異動辞令は音楽隊!のレビュー・感想・評価
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豊かなハーモニーと人間模様に満ちた骨太ドラマ
このオリジナル脚本による骨太作を面白く観た。序盤はシリアスな刑事モノ然として始まり、かと思えば、主人公の転属が決まると同じ警察内でありながらその職務や感情のベクトルの違う日々が展開していく。企画としてみるとそこには全く異なる二つのジャンルの融合と化学反応があるわけだが、実際の手触り的には全ては一人の人間の感情として緩やかにつながっていて、決してコミカルに振り切れることなく、滲み出る戸惑い、苛立ち、葛藤を丁寧に紡ぎ上げていく演出に魅せられた。
楽隊役のキャスト陣がいかに難易度の高いことをやっているかは一目瞭然で、とりわけ自分の楽器を体の一部の如くリズミカルに操りながら、そこに繊細な心の動きをも的確に乗せていく様は実に見事。演奏シーンにおける複雑なカメラワークからも作り手の本気度が伝わってくる。集団として呼吸を合わせつつ、個もしっかり輝かせる。彼らの奏でるハーモニー同様、気概に満ちた作品だ。
清野菜名の「嫌な奴!」は、“耳すま”つながりのネタ?
まずキャストが豪華。主人公・成瀬を演じる阿部寛を中心に、ベテランの倍賞美津子、六平直政と光石研、中堅の渋川清彦、といった個性的な名優が脇を固めるあたりはまあ順当だろう。だがさらに、清野菜名、高杉真宙、磯村勇斗、モトーラ世理奈、見上愛といった人気・実力ともに上昇中の若手たち(5人はみな映画やドラマで主演経験あり)を配した座組の贅沢なこと。モトーラ世理奈などは主要キャラとの絡みが少なく映っているシーンもわずかで気の毒なくらいだ。
内田英治監督が警察音楽隊のYouTube動画を見て着想を得たという本作は、犯罪者を追う刑事や警察組織内の人間関係を描く刑事ものと、演奏も心もばらばらなバンドが転機を経て絆をはぐくみ猛練習して名演を聴かせるまでになる音楽ものという、2つの定番サブジャンルを足し合わせた欲張りなドラマになっている。オリジナル脚本も手がけた内田監督の高い志は買うものの、いかんせん2時間弱の尺ではどちらの要素も十分に描き切れたとはいえず、物足りなさは否めない。
ただし、音楽隊メンバーの俳優らはほぼ全員が演奏未経験(例外は渋川清彦で、俳優業のほかにバンドでドラマーとして活動しているとか)だったにもかかわらず、阿部のドラムをはじめ各自が楽器を猛特訓し、演奏シーンの演技の吹き替え(手元の映像だけミュージシャンの実演に差し替えること)をしないレベルにまで上達したという。そんな俳優らの努力が、楽隊がまとまってきてからの演奏シーンの迫真性に貢献している。一方で、成瀬の娘を演じた見上愛は実際にバンドでギターを弾いた経験があるそうで、スタジオのシーンでは実際に彼女が演奏した音が使われたとか。
刑事ものの側面では、特殊詐欺を取り上げた現代性は評価するが、大詰めの捕り物ではコメディに寄せたことで、そこまでのリアルさ、シリアスさが損なわれてしまったのが惜しい。
主人公だけでなく脇の人物らもキャラが立っているので、将来は同じ世界観で(可能ならキャストも同じで)連続ドラマを作ったら良いのではと思う。近年増えている一話完結型のお仕事ドラマにして、毎回違う脇キャラにスポットを当てつつ、事件を解決したり、演奏がらみの波乱万丈があったり。映画と同じ筋をたどるのでもいいし、スピンオフ的な裏エピソードの積み重ねでも、後日談でもいい。俳優たちが苦労して習得した演奏スキルも活かせるし、映画で感じる物足りなさを解消してくれるのでは、と勝手に期待している。
とまあここまで、レビューの見出しと無関係な内容になってしまったが、テレビで見た本作を紹介する番組によると、ある場面で清野菜名が発する「嫌な奴!」は、もともと脚本になく、現場で急きょ追加されたという。清野は10月公開の実写版「耳をすませば」で月島雫役、そしてアニメ映画のほうで月島雫は天沢聖司に馬鹿にされて「ヤな奴、ヤな奴!」と怒る台詞がよく知られる。“耳すま”つながりを意識して入れたネタだとしたら、ちょっと楽しい。
警察音楽隊を侮るなかれ
犯罪撲滅のために人生を捧げてきた鬼刑事が、その熱意ゆえに周囲と折り合いを付けられず、挙句、辞令をもらった先が警察音楽隊だった!?そこまでの展開も、それからのアレコレも、ある程度想定内に進む物語を、細部に気持ちがこもった内田英治(監督&脚本)の構成力で見せていく。後押しするのは、もはや、武骨者が持ち役となった阿部寛の熱演だ。
急いで人生を生きようとすると決して見えてこない、組織の隅っこや社会の盲点が、主人公の目を通して浮かび上がってくるスローライフのすすめ。内田監督をはじめとする『ミッドナイトスワン』チームが、またしてもオリジナルの強みを示してくれた。今の日本に必要なのは、こんな優しい視点なのかもしれない。
そして、警察音楽隊を侮るなかれ。筆者は偶然、昨年9月に88歳で亡くなったフランスの国民的名優、ジャン=ポール・ベルモンドの国葬で、棺が担がれて行く際に、フランス軍楽隊がベルモンドの代表作『プロフェッショナル』のテーマを演奏し始めた途端、葬儀に列席していたVIPや一般ファンが号泣する様子を見ていたので、この設定がリアルに響いたのだった。
ブラバンファン、刑事ドラマ好きの
どちらにも不満足な出来では。
演出、脚本が…適当に感じられ、作品作りに…何というか、熱意が感じられにくい。
何か、制作側で軋轢とか衝突とかがあったのかも知らない。
次回を期待
ネガティブな空気が苦手だった!!
出だしの詐欺シーンが上手かったです。音楽隊のメンバーや組織までもが隊の活動にネガティブで、楽しい気持ちになりません。誰か隊を大事にして愛してあげて下さい。後半も同じ調子で息苦しいです。このようなお仕事映画は、やはり矢口史靖監督が数段上手いと思いました。楽しい音楽も、「音が苦」に感じました。
音楽はどこでもできる…
仕事もそうだと思う。パワハラ全盛、昔取った杵柄、独り善がりな古き刑事が部下の告発によって音楽隊へ異動。私生活でも妻に出ていかれ、痴呆の母と娘との暮らしで上手くいってない。最初は音楽隊を馬鹿にしていたが、同僚と知り合ううちに、助けられ、協調性、仲間の大切さを知る。今与えられた場所、仕事を一生懸命やる。サラリーマンの応援劇のようにも思えた。阿部寛の変わりゆく様が良かった。
演技力が素晴らしい
本当は今日、フェラーリを観に行く予定でしたが、流行り病になってしまい、都知事選にも行けなかった。
木曜日まで自宅待機なので、1日1本観たいなぁと思ったしだい。
たぶん今月から無料になったので、早速鑑賞。
U-NEXTのポイントは全て漫画で利用するので、
基本無料作品を観ている。
内容は倍賞美津子さんが良い感じでした。
護られなかった者たちへも良かったですが、こちらも良かったです。
警察官が犯人にやられちゃったり
ちょっとあり得ない設定もありましたが、
全体的には良かったです。
エンドタイトルは定演の続きにして欲しかった
Netflixで視聴
阿部ちゃんが最高にかっこいい映画。大好きです。
最初の成瀬と最後の成瀬、内面外面の変化がすごく良かった。
成瀬の急激なドラム成長ぶりは置いといてもとても楽しめる映画でした。
定演オープニングのインザムードの演出がすごく良かったので
その続きをエンドタイトルで歌ではなく県警の演奏を続けてくれたら
最高の映画だったのにと思ったのでした。
アウトレイジで始まって、幼児向け番組みたいに終わる
大好きな阿部寛さん主演の作品なので、息子達が見れる作品かなと思って妻と視聴したが、これはオススメできなかった。
序盤はバイオレンスな展開で始まり、最後は冗談みたいに薄っぺらい終わり方。最後の「こいつが星だ!」は流石に笑った。
主人公の会心を見せる為とはいえ、序盤にバイオレンスな流血させる。話を盛り上げる為に老人を亡くならせる。いずれも、ちょっとチープ過ぎではなかろうか。いっそのこと、最初から最後まで後半の軽いノリの方がまだ見どころがあったと思う。
予想通りの内容。清野菜名の演技が映える。
コンプラ無視の刑事が、左遷された部署は音楽隊だった。
音楽隊は左遷先の如く、あまりパッとしない設定だったけど、なんか極端な描き方だし、潰されそうになるなど、ちょっと脚色しすぎでは?というほどの内容。刑事課の仲間も悪く描きすぎでしょ。いくらなんでも。
わかりやすくしてるつもりなんでしょうが、あまり意外性もなく脚本としては凡庸。つまらないとさえ言える。
主人公が改心するのもなんかあっさりしてるし、音楽隊としてのカタルシスがあまりなく、犯人を捕まえてカタルシスってのも、結局音楽隊はおまけ的な印象にしかならない。また、刑事課に仮に戻れるとしたら主人公は戻るのか、音楽隊に意味を見出したので戻らないのか、それも回答はなく漠然としている。音楽隊の魅力があまり描かれてなくてかなり浅い。
ただ、清野菜名の演技はすごくよくて、清野菜名が好きになった。これからの活躍に期待してます。この映画は清野菜名のためにあるような映画だと思えるし、そのためだけでも価値がある映画とも言える。
☆☆☆★★★ 意外と悪くない 監督自らの原作は読了済み。 原作自体...
☆☆☆★★★
意外と悪くない
監督自らの原作は読了済み。
原作自体は、読んでいて面白いとは感じなかった。
最早、手垢の付き捲ってしまった内容で。途中のストーリーから、最後の展開にいたるまで。その予定調和っぷり、登場人物等のステレオタイプには、「これ絶対に面白くなる気がしないな!」…と。読了はしたものの、どうにも観に行く気持ちが、、、
結果、、、「あれ?悪くない…」
これは多分ですが、俳優陣の演技力にそれぞれ説得力が有ったから…と言えないだろうか。
楽団員のみんなが。警察とゆう組織の中で、【単なる意味のない駒】として存在している事に納得していない。
そんな煮え切らない心の苛立ち等が、絶妙な塩梅で伝わって来る。
よって、この高得点は全て出演者の方々に捧げています。
中でも特に良かったのが、磯村勇斗と光石研。
磯村勇斗は、ここ最近実力度が上がって来ているので、ちょっと目が離せなくなって来た。
光石研に関しては、もう何も言うことなし。
どんな役を演じていても、安心して観ていられる。
この作品でも、一見すると人当たりの良さそうな上司に見えつつ。終盤と最後の最後に見せる手のひら返しを、更にもう一度、速攻で手のひら返しさせてしまう辺り。こちらは知っていたのに、その演技による絶妙な間合いで唸ってしまう。
あれ?それって監督の演出力の賜物?
でも、、、この監督だと、前作の『ミッドナイト・スワン』等を観ても、そこまでは…とは思うのだけどなぁ〜💧
あまりの予定調和っぷりに、賛否は別れそうな気はします。特に(ハリウッドの、お金に糸目をつけない大作系が好きな)若い人には受けが悪そうな感じでしょうか?
最後に、阿部寛に関して一言だけ。
ここ最近、阿部寛が、何を演じても阿部寛になり始めていて、少しだけ心配になっている。
2022年 9月3日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン2
音楽隊、やるなあ~
演技とは言え六平直政には腹が立つ。
どこにでもおるんやろけど。こんな奴。
其れより腹立ったのは左遷させた偉いさん、おまけに音楽隊を廃止に追い込もうとしてたのにさらに上の偉いさんが絶賛したら、すぐに考え変えて絶賛する。まるでカメレオンのように。
そんな奴がいるからこの映画が成り立っているような気がする。
認知症の親、親子断絶、パワハラ、シングルマザー、悪徳詐欺など身近に感じる社会問題も盛り込んで逢ってうまく構成されていた。
楽器演奏は人数が増えていくほど難しくなるのによほど練習されたのだなと言うのが伝わってきて感動した。
警察の音楽隊は何度か聞く機会があったがいつも、「音楽する時間があるなら犯罪者捕まえに行けよ」と思っていたが兼任の人も多く音楽の功罪を改めて知ることになった。
自分もおっさんおばさんバンドしてるくせに今更音楽の良さに気づかされるとは。
この映画観て良かった。いや、ホンマ
コメディっぽいけどそんなにコメディではない
笑えるところはもちろんあるけれど、思ったほどコメディ作品ではなく意外と真面目でシリアスな作品だった。
印象的で、かつ笑えたのは、若者からドラムセットを譲られるシーンだ。
バンドマン風の若者は「就職するんで。大人にならなきゃ」と言う。譲られる阿部寛演じる成瀬は大人になるために音楽を始めるわけだ。
このシーンからも分かるように「大人になる」ってことについての物語だったかなと思う。
大人になるとは色々あるだろうが、本作では、自分のことばかりではなく、あとに繋げる、伝える、誰かのために頑張る、という継承についてだったかと思う。
自分のことだけでなく、誰かのためにというのは「大人になる」の内に含まれていると思うんだよね。特に相手が我が子だったりすればなおさらだし、そこから派生して、親の気持ちを知るというのも「大人になる」一歩だといえる。
後進を育てる。先達の真似をする。先達に報いる。全ては繋がっているように思える。
磯村勇斗は好きな役者だけど、今回も良かった。最後に全部持ってかれた気がする泣きは本当に良かった。
ベタだけどいい作品
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現場たたき上げの刑事・阿部だが、告発があって音楽隊に異動。
正義感が強過ぎて、パワハラ・暴力の傾向があったため。
少年時代に和太鼓をしてたことで、ドラム担当になった。
そこで清野らと出会い、チームワークの大切さを知る。
ところが偉いさんの方針で、音楽隊を廃止する方向に。
そんな折かつての部下の機転で、阿部がかつて追ってた犯人を、
音楽活動中に音楽隊の手で逮捕することに成功。
知事がそれに感動し、音楽隊は継続となる。
でそのかつての部下が、安倍を告発したのは自分と告白。
人として成長してた阿部は、許す。
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まあかなりベタな内容ではあるが、終始涙が止まらず。
こんな昭和みたいな熱血刑事、いねーわってツッコみたくなるが、
まあそれもこの作品の味だろう。
刑事時代は忙し過ぎて娘のバンド活動に何の興味も持てなかったが、
音楽隊になってからは共にセッションする機会を得たりもした。
向いてないと思われた仕事が意外と向いてた、典型例だろう。
安倍のドラム姿、なかなかサマになってたな。
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