう、と思うのですが、映画的な大風呂敷と考えると許容範囲かな、と。中盤までの展開で予想されていたよりもさらに先の展開まで含めていたのは、上映時間を考えると非常に驚きでした。恐らくここまで多様な要素を詰め込むために、前述した状況説明の省略が必須だったのでは、と感じました。

少年達に感情移入できれば楽しめる作品ですが、彼らの言動に少し距離を感じる観客にとっては「謎」の粗ばかりが目立って、結果作品を楽しめないまま終幕となる可能性もあります。公式ホームページではなんと期間公開ですが冒頭15分を無料公開しているため、ひとまずこちらを観て鑑賞するかどうかを決めるのも手でしょう。

ニコンがスポンサーのため、彼らの使うカメラとして実際に存在する機種が登場。いかにも写真好きな学生が少し背伸びして扱うカメラなチョイスに、妙なリアリティを感じたりして。

yui