「trick-or-treaters。日本の若者たちよ、街で暴れるな」ハロウィン KILLS kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
trick-or-treaters。日本の若者たちよ、街で暴れるな
マイケル・マイヤーズの不死身っぷりは凄い!78年の回想シーンでは警官フランク・ホーキンスがマイケルに捕まった同僚ピートを助けようとして誤射してしまった悔恨の念を描いてましたが、ここでも銃を撃てども当たらない怪物。刺しても死なない、死んでも復活する・・・どんな存在なんだ!
映像はとにかく古めかしく、オープニングタイトルからとてもクラシック。ただし、スラッシャー映画としての血の量は凄まじいし、ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)の緊急手術映像も凝っていた。最近の映画にしてはトリッキーではないし、緊迫感を煽るような編集も施されていない。ホラー映画の怖さだけを求める観客にとってはつまらなく映るとも思う。過去作に精通しているファンの方ならば、かつて登場した人物が再び登場することにうれしく思うのかもしれません。
前作に引き続き、同じ2018年の10月31日の一日を描いているにもかかわらず、どことなく総集編みたいな雰囲気の散漫な印象も受けたのですが、終盤になってマイケル・マイヤーズの人物像や、ローリーが作ってしまった恐怖伝説について語られ、実はアメリカにおける人々の心の闇をも描いていることにハッとさせられた。
本来、ホラー映画というものは単に非日常の恐怖心を煽るものだったのに、コミカルな部分や社会派要素を含ませたりして多様化してきた。この作品でも誤射の隠蔽があったり、恐怖心や復讐心によって群衆が暴徒化したりして、病院のロックダウンまで引き起こしてしまうし、誤認により無関係の人間を死に追いやってしまったりする。つい、先日観た『モーリタニアン』を思い出してしまいました。
マイケル・マイヤーズ=ブギーマンは人間ではなく、人に巣食う闇そのもの。したがって、死んだとしても、さらに増大して人々に襲い掛かってくるのだという。アメリカの闇のメタファーとも言えるが、それは世界中どこでも共通している真理なのだろう。為政者は仮想敵国を作り上げ、市民に恐怖を植え付ける。そして軍備増強、政権維持、戦争準備・・・そんなことより、未知なるウイルスや自然災害に取り組みましょうよ。と、ここまで考えさせられた。
気になったビッグ・ジョンとリトル・ジョンの同性婚カップル(?)。彼らの最期が悲しかった。