コレクティブ 国家の嘘のレビュー・感想・評価
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構成が練られたノンフィクション。だからこそラストはやるせない。
◯作品全体
ノンフィクションのドキュメンタリー映画だけど冗長に物事を映すのではなく、しっかりと構成が練られていると感じた。
発端はライブハウス火災から浮き彫りになった医療体制の不備。希釈された消毒液による感染症の重傷者や死者の増加、という構図は非常にわかりやすい。作品序盤の被写体は実際の被害者やその家族が多く、市民が一番悲惨な目に遭っていることを印象付ける。
こうした実被害はいわば「公」の、地上で発生する被害だ。それに対して悪の根源は地下に眠っており、公的機関が隠し続ける悪しき秩序が語られる。この加害と被害の関係性があまりにも救いようがなく、辛い。
スポーツ紙のスキャンダル記事では消毒液の希釈が病院や業者の私益へと繋がり、医療と政界の腐敗が露見する。冒頭で映される「明確な被害」と打って変わって、闇の中で絡み合った「複雑な加害」。前保険相や病院理事長といったわかりやすい悪役は登場するが、彼らだけを消毒したところで政治腐敗という感染症は収まらず、新たに過半数を獲得した野党や国内での移植手術を強硬的に訴える市長、移植手術を可能と話す病院からは、その悪魔的な感染の気配が残ったままだ。
正義感のある新保健相はマスコミや旧態依然とした勢力と対立するものの、停滞するルーマニアに正面から向き合う姿が印象的だ。絶望的な状況を切り開く、作品の起承転結の「転」にあたるキーパーソンだが、そう易々とハッピーエンドにならないのがノンフィクション映画の味というべきだろうか。既得権益を奪おうとする新保健相に味方する物は少なく、世論は必ずしも評価してくれない。一筋縄ではいかない現状の歯がゆさがフィクションとは異なる重苦しさを感じさせた。
ラスト、火災事故によって家族を亡くした人たちの墓参りのシーンは、突如無音とブラックアウトで終わる。空元気で希望の歌を歌う遺族を絶望へと叩き落とすような、容赦のないラストカット。「国家の嘘」が露見しても、根絶していないこの状況を如実に表す演出だ。地上での明確な苦しみと、地下での複雑で醜悪な腐敗。苦しさのコントラストが鈍く突き刺さる作品だった。
○カメラワークとか
・フォーカスの甘いカット、フォーカスがカット内で動くカットはドキュメンタリー感が強く出るけど、ちょっとステレオタイプな画面作りに見えてしまった。やむなく、意図的ではないにしろ。
◯その他
・マスコミの話を遮って聞きたいことだけガンガン被せてくるのは万国共通なのかな。前保健相は確かに質問をはぐらかしているけれど、その中身の無さよりも言いたいことだけ言いたいタイミングで言うマスコミの遮り方にイラっときた。
新保健相になぜ国内で移植手術を認可しないのか、と話を遮って詰め寄るマスコミは最悪だった。自分の主張だけを感情的に話して、相手に思案する時間すらくれない。そのくせ認可をしない理由を改めての記者会見で話すとなにも言わずにメモを取る。ずるいなあ。
無力感や寂寥感に正面から向き合った作り手の姿勢に拍手
実際に起きたライブハウスの火災から始まり、最初は問題の核が見えづらいが、次第に国家の腐敗についてのドキュメンタリーだとわかってくる。汚職、癒着、国民の無関心、日本人としても耳に痛いことばかりだが、その内容以上に、映画的表現が冴え渡っていて、酷い現実を描いているのにやたらと面白く、見惚れてしまう。
よくこんなところまで取材できたなと驚くのだが、これほどに政府側の大臣が協力してくれた例も珍しかろう。取材側の熱意と取材される側の強い思いが偶然に重なったことで、製作陣も予想していなかった広がりが生まれたのではないか。
編集もまるで劇映画のように決まりまくっていて、ソダーバーグが監督、撮影、編集を手がけた実録映画のよう。ラストの救われない宙ぶらりんな気持ちも含めて、非常に説得力があり、心の底から奇跡みたいな映画だと思っている。
無力なのか…
無法地帯ルーマニア…結局、メディアや新大臣一人の奮闘でも、巨大政党の圧力は覆らなかった。病院組織と政治の癒着が酷すぎるルーマニア。それが原因で多くの人が命を落としている。病院て、命を守るところなのに。。これ以外でもあらゆる業界で腐っていそうだ。こうした政治を変える手段である選挙の投票率の低さが残念だが、政治への無関心、これは日本も同じだ。
凄まじいドキュメンタリー
2015年10月30日、ルーマニアの首都ブカレストのライブハウス、コレクティブ・クラブで起きた火災で多くの死傷者を出した事故が始まり、火災はハードロックバンドが演出に使った電気花火の火が天井裏の防音材に引火、防音材は経費削減の為不燃のグラスウールでなく綿だったので一気に燃え広がった。定員80人のクラブになんと300人も入っており、非常口も無く一つしかない出入り口に人が殺到し多くの人が逃げ遅れた。こんな消防法、建築基準法にも満たないクラブが営業できていたのも市長をはじめとする腐敗政治のツケなのだが本題は被災者の収容された病院での大量死であった。不審に思ったスポーツ・タブロイドの記者が調査を始める。
病院関係者の内部告発などから死因は火傷では無く緑膿菌による院内感染、さらに調査を進めると病院に収められていた消毒薬が10倍に薄められた粗悪品だったことが判明、さらに渦中の薬品会社の社長が謎の突然死・・。
前半は記者カタリン・トロンタンの調査報道を追っています、なぜ主要なマスコミが機能せず弱小なスポーツ紙だったかは、これまた政府への忖度でマスコミが動けなかったということです。ことほど左様にルーマニアの社会腐敗は深刻を極めています。
映画の後半は民主運動で厚生大臣が辞職、あらたに野党から新大臣に任命されたヴラド・ヴォイクレスク氏が改革に着手、様々な妨害に遭いながらトロンタンと力を合わせて戦う様を追ってゆきます。
あまりに酷い腐敗ぶりですが国民の政治への無関心が招く長期政権の弊害などは対岸の火事とも言えぬ怖さを感じます、凄まじいドキュメンタリーでした。
2015年10月、ルーマニアのライブハウス「コレクティブ」で火災が...
2015年10月、ルーマニアのライブハウス「コレクティブ」で火災が発生。
20名を超える死者が発生する大惨事となった。
しかし、事件はそれで終わらず、病院に搬送された負傷者たちが次々と死亡することとなった。
病院で死亡した遺族たちは政府に対して声を上げるが、政府は医療体制に問題はないと繰り返すのみ。
この状況を異常に感じたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」は真相究明に乗り出す。
あきらかになってきた事実は驚愕すべきものだった・・・
といったところからはじまる映画で、病院で使用されていた消毒薬が基準の10分の1以下に希釈されており、死亡者は火傷によって死亡したのではなく、二次的な感染症で死亡していたことが明らかになる。
さらに病院内での看護も不十分で、ベッドで横たわる患者の包帯の下では蛆が湧いていたりもする(映像として残されている)。
あまりのショッキングさで、観ていて声も出ない。
このスポーツ新聞の記者たちの活躍が前半で、現政権は倒れ、新政権が発足、映画後半は若き新保健大臣の活躍が描かれる。
新保健相によって明らかになったのは、政治資金の不正な流れで、国立病院の運営資金が不正に使用されていることである。
国民の生命と健康を守るべき病院トップが金の亡者であり、国から出ている金を個人で使用している・・・
うーむ、これはルーマニアだけのことではないかも・・・と感じていると、当然のことながら、既得権益を守ろうとする輩が登場し、それが首都の市長だったりする。
新保健相が、病院人事の刷新を図ろうと、人事に関する新法を立案しようとすると、新保健相の過去経歴(一時、ウィーン在住だった)ことを利用して、国立病院のトップにウィーンの医師を当てようとしている、国益を損なう行為だとしてネガティブキャンペーンを張って来る。
このあたりの政治のドロドロ感は、他所事ではありませんね。
いずこも同じ、ドロドロ感。
市民が置き去りにならなければいいが・・・
と思っている矢先、ネガティブキャンペーンの効果か、総選挙で勝ったのは以前の政権党。
まるで悪夢を見ているようだ。
これが夢なら醒めてほしい。
いやいや、現実の方が悪夢より恐ろしいのかもしれません。
無力感と向き合いながらも問いかけるもの
発端は基準より大幅に希釈した消毒液だった。
ライブハウス「コレクティブ」で多数の人間が大火傷を負い、担ぎ込まれた大病院で助かるどころか続々死者が出たことから、メディアが原因を究明するところから物語は始まる。
制作陣は、これは大事になると予感したのだろうか。よくぞ早くから密着してカメラを回したものだと思う。
調べるとその消毒液はビッグファーマからの賄賂授受で国内ほぼ全ての大病院に納品されており、更に病院は倹約のため消毒液を薄めてきた。結果、基準より10倍近くも薄められ、成分を再検査すると殺菌できる細菌はたったの四つで、さらに消毒液に抗生物質のきかない細菌が混じっていた。
調べれば調べるほど、保健相や大学病院、雪だるま式に汚職の暴露につながっていき、最終的には国家や法そのものをどうにかしないといけない話になっていく。ことの大きさに、正義感あふれる新大臣も、ジャーナリストたちも、どこから手を着ければいいのかと茫然自失として映像は終わる。
口封じとしか思えない、製薬会社の社長の交通事故死。
ウジのわいた患者の顔に布をかける医者。
臭い物に蓋をする政治家と病院。
内部告発した看護師が吐き捨てる。
「医者はすでに人間ではないのです」と。
なぜ25年も見過ごされてきたのか?と新大臣が嘆くが、汚職に無関係の人が事態に気がついたとしても、見て見ぬふりが続いてきたのだろう。
その小さな見過ごしが雪だるま式に大きな悪事になってしまう。一人一人の面倒なことに巻き込まれたくないという保身が、大きな歪みとなって跳ね返ってくる。
新聞記者は、人間は権力側に回ると腐敗するものだから、市民は権力が暴走しないよう監視しなければいけないと語る。
デモのスローガン「無関心は悪」。それが一番の根幹なのかもしれない。
『腐敗は続くよ何処までも』(ルーマニア版)
①権力を恐れず報道を続けるジャーナリスト達、勇気を奮い起こして不正を告発した医療関係者達、妨害にも屈せず政治家=病院=製薬会社の癒着と贈賄とを追求した新保健相、彼らの奮闘にも関わらず結局何も変わらなかったという結末に驚いた。上記の人達(特に告発した人達)はその後大丈夫だったかと心配になる。②それでもこのドキュメンタリーが優れているのは、単に「ルーマニアでこんな事があったんですよ。怖いですねぇ。」というだけの話ではなくて、世界各国の政治・報道・企業・国民生活等にあまねく存在する普遍的な問題を私達に突き付けるから。
選挙後でも遅くない、見て!
ライブハウス火災事件をきっかけに、病院の不正行為を暴く、、、というシンプルな内容かと。
いや違う。
不正を暴いた記者から主人公はルーマニア政府保健相へと変わり、最後は人命よりも賄賂や権力を優先する超絶腐敗政府へと話が広がる。
マジで腐ってんな、この国、、、
日本はどうだ?色々考えさせられる。
選挙に行こう。
予告編を見ずに(=ほとんど予備知識なしで)観た。スタートのライブハウスでの火災の映像がものすごくリアルだと思ったら本当にド偶然現場で撮られた映像とのことだった。それ以降もドキュメンタリーとのことだったが100%納得しかねる。どう考えてもカメラが入れないはずの数人での会議まで撮られているのは、やはり純粋なドキュメンタリー映画ではないということなのだろう。そういう疑念は残るが面白い映画だった。スポーツ新聞の編集者といい若い保健相(当時はまだ36歳)といい素晴らしいキャラクター。ルーマニアの現状を見て感じたのは政治に関してははるかに日本の方がマシだがメデイアは逆であるということ。とにかく今回も選挙に行こう。民主主義を守らなくてはいけない。
マスコミの役割とは
選挙の時期に観に行った。
権力は監視していないと腐敗していくってよく言われるが、マスコミがマスゴミでない国に限る話だろうと思った。
世論を誘導するからこそ、自分の利益に基づく正義を振りかざしている記事,意見でないかという部分もちゃんと見極めていないとならないと感じた。
組織の中で正しい事を言う事の難しさを思い出させられた。
直属の上司(中間管理職)が実は一番クソまみれという、、、
皆さんお元気だろうか
役者は1人もいないわけだけど、だからこそなのかキャスティングがドンピシャ。(何いってるかわからなくなるが)悪いヤツは見事に悪い風貌だし。
事実だけに厳しすぎるがこれが映画にできるのはまた凄い。(悪いヤツ以外)皆さんお元気であります様に。
映画のモノガタリの巧みさ
この映画は、いわゆる映画の物語の中では「第二幕」でラストシーンを迎える
つまり第三幕は僕らが現実でするべきことになる
この映画の後に、少しでも世界の見え方が変わって、そして行動、つまりは投票してくれる若者が増えれば良いな
と思わざるを得ない
素晴らしい映画です
それだけで終わらせてはいけない
これがドキュメンタリーだということ
映画館で予告を見てからずっと気になって、ようやく観れました。
これが1日一回の上映なのも、上映館が限られてるのも惜しい。
こんなに至近距離で大臣が内輪の参謀達と話してるところや、親御さんとの会話、何よりことの発端となる火災の映像も、火傷の痕を見せることでこのことを有耶無耶にしたくない意思を示す綺麗な女性も、みんな本物なのか!
この日本も同じようなものだとレビューにあるが、そうかもしれないけど平和ボケの私には日本はここまで腐ってないという気持ちがある。
もちろん似たように長期政権で起こり得る既得権益を貪るなどはあるにしても。
そして製薬関連の仕事をしているので、自社の製品をこんな悪質にして外に出すことなんてマジあり得ない。
日本の場合は企業が直接病院に納品はしない(卸業者がいる)こともあるけど。
病院も院内感染こんなに隠蔽して。
ちゃんと殺菌消毒してたって院内感染は起こるというのに、故意に希釈って、よくそんなことを思いつくもんだと思う。
物資が不足している戦時下の話ではなく、5、6年前の話というのが心底呆れてしまう。
逃げた保健相の代わりに暫定的に保健相となり、本当に頑張っている姿にたいへん心打たれた。すごいと思った。
周りの政務官?は大臣が方策を考えるのではなく、上がってくるものを認否判断すればいい、と言うところ、こういう旧態然としたところがそもそもダメなんだよ。お前こそ、上司である大臣に合わせて動くのが仕事だからな!と叱り飛ばしたい気持ち。
結末も私はこぞって投票所が大混雑大行列になるのかと思った。なのに…
希望の光は視線の先にあるのか、双眼鏡で見ても遥か遠くなのではないか。
この作品は膨大な撮影を本当にうまくまとめられて素晴らしい映画になっている。
自由な報道の意味
ルーマニアで火災事故の熱傷患者が院内感染により大量死した事件は、スポーツ紙の調査報道により、国の説明の偽瞞と、その背後にある国全体の医療体制をめぐる構造的な腐敗の闇に行き当たる。新任のNGO出身の保健相は改革を期して、守旧派の多くの妨害の中、政令改正までたどり着くが……。
カメラは主にスポーツ紙記者と保健相に密着してストーリーを形づくる。ドキュメンタリーだが制作側の立ち位置は明確に既得権益側を批判的に描いている。記者が、また制作者が見ているのが真実の一面だけかもしれないという点には留意が必要だろう。
実際、劇の終盤で保健相は、政治家に外国(彼が以前いたウィーンの医療界)との癒着を示唆され、彼が国の医療を外国に売り渡そうとしていると攻撃される。また、消毒液製造業者(不正に薄めた液を納品し感染拡大の原因と目された)が不審な事故死を遂げ、公式に自殺と発表されると、疑惑を追求していた記者は「報道が彼を殺した」と責められる。(これらの点について劇中、深堀りはされない)
それでも記者が述べた(記憶が正確ではないが)「報道が黙れば国家は国民を攻撃する。記事を読むことが、国民が国家との関係を考えるきっかけとなる」旨の言葉には感情の高まりを禁じ得なかった。
劇の終わり、総選挙で現政権は大敗し、守旧派の返り咲きが示唆される。記者には家族の安全に注意しろとの警告が届く。
報道の中立性・党派性、権力化、メディアスクラムといった問題は別にあるだろうが、前提は自由な批判ができる安全な環境が守られることだろう。奇しくも政府に批判的な立場のロシアとフィリピンのジャーナリストがノーベル平和賞を受賞したとの報を聞き、このニュースを世に問うた記者たち、映画制作者たちに心から敬意を表したい。
できるだけ多くの人が見られますように。
映画終盤の選挙結果を、某YouTube配信でネタバレされ知っていたので、お陰様で最後悶絶せず冷静でいられた。
暫定的な保健大臣が、父親と電話で話すシーン。もう国外に逃げてるいいぞ、と。ここにいてもなにもできないが、外国に行けば少しは人を助けることもできる、と。大臣が会見でカメラの前で、芯まで腐っている、というのだ。
他人事ではない、と、強い自覚自戒を持つこと
無関心が最大の敵、無関心が人を人でなくする。
慣らされて気付かない人多いですが、日本も過剰異常な隠蔽体質の国ぬので、対岸の火事ではなくほとんど日本にもあるある、で身近に置き換えて思考できるルーマニア作品。
ナナウ監督のディレクターズノートにある言葉
自分の子供の命を救うことができたはずなのに、国家機関の権力と嘘によってそれができなかったという痛み
仮に選挙までのピンチヒッターであったとしても、そんな政治家はいない、その点は日本と違うと思うが、それ以外はほぼ日本と同じ状況だ。そう思えない人は自分がとりあえずラッキーで世の中を知ろうとしない人だろうと思う。そもそも病院以前に、ライブハウスが違法営業、火災の対策てきていなかった。そんなこと、にほんにもたくさんあるよね。病院は日本のほうがきれいだというかもしれないが、おかしなシステムで精神病院は南条年も前のまま、なかには畳敷きの病室でコロナ陽性患者が出た南京錠を外からかけて中に閉じ込め隔離とか2021年の日本で起こってますよね。いじめられ子どもが自殺してもいじめの証拠は校長教頭教育委員会が隠蔽し、いじめという言葉で粉飾している殺人傷害の犯人は放置、しかも学校という場で。公務員が文書改竄させられた、そしてさせた、そしてさせた方はダンマリを決め込むどころか昇進しちゃってる、日本でも有数の頭脳と知識を持つ上級官僚方々でさえも真実を語る勇気も気概も誰もない国。三流以下。経済もちろん三流。女性の生きづらさ人権意識の無さは世界でも下から数えたほうがマシ。自民党総裁選出来レースで勝ち総裁の椅子に座ったやつに、椅子の座りこごちを聞く記者、バカなの?更問い、して、やわらかいですか?と椅子の感触を聞くバカ記者それをテレビで全国に放送するバカテレビ関係者ども。終わってるから、もうみんな外国行ったほいがいい。でもその前にみんな選挙行った方がいい!!!
映画終盤の保健大臣の父親との電話。まともな人はネットの中にしかいないのか!!とスマホから漏れ出る悲痛な叫び。みんなで見よう、みんなで選挙行こう!出来ることはあるし、それだけはほんと選挙権あれば誰にもできることだ。
これは未来の日本の姿
ルーマニアの医療汚職事件を追ったドキュメンタリー。
主人公はタブロイド(スポーツ新聞)誌の記者。
医療用の薬剤を薄めて納品していた企業の不正・中抜きから始まり、その企業経営者の自殺(おそらく他殺)、大手病院の理事長の裏金問題など、本当にあちこち不正だらけ。保険相(大臣)が話していた通り、土台が腐っており腐臭を放っている。どこか1つを改善すれば問題が消える、という簡単な状況ではない。
ルーマニアと聞くと、チャウシェスクを思い出してしまう。
30年前、独裁者として君臨したチャウシェスク時代は旧共産圏だったので別の恐怖があったことは想像に難くないが、民主化したあとも皆が金の亡者となり不正の温床に。苗床とも言える。この映画で扱った状況は、30年経ったその末路、ということなのだろう。
今の日本はここまで酷くはない・・かな?
よくよく考えてみると、このコロナ禍で次々に明るみに出た、ほぼ一党独裁の政権の劣化度、政治家の無責任さ、国民の無関心さ、医系技官や医師会などの医療業界の闇は、ルーマニアと比較しても決して負けてないかもしれない。政治への絶望感も含めて。
むしろ、主人公のような記者が国民に認められる、ということが日本ではありえない。
そういう意味でメディア状況はルーマニアの方が良い。記者会見で大臣に厳しい質問をガンガンやってたし。大臣が執務室っぽいとこで議論してるとこにカメラが入ってるのも信じられないもんな。。。政権の広報と化した日本の大手メディアなど比較対象にもならない。主人公の新聞社は、日本で言えば週刊文春だろうか?まぁ、文春の記者にあそこまで気骨があるとは思えないけど。。
最後、保険相と父親の会話が聞いていて痛々しかった。
この国は30年経ってもどうせ変わらない。
まるで、日本のことを言われているようだった。
結局、ルーマニアも日本も、国民の政治への無関心さにより行き着いた末路でしかない。むしろ、ジャーナリズムという意味では、日本の方が状況は悪い。あれだけ、政権の大臣に切り込めるようなジャーナリストは、記者クラブに守られた大手には1人もいないので。
私は、日本は早く一度凋落した方が良い、と考えている。
その方がより早く回復できるので。
それくらい、今の日本の社会システムは、ルーマニア同様、腐臭を放っている。
その崩壊が進んだらどんな社会になるのか?
その一端を、この映画を観て、垣間見た気がした。
日本ではもうすぐ衆議院選挙があるが、日本人はどうせまた自民党を選ぶ、と私は思っている。選挙率が停滞したままで。緊急事態宣言も明けて、浮かれた日本人はコロナも忘れて選挙など行かないだろう。
その末路がどうなるか、この映画を観て、今のうちから予習しておいた方が良い。
ジャーナリストが権力に屈服すれば
国家は国民を虐げる。
ラスト、国民の選択によって腐敗した権力が再び力を取り戻し、改革派やジャーナリストが敗北していく様が恐ろしかったです。
メッセージだけでなく、映画の作りとしても、ナレーションやインタビューを排し、2人の主人公の主観視点で進む、没入感のある構成なので、何にも前情報を入れずに観れば劇映画かと勘違いしてもおかしくないです。
本作が映し出してしまった出来事は、我々日本人にとって他人事ではないように思います。
ルーマニアでは、一つの党が長期的に政権を担った結果、利権が集中し、全うな報道機関は会見場に潜り込むために政権に追従するようになり、国民は政治への関心を失い投票率は低下し、汚職や腐敗が横行するようになった、と。
これ、「ルーマニア」を「日本」に置き換えても成立するんですよね。
このドキュメンタリーは、権力腐敗のツケを国民が払わされたという嘘みたいな、悲惨な事実を観せてくれます。
しかも、その事実を暴くのは御用メディアではなくタブロイド紙の記者達。
取材により、真実に近づくにつれ事の重大さ、取り返しのつかなさを痛感し、彼らの顔が曇っていくのが印象的でした。
保健相も改革を進めようにも、既得権益を貪る権力者が作り出した、とてつもない壁に阻まれ、最終的には国民の選択により敗北を喫していきます。
私は救いのないラストに、どすんと重たいものを感じましたし、自分事として身につまされました。
現代人の教科書として、今観るべき作品だと感じました。
腐敗の根はこんなにも深い
ルーマニアの医療の問題を告発していくドキュメンタリー。
正直なところ、腐敗のひどさは想像をはるかに超えるレベルだった。ここにもし、渾身の取材をするメディアや、正義を追求する勇気を持つ若き大臣がいなかったら。しかし、たとえいたとしても、一社とか一人とかではすぐにつぶされてしまうのだ。
この映画で描かれた、医療行政の腐敗ぶりは日本の比ではなかったが、日本も放っておけばこうなるのではないか。すでに、自宅待機者が死んでいく、ということが発生してしまっている。医系技官といわれる人たちが歪めている構造が、図らずもコロナであぶり出されたわけだから、徹底的に追及して正してほしい。岸田政権になったらそれはまた先延ばしになりそうだが。
ほかに気づいたのは、ルーマニアは常にヨーロッパの他の国に足りない部分を頼ったり、比較されたりしているのだということ。
また、メディアにも政治家にも医療関係者にも女性が、しかも責任者の立場の人が多かった。日本と比べると本当に顕著。なぜ日本でこれができないのか?
蛇足だが、出てくる人たちが、ドキュメンタリーなのに、ビジュアル的にかっこよかった。メディアの女性記者は個性が際立っていたし、告発した女性医師も印象的。前半の主役の男性記者、電話でいいネタを聞いた時のポーズがリアルとは思えないほど。そして後半の保健相、イケメン俳優みたいだった。ここまでの密着でカメラが回っていたという事実がすごい。
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