「マイケル先生のお説教です」ハロウィン KILLS Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
マイケル先生のお説教です
業火の中からしれっと登場するブギーマンは神々しいレベルのインパクトがあったが、流石に不死身さには笑いが出てくる。撃たれても刺されても燃やされても死なないってどんなヤツだよ。
タイトルロールの出し方から既にクラシカルだったが、78年の第1作をなぞるかの様に描かれていく。思っていた以上に尺を使っていた為、やや過去作をリスペクトし過ぎな気がするが、評価の高い歴史的な第1作のファンからすると大興奮の一幕になるはずだ。前作の直後からスタートする本作は、少なくとも前作は観ていないと楽しむのは難しいと思う。従ってローリーの出番も今回は少なく、娘家族にバトンタッチした模様だ。近年のスラッシャームービーの最新作でオリジナル第1作のヒロインが復活するスタイルを流行らせるきっかけを作った前作よりかはそういった感動を感じることが出来なかったのは残念だと思う。だが、不死身のマイケル・マイヤーズは、最後の最後で今のアメリカを象徴する様な(あるいは全世界そのもの)存在であるという事を明確に示してくれる、誰よりも「人生の大先輩」のマイケル先生のお説教タイムとなる展開には驚かされた。マイケルに間違われた人物が武器を手にマイケルを殺さんと暴徒化した一般市民に追い詰められて投身自殺をするシーン。そこで主人公らは気づくのである。「怪物はマイケルではなく我々だ」と。そして、暴力を受ければ受けるほど強くなるマイケルは人々に巣食う闇そのものという事が描かれているのである。このシーンは鳥肌が立った。もはや天使しかマイケルを倒すことが出来ないではないか。ただの殺人鬼の存在がこんなテーマを投げかけて来るなんて・・・この世の中は怖いものである。