THE MOLE(ザ・モール)のレビュー・感想・評価
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事実は小説よりも何とやら
以前から噂には聞いていたが、これぞ聞きしに勝る怪作だった。まずもって北欧出身の主人公が見せる”人のよさ”に引き込まれ、彼を裏で操る本作の映画監督(多くの場面で声だけが聞こえる)の存在にも、下手なスパイ映画を見ているようにニヤニヤさせられる。これは緊迫感みなぎるリアル・スパイ・ドキュメンタリーというよりは、「これ本気でやってるの?」とでも突っ込みたくなるようなユルユルな状況設定とイマイチ信用できない登場人物が入り乱れ、いつしか武器取引をめぐる驚きの交渉現場へ足を踏み入れていくシロモノなのだ。蓋を開けるとなんと多くの人と国とが絡まりあって利害関係を生み出していることか。どうやらこの映画の監督と相手側の要人とは、過去作「レッド・チャペル」でも一悶着あった間柄だとか。そんな両者の関係性がどこかル・カレの小説におけるスマイリーとカーラのようで、目に見えないところで仕掛け合う様に思わず笑ってしまった。
兵器輸出、麻薬精製など北朝鮮の闇ビジネスを暴く出色のドキュメンタリー
デンマーク人なのに、何故か北朝鮮を支援する団体に加入した男に密着したドキュメンタリー。北朝鮮案件のドキュメンタリーは毎年数本出てきますが、どれも例外なく面白い。そんな中でも、本作はヨーロッパ人が主人公で、経済制裁に苦しむ北朝鮮が、どうやって闇ビジネスを営んでいるのか暴き出すというかなり衝撃的な内容が描かれています。最近(2021年秋)、北朝鮮が立て続けにミサイルを打ち上げていますが、この映画を見てハッと気づいたのは、あれはクライアント向けのデモンストレーションなんですね。ウチのミサイル、さらに高性能&モバイル打ち上げもできるようになりましたよ!ってね。
レビュー
特別な訓練など受けていない一市民が、支援団体を通じて北朝鮮に10年間潜入したドキュメンタリー😇
家族にも偽り続けつつ、命を掛けて潜入・盗撮を繰り返した事実だけでも正気の沙汰ではないのに、映像化して公開するとは🦊✨
国家ぐるみの武器・麻薬製造の実態に迫ります🌞
スパイ映画史上最高傑作
観終わって素直に『面白い!』と思った。
ドキュメンタリーと聞いて、堅いジャーナリズムかと思ったら、もはやエンタテインメント。
どんなスパイ映画よりもスリリングであり、構成も冒頭からラストシーンまで巧妙。
途中から、真実かどうかより、次はどんな展開になるのだろうと、ワクワクしてしまった。
10年をかけ14か国で撮影された映像をもとに構成される本作。
最初は北朝鮮友好団体へ潜入することから始まるが、とにかく出てくる主要人物が癖のあるヤバい人物ばかりでジェームズ・ボンドやジェイソン・ボーンもびっくりのヤツらばかりである。
扱うブツもとてもドキュメンタリーでやっていいの?レベルのもの。
スケールがバカでかい。
これがフィクションではなく事実としてこの世界に存在したという事を考えると、もはや常人の至らぬ世界が本当にあるのだと痛感。
いや、一番常人ではないのはこのドキュメンタリーを製作しようと思ったマッツ・ブリュガー監督自身だろう。
何ていうドキュメンタリー映画なの⁈
普通の男性が、国(北朝鮮やウガンダなど)を欺すスパイになる10年にわたる活動記録。
東日本大震災の年から始まったんだなぁ…と自分の時系列におきながら観ると、10年もの長きに渡った彼のスパイとしての活動の時間に驚嘆。
世界中にあるKFA(朝鮮親善協会)、不勉強で初めて知りました!その組織に潜入していく、誠実そうな目立たない彼の、協会から信頼を得ていく活動ぶりに鳥肌が立った。
でもただ驚くだけじゃなくて、時にはコメディのようなおかしみがあって、何度も笑ってしまった。
外貨稼ぎの北朝鮮のマフィアのような活動を、全世界に映画にして公開したことの勇気(⁈)、痛快でした。
このスパイをした彼や、投資者を演じた彼、監督、そのご家族の安全が心底心配です…。
世界中の戦争は、こんな武器商人のビジネスチャンスなんだなぁ…。麻薬まで取り扱って、本当にマフィアな国。
あまりに面白くて興味深いので、パンフレットを買ってしまったほど。ゆっくり読みます。
【北朝鮮の武器、麻薬の闇取引を世界14か国で盗撮した10年間の実録スパイ映画。】
ー デンマークのコペンハーゲンで妻子と暮らす元料理人ウルリクが、今作の監督でデビュー作「ザ・レッド・チャペル」が北朝鮮の怒りを買い、入国禁止になっているマッツ・ブリュガーに映画製作を持ちかける。-
<Caution !内容に触れています。>
・驚いたのは、デンマークだけでなく、各国に北朝鮮を支援する団体”北朝鮮友好団体”があると言う事実である。そして、その団体に所属する人々の多くが無職であるという事。
ー きな臭いなあ・・。-
・ウルリクは、団体内での地位を上げ、北朝鮮と太いパイプを持つスペイン人、アレハンドロと信頼関係を築く。
- 何故に、スペイン人が北朝鮮に入れ込むのかが分かる、数々のシーン。北朝鮮は、人の心の承認欲求を逆手に取っている。-
・偽の投資家を仕立てて、ウガンダに武器と覚せい剤製造工場を作るために、頻繁に平壌に渡り、要人と接触する。
- どのシーンも、隠しカメラで撮っているため、臨場感がある。そして、出てくる人物が、皆怪しい。-
<最後まで、分からなかったのはウルリクが私生活を犠牲にしてまで、10年もの長きに亘りスパイ活動をして来た理由である。
脳内の一部で、”この作品は、マッツ・ブリュガー監督の北朝鮮に対する報復ではないか”と思ってしまった作品である。
何故なら、国際社会から孤立している北朝鮮が武器輸出で、外貨獲得に血眼になっている事は、知っていたからである。
真偽を判断するのは、鑑賞側に委ねられている・・・。
<2021年12月5日 刈谷日劇にて鑑賞>
ヤバい面白さ
やっとジャックアンドベティに回ってきたので、満を持して観たんだが…コレがもう滅茶苦茶に面白い!
10年も掛けて北朝鮮に潜り込み、兵器の闇取引をやってのけた素人スパイの『ドキュメンタリー』!
フィクションだったら「そんなわけあるかい」と言われちゃうような、奇想天外でぶっ飛んだお話。
仕掛けた本人は元シェフの素人で、パートナーは元傭兵の前科者。なのに彼らを信じちゃう北朝鮮側のユルさもスゴいし、巻き込まれる面々のヤバさったらない。観ながら、おいおいコレどこまで行っちゃうの?と怖くなるくらい。
ドキュメンタリーだからこそのスリリングさは今まで観たことがないタイプの面白さで、結果的にエンターテイメントとしても一級品だった。必見。
無邪気さと邪気の狭間
近年観た中では抜群に怖かった「スノーデン」に肉薄する作品。
素人集団が最強の素人集団に挑む今作は、常に次の一瞬が危うく寄り添ってくる。作られて公開されている事で、現時点の無事は確認出来るが、「長男」の事を考えれば安心とは言いがたい。
更に言えば、興味本位で観に来た自分も「実は観察されてる??」なんて思いにかられるから、普段以上に丁寧に退席してしまった。笑い事じゃない世界の少し笑ってしまうサスペンスは、見応えたっぷりでございました。
こういうのって、やっぱり運命的なグループ形成があるもんなのね。007でネタを買って脚色したのを観たいな(笑)。
凄いもんを観た
ただただそう思うばかりです。
北朝鮮の行なっている「ビジネス」については、もはや周知の事実ではあると思うのですが、ここまで踏み込んだ映像を記録してくれたのは凄い事です。
それはそうとモヤッとした点もありました。
本作の主人公2人であるウルリク氏とMr.ジェームスです。
動機というか志というか、「ただ何となく」と言った理由からこんなにも危険なスパイ行為を始めるのは常人には理解し難いところです。
米国人大学生の悲惨な顛末がご家族の悲痛な叫びとともにカットバックされていましたが、どんな気持ちで観れば良いのか。
超危険な犯罪国家の暗部に潜り込むのがどれほど無謀なことか…。
隠しカメラ映像の迫力、北朝鮮(及び「ならず者国家」達)の犯罪の証拠として貴重であり、隣国に住む我々にとっては一見の価値ありです。
一方で、主人公達がYouTuberの「やってみた」のような安易な動機で、まるで「ぼったくりバーに潜入」のような軽いノリで、長期間に渡り家族を危険に晒してまで私的かつ無謀なスパイ行為を働いたことに対しては、個人的に大いに疑問符がつくところであります。
どんなスパイ映画より面白い!
コロナの影響で公開が伸びに伸びて、期待値が上がりまくっていた「007」が不発だった今、本当に面白いスパイ映画を観たいならこの一本しかない!
元料理人で失業中のウルリクはマッツ・ブリューガー監督の北朝鮮を題材にしたドキュメンタリー「ザ・レッド・チャペル」を観て潜入スパイする事を決める、しかもただ個人的に…
全くの素人のウルリクは親北朝鮮の同好会に入りそこを足掛かりに北朝鮮との太いパイプを持つスペインの大物に取り入り、北朝鮮の武器密売の現場を抑えるまでやってしまう!
その全ての過程が隠カメラで撮られていて、巧妙な編集により手に汗握るスパイ映画になっている。
こんなドキュメンタリー撮られたら、ただの物語のスパイ映画はお手上げだよ。
2021年1番の一本でした。
アマチュアスパイの命掛けの慈善事業
北朝鮮が世界に向けてどのように武器や麻薬を売るのか?その実態を10年をかけて取材を続けた命掛けの行為に脱帽。しかも潜入取材をしている青年はプロの諜報機関ではなく、監督に誘われて一つ返事で始めたというので驚くしかない。途中で殺されていてもおかしくなくない状況なのでどういう結末になるかヒヤヒヤしながら見せられてしまった。
中でもウガンダでのリゾートホテルに擬装した北朝鮮製武器工場建設プロジェクトの交渉が山場となるが、見て見ぬふりのウガンダ当局も酷い。
北朝鮮はニュースでは国民を貧困のドン底に落としてもミサイル開発に明け暮れる金正恩のイメージしかないが実際にその下で働く人物達の動きが撮られているのが貴重。彼等はビジネスマンのように世界を自由に飛び回り戦争の火種を焚き付けてまわり、トランプなんか怖くない、もし攻めて来たら水爆を送ってやるだけだと笑い飛ばす。世界にとって害悪でしかない。ただこの失態が世界に晒されたので責を問われもう処刑されているに違いないが。
それにしても理解に苦しむのはデンマークやイギリスの北朝鮮友好協会のあの老人達だ。自由主義社会で何故北朝鮮を礼賛するのか。アジア人蔑視すら行うこともある白人がどういうことなのか?金なのか?ともかく世界中の人に見てほしい。今世界が対処すべき危急の課題は温暖化対策などではない。このような犯罪国家を放置すればいずれ地球が丸ごと紛争地帯になってしまう。
途中から大丈夫なのこれ!?しか頭に浮かびない衝撃作
北朝鮮のスパイのドキュメンタリーという情報しかなかったので顔隠してインタビューをしながら再現映像でも挟むんだろうな、と思っていたら10年かけてどんどん組織のトップへ上り詰めていって、最終的に・・・というところを全部隠し撮りという恐ろしい展開に。めっちゃみんな顔出ししてるのに命おしくないのかと終始こちらの方が怖かったです。まあ当事者には顔バレしてるし今更という感じなのでしょうね。
北朝鮮の闇にここまで切り込むとは
北朝鮮の闇にここまで切り込むとは。
ドキュメンタリーなのでド派手なドンぱちがあるわけではないが、組織に入り込み、時にはバレそうになりヒヤヒヤ…スパイの緊張感が伝わった。
しかもスパイをしていたのは一般人!
動機を聞いたが、そこまでするか?と謎が出てきて、信頼できない主人公として機能していて、楽しむことができた。
コカコーラ
唯一の社会主義国である北朝鮮って世界中の資本主義に馴染めない人たちの拠り所でもあるんですね
世界中に支援団体があるなんて知らなかったし、もはや宗教ですね
登場人物が役者じゃない本物の北朝鮮関係者だと思うと台詞ひとつひとつゾッとします
スパイの彼がコーラを飲んでるシーンがなんとなく印象的でした
色々と腑に落ちる内容
北朝鮮の悪行を告発しようとするドキュメンタリー映画なのだが、自らが北朝鮮の役人と接触し、悪行に加担するスパイとなるところに本作の面白さがある。
まず、映像は基本的に隠し撮り。本職のスパイさながらに緊張感のある映像で驚いた。
そして、主人公?ウルリクの出世物語の側面も持つ。ウルリクは潜入した、北朝鮮を支援する団体KFAでスピード出世を果たす。人当たりがよくて誠実で、たぶん仕事もできるってことなんだろう。周りの人間の信頼をどんどん獲得していく姿が面白かった。
はじめはヨーロッパの人間がなんで北朝鮮を支援するのかわからなかった。純粋な共産主義者ならまだわかるが、それでもこんなに各国に団体が存在できるのかと。
それはスペインのKFA会長の言葉で腑に落ちた。北朝鮮は大概の国で認められていないことができる国だと。奴らは麻薬、武器の輸出で外貨を得る片棒をかつぎ利益を得ていたのか!(そうではない人もいたはずだが)
ウガンダに建てようとした工場の計画や、三角取引等、北朝鮮の闇稼業を暴く内容としては満点だ。だからこそ映画の製作者側に危険が及ばないか心配してしまう。
さらに、それだけじゃなく10年もの長期間スパイ活動を行ったウルリクの心の問題にもスポットを当てているのが妙にリアルだった。こんなドキュメンタリーもあるんだな。
静かな緊張感がずっと続く映画
ドキュメンタリーとは思えないくらいの構成とカメラワークの上手さで観ていて全然飽きなかった。
それにしても北朝鮮を指示する団体がこんなにも多く世界中に点在しているなんてビックリだ。僕からすれば北朝鮮なんて狂信的で不自由な国でしかないのに、特定の人には魅力的に感じるのだろうか。。。
スパイ活動なんて映画の中の話だ、なんて思う部分もあったけど、この映画を観て考え方を改めました。
北朝鮮の国民やウガンダの島民のように、庶民の生活が簡単に国家権力に変えられてしまうのも悲しい事実だと感じました。
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