アリスとテレスのまぼろし工場のレビュー・感想・評価
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結局、またマルチバーズなんかなあ
タイムループとマルチバースと成長が止まる話、、、なんかな。
同じ日を繰り返す日々の中で変化を禁じることにあっさり同調する人々ばかりというのが飲み込めない。そこでは、食うに困らないわけだから、仕事しなくなる人が多いだろうし、トンネルが塞がろうが、海流に邪魔されようが、山を越えるくらいできるだろう。その前に、毎日毎日、同じことが続くと、数日〜数ヶ月で発狂する人も続出では。どんどん人が減っていく?。まあ、元々、あんまり人が多い地区じゃないか。
イツミの成長から考えると10年くらい時が止まってた?。せめて1ヶ月程度の話にした方がよかったんでは。
あと、イツミって、主人公男が勝手につけたわけだけど、何年も前から育ててて、名前もつけてなかったのか。いくら、親しくなりすぎないようにしたとしても。そもそも、マキだっけ、ほんとの名前知ってたよね。苗字はともかく下の名前はちゃんと使ってもいいんでは。あとから、明かして客を驚かせようとしたのか。元の世界に戻すことになるんだから、違う名前で呼ばない方がいいのでは。
もしくは、元の世界に帰った時も、「イツミ」の響きを懐かしむとか。
結局、映画内のミフセは死後の世界?で、ひび割れの向こうが現実世界ということ?は、手垢のついたマルチバースということでいいのかな。
結論として、あんま、響かなかったけど、喋ること、いっぱいあるなあ。見てよかったカモ。
岡田麿里監督2作品目!
岡田監督の前作「さよならの朝に約束の花を飾ろう」はあまり刺さらなかったことと、ネタバレを除く前評判を少しだけ知った状態で軽く身構えた鑑賞でした。 世界観も良く、キャラクターの心理描写に関しても他の方が仰られているような破綻はしていないように感じました。 感動で涙をボロボロ流すような展開ではありませんでしたが、内容が良くストーリーを通じて鑑賞中は引き込まれました。 筋も通っていますし、必要な情報は全て開示されていたので、深読みせずとも内容は理解できます。 根幹はファンタジーですが、あの花もそうですが思春期のキャラクターの心理描写を表す演出、ストーリーは岡田監督は上手ですね。 全体的にクオリティも高く楽しめたので★4です!
前向きになれる
面白かった。
最後の列車のシーンの睦美の言葉、私自身も夢を追いかけようと、とても前向きになれました。
自分はまだ18歳で正宗や睦美と年齢も近く、思春期の恋愛感情がとてもリアルに描かれていることを感じました。
主題歌もとてもマッチしており、五美の背中を押す、時間が止まった世界視点での歌なのかなと。
だからこそ、中島みゆきさんを選んだのかなと思いました。
最後に、拙い文章で申し訳ありませんでした。
作中で五美が正宗のことを「まさみね」って呼んでたせいでわたしも「まさみね」と呼んでしまうのですが共感してくださる方いらっしゃいますでしょうか笑。
良くわからない題とストーリー
製鉄所の爆発事故によって出口を閉ざされ、時まで止まってしまった町では、いつか元に戻れるように、何も変えてはいけない、というルールができていた。中学3年生の菊入正宗は、同級生の佐上睦実に連れられて製鉄所の第五高炉に入り、野生の少女・五実と出会った。さてどうなる、という話。 ファンタジーなんだろうが、登場人物に必然性を感じない人が多い気がする。 アリスやテレスはいつ出てくるのかと思って観てたが、関係なかったようで、この題は何なんだ、って思った。 いつの時代設定なのか良くわからなかったが、将来14歳で車を運転出来るようになるのかな?それとも、見た目14歳だけど、時が流れて実は18歳以上って事?ここもよくわからない。 良くある時空が曲がった(飛んだ?)ような作品で、なおかつ意味不明なストーリーなので、興味が持てず眠くなった。
好きってどんな気持ちだったけ?
『人を好きになる』ということが多く描写されてる作品だと思いました。
今回の作品見終わった感想はまず、『なんかすごいぞ、いいいもの見た〜!』って思いながら映画館で出てきました。
【好きだったところ】
•正宗くんと睦実ちゃんに対して好感が持てる
二人のやりとりは等身大の彼らの感情にも見えるのですが、性根はほんとにいい子で…。
五実ちゃんを現世に返そうと奮闘する様子は見てて、
感動しました。
•正宗くんが睦実ちゃんに対しての気持ちを自覚して悩むシーン。告白するシーン…。そしてキスシーン。
あんな美しくキスを描くのすごいです。
岡田麿里さんの脚本はこういう生々しい感情を描くのがホント上手ですよね…。
•最後列車の睦実ちゃんと五実ちゃんのやりとりもうるうるきて…。
•あと作画と音楽はよかったです!
特に音楽で五実ちゃんが工場で遊ぶ時の不思議な曲は
映画の雰囲気をいい感じに表現してると思いました。
で、こっから先は疑問に感じてしまったところです。
帰り道もんもんと映画について考えた時にもやもやするところが多いんです。
題名のアリスとテレスはなんだったんだろう?とかもあるんですが1番引っかかるところは、
【残された人たちはバッドエンドが待ってるようにしか見えない。】
いまは好きな人と一緒になれてよかったと思いますよ…でも永遠と続く冬の見伏に囚われてそのうち精神にガタがくるのは見えるな…って。終盤、そこについても楽しめばいいじゃない!って感じで受け止めてるような描写があったのですが、私は素直に受け取ることができませんでした…。いい登場人物が多いだけに辛かったです。
【苦手だったところ】
恋愛の描写が多いだけにちょっと自分勝手に恋に暴走してるキャラが多くてオイオイオイってなって見てました。
•まだ世界を壊したくなくて車で暴走する新田ちゃん
•政宗のお母さんを好きになってしまって、
告白するも振られこの世界を存続させるために
工場を稼働させる時宗
完全に個人の感想ですが、ここらへんはちょっと見てしんどいものがありました。
こう終わった後あれはなんだったんだ???って思ったことが多かったです。でもそれだけ考えてしまうってことは自分の琴線に触れた部分が多かったからだと思います。
兎にも角にも、すごい映画でした。
哲学的なテーマが見え隠れする作品
映画には脳死で見ても深く思考をしながら見ても楽しい映画がある。この作品はどちらで見ても楽しいと思う。 裏テーマとしては本題のアリスとテレス部分。 タイトル回収がされることはなく、アリストテレスが生きていた古代ギリシア時代の哲学と宗教の対立感や、変化を恐れる人と恐れない人々との関係を比喩されている作品と思いました。(何にでもオマージュと言えることが出来るのであくまでも個人の感想です。) 哲学的なテーマが好きな人はこの手のアニメ映画は少し苦手かもしれませんが作画は呪術廻戦や進撃の巨人などを手掛けているMAPPAが担当しているのでポップな感じではなく重厚感のあるリアル志向な作画になっているので食わず嫌いせず一度見てみてはどうでしょうか?
作者の言いたかった(と思われる)コトはなんですか。
『生きる事への選択と自己肯定への賛美』
今作の舞台は、現実と仮想空間のパラレルワールドの二極化ではなく、『生の世界』『死の世界』そして主人公たちのいる『狭間の世界』の三分割ではないかと思いました。
そこではつねに生と死の選択を迫られている。
現実の世界(映画内ではなく)で「今すぐこの世界から消えてしまいたい」と思っている人達はとても多いことと思います。そういった人達は皆『狭間の世界』の住人なのではないでしょうか。そういった人達に「行動を起こして先へ進もうよ、そして生の世界へ行こうよ」というのがテーマかなと思いました。
何か行動を起こすとその世界から消されてしまう。
どうも肯定的には動く気がしない。
だからなにもしない。
自分でなにか積極的に決めた人は狭間に飲み込まれるか、神機狼に喰われてしまう。でもこれらの消された人達はそろって「マイナス思考」で考えていたためであり、成仏させられた(死の世界へ誘い)のかなと思いました。
ラスト、正宗と睦実が結ばれることにより、空間は大きくひび割れ、行き場を失った五実に対して世界は強制的に『生』と『死』の選択を迫リます。選択できる時間は残りわずかとなります。
睦実は五実の母親?であるので愛娘を『生の世界』へと、しっかりと生きるように送り届けます。残された正宗と睦実が消えてしまったかどうかはわかりませんが、無事であったことを願います。二人一緒に…
今回の映画の内容については、中島みゆきさんの楽曲とパンフレットにすべて書かれています。是非とも両方ご覧になることをオススメいたします。
ラストは号泣してしまいました。周りはひいていたと思います。
切なさの中にも優しさにあふれる映画でした。
おわり
観客が少ない?まぼろしで終わってほしくない映画。
「君たちはどう生きるか」と同様に難解な映画。あらすじになかなかついていけず、これは何?なぜ?その言葉の意味は?疑問符の連続。でも映像美とキャラクターの迫力に引き込まれ、後半から画面凝視、内容をはっきり理解できていないのに涙腺が緩む。終わっても余韻が残る。この映画には「君たちはどう生きるか」の答え示唆してくれたのかもしれない。閉塞感に包まれたいまの社会での一人一人が自分の未来への希望を持つことの大切さ。作家カミュが小説「ペスト」のなかで「絶望とは絶望を認識しない状態」といったことを思い出した。
純愛、恋愛映画
イマイチというか、刺さりはしなかった。母親と見に行ったので序盤のちょいエロみたいなとことかキスシーンとかキツすぎて話にあまり入れなかった。笑 なんかすごい頑張ってる感を感じてしまったのは、セリフがくさかったり設定がイマイチだったからなのかーと納得…。最後の中島みゆきの主題歌と映像に救われた感じでした! 追伸、中島みゆき目当ての母親は隣で寝ておりました。若い人向けかも
変化
変わらないもの、永遠を望みたい大人と、変わる周囲や自分、未来を望む子どもと。 老いない、生き続けられる、ずっとこのまま、と、 魅力的に思う人もいるかもしれません。 でも、自分の成長や他人との関係性など、さらなる成長を望む人もいる。 正宗たちは未来に進むこと、未来に託すことを選んだのかな。 前半のチグハグ感、説明不足感が、後半になるにつれて紐解かれるのはとても見事。 深く見れば、疑問点はほぼ解消されます。 自己確認表の、好きな人:なし 嫌いな人:睦実 の理由も、 とても納得。 精神年齢が幼い五美に対し睦実が別れ際に諭すシーンは、いい意味で「なんとも言えない」、感情を表現し難いシーンですね。友人のようであり、娘のようであり、まだ恋愛をよくわからない五美に対して、諭すようであり、宣言するようであり、約束するようであるようなあれらの言葉を投げかけた上で、五美のことを案じて元の世界へと見送る。ここ最近のアニメの中でも、屈指の名シーンと思います。 作品は違いますが、某アニメのラストシーンの「自由を失うのではなく、かけがえのない不自由を手に入れていく」という言葉を思い出しました。未来に様々な可能性や、希望や、夢がある子どもたちは、いろんな変化を経て未来へと進むんですね。 大人になった今だからこそ、新しい可能性に進む子どもたちが羨ましく思えたり、送り出したいと思える映画です。 とてもいい映画でした。 ただ、アリスさんとテレスさんが最後まで出てこなかった…笑
されど少年少女は仮初の”今”このときを生き続ける
なにっ! 「あの花」とか「さよあす」の岡田麿里監督がスクリーンに帰ってくる!? それもアニメーション制作は、「呪術廻船」のMAPPA!? これはアニメファンとしては劇場へ足を運ばなくては(使命感) ということで行ってきましたよ劇場に いや~~圧倒されっぱなしの2時間でした。 もうね。最高ですよ~ 迷っている人はどうぞ今すぐこのレビューを読むのやめて最寄りの劇場のチケット予約しちゃいましょう! 見て後悔しないです。本当に。 ネタバレを含まないで、正直レビューを書いていきますね。 良かったら最後までご付き合いください(*- -)(*_ _)ペコリ ==ストーリー== いや~岡田監督は思春期の少年少女を描くのが本当にうまいですね まだ大人とも言えないだからといって、子ども扱いもしてほしくない という難しいお年頃を大人と子供の対比や、友人との掛け合いによってうまく表現しています 特に登場キャラクターの恋焦がれる気持ちには、ぜひ注目してみてください! ファンタジーものとしての世界観や設定も練られており、見る人をくぎ付けにする程の魅力がありますね。 私としては、終始登場人物の内面を丁寧に描写してくれてかつ、映画としての盛り上げどころもきちんとあったので大満足のストーリーです。 ==作画・演出== これは、さすがMAPPAといった感じですね めちゃくちゃ綺麗です。私が今年見たアニメ映画の中なら間違いなくトップです ファンタジー的な演出もとても迫力があり見ごたえ抜群なのですが、なにより物語の大舞台となる工場の書き込みと見せ方がえげつなく良い 色彩表現や光の差し込み方に至るまで制作陣の強いこだわりを感じさせられます。 登場人物たちを捉えるカメラワークもめっぽう良いので、作画と演出に関してはもう圧巻の出来でした ==音楽== やっぱり横山克さんの音楽は素晴らしい 単に盛り上げるだけに収まらず、心にしみる音楽 あぁ好き。 リメイク版のフルーツバスケットの音楽もめちゃくちゃ良いのでぜひ見てみてください。 ==演技== ヒロインを演じる、上田麗奈さんと久野美咲さんの演技が素晴らしい 私はアニメが好きなんで、お二人の演技が素晴らしいことは前々から存じていたのですがこの映画での演技は真骨頂ですね。 その反面、主人公演じる榎木淳弥さんの演技はイマイチだと感じてしまいました。 ファンの方すいません。でもこれが正直レビューなのでお許しを キャラにハマってないわけではないんだけど、なんか俳優さんが声優してるみたいなたどたどしい演技なんだよね ==総括== 岡田麿里監督。 素晴らしい作品をありがとう! 良い作品を迫力満点の劇場で見れて私はとても幸せです。 迷っているひとは見にいくべし 迷ってない人ももちろん見にいくべし キャラデザに釣られちゃった人(オレ)も見るべし (小声:ヒロインめちゃくちゃかわいいし、なんだろう監督の癖を感じる) =2023オレ的映画ランキング= 1:名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)☆5 2:アイカツ 10th story ☆5 3:アリスとテレスのまぼろし工場 ☆5 4:シン・仮面ライダー ☆5
幻でも存在する。
製鉄所の大爆発で街が壊滅し、それを境に住民の意識以外の季節や身体的変化などが止まり、外部との交流ができなくなった。 住民は元に戻った時を考え変化を嫌い、「自分確認票」を作成し現状を維持しようとした。 この対応は、日本人的な内向性と順応性的なものに思われました。 異世界ぽい始まりは普通であったが、よく考えられたシナリオでなるほどと思いながら鑑賞しました。 アリストテレスについてざっくり調べたが、「幸せかどうかは自分次第である」ってことを言いたかったのか? よく考えれば、主人公達は見た目は中学2年生であるが、精神年齢は高校3年生ぐらいであろうから、異性への衝動は止まらないでしょう。 既得権益者を悪役とせず人としてのあり様としたのがよかったと思います。 最後の「赤ん坊の鳴き声が聞こえる」は時の割れ目の中で出産か、もしくは異物が居なくなった事により、幻の世界の歯車が回り出したのでしょうか。 掘れば掘るほど面白い映画でした。
こんな世界、早くぶっ壊れてしまえと正直思う。
町にある製鉄所が爆発?したことをきっかけに、町単位で時間が止まり、歳をとることも成長することもなんだったら死ぬこともさえも出来なくなった人々の群像劇です。
時間の進行が止まったといっても一日の時間的経過は普通に起こるので一般的な日常生活は可能です。同じ一日がゆるく繰り返されるけど、進歩や未来が見えないっていう閉塞感あふれる生活なんでしょう。どうも移動も不思議な力で制限されてるらしいです。街の端っこに行く記述がなかったので、大人の都合、いわゆる眉唾かもしれません。
主人公の菊入正宗君はなんだか灘の酒みたいな名前(笑)ですが、それをいじって変なあだ名をつけることをしない本当に良い友人らに囲まれています。昭和時代のうちのクラスに居たら絶対、「ポン酒君」って言われたでしょう。無論、愛着を込めてですよ。話が脱線してすみません。
ただいかにも彼の行動、性格が根暗で厨二病全開なのは、工場で働いていた父親が謎の失踪してしまったこと、そして厨二・・・というか14歳だから本物の中二なんですけど、将来の漠然とした不安が時間の経過と共にうやむやになるという、いわゆる青春アルアルがこの歪な世界では絶対に起こらないので、これには同情するところが多々あるのかな、と思いました。
ただ、無駄に攻撃的で男嫌い?唐突にパンツ見せて正宗君の乙女心を踏み躙る、今の世の中だったらツイフェミ?にでも例えられそうなヒロインの睦実さんはいくらお顔がクールビューティーでも、一人の女性としても人間としても全く美しい部分が見受けられず、行動から何からまるで共感できませんでした。まあ、私が保守思想の強めな男性だからかもしれないですが、なぜわざわざ女性の悪い部分だけ顕在化させたような魅力が半減するようなキャラ設定にしたんだ、と思いましたよ。まあ、閉鎖空間で長期間拘束され性格が捻くれちゃったんでしょうけど。
そんな中、彼女について特に許せない部分がひとつ!
無垢なる者の化身の様な五実ちゃんが淡い恋心を正宗な抱くところを最後の別れ際で「正宗は私に一生ぞっこんなんだから、お前の出る幕無し(うすら笑い)」って捲し立てるシーンには、正直、ちょっと狂気すら感じました。いやはや、ロマンチックなシーンが台無しです。ちょっと私情がからんでいて情報の正確さに欠けることはご了承ください。
結論としては、あの世界は存在価値なしってことで私の中じゃ決定です。崩壊するところが見たかったなあ(笑)。
現実世界で五実ちゃんが家族に再会出来たようで本当に良かったです。終始圧倒された映像美とラストに関しては高く評価したいです。
追伸:あの学校の女生徒はブルマ履いてたりしてたり部屋にCDラジカセあったりしたので、あの世界は昭和後期の設定でしょうか。だったらポン酒くんもアリだわ(笑)。
「現実」を生きる
私はこの作品に出会い、今まで経験したことのない苦痛を味わった。心の奥でずっと渦巻く色々な感情が、私をこの作品の世界へと否応にも導く。ここでは現時点で分かったことを自分のためにも、記しておこうと思う。
初めて見終わった時に思ったことは、「この物語はハッピーエンドなのか」ということだ。ここはネタバレあり、であるから容赦なく本編に触れるが、まぼろしの世界はいずれなくなる。というより、私はすぐになくなったのではないかと思っている。見伏の人たちは最後の最後で「生きている実感を」感じた。それは大きな変化であり、まぼろしの世界にあってはならないものである。そう考えて、主人公たちが消えていってしまうの想像すると胸が張り裂けそうだった。実際のところ、まだハッピーエンドなのかどうか分からない。それか、ハッピーエンドにしたくないと勝手に自分が思ってしまっているのか。まだまだ考え続けたい。
最後のクライマックスシーンでの睦実の言葉。「ねえ、五実。トンネルの先には、お盆だけじゃない。いろんなことが待ってるよ。たのしい、苦しい、悲しい……強く、激しく、気持ちが動くようなこと」
「友達ができるよ。夢もできる。挫折するかもしれないね。でも、落ち込んで転がってたらまた、新しい夢ができるかもしれない……」
「いいなあ。どれもこれも、私には手に入らないものだ」
これを聞いていると、これから現実で生きていく五実と、今現実を生きている私たちに向けて伝えたかったことだと思う。人は自分でも知らないうちに変化していく。変化していくことが喜ばしいことに思える日も、悲しく思える日もある。それは言葉通り、「たのしい」だけでない日々の連続。まぼろしの世界に生きる人々にとって、どれほどうらやましいことだろう。生きること。生きてゆくこと。痛みも、苦しみも、喜びも、楽しみも、全て含めて噛みしめたい。なんだか、それが、現実を生きていける私たちの使命のような気がして。
岡田麿里監督は試写会にて「これは恋の物語」であると話している。それは、まぼろしの世界が舞台であったからだと思う。睦実は五実の母として、恋の好敵手として、五実と対峙していったように見えた。約10年間五実の世話をしていく中で、一番五実の成長を見てきた。本来であればもっといろいろなことを学んで、感じて欲しかったはずなのに、それを五実のために禁じなければいけないという葛藤。それに一番向き合ってきた睦実だからこそ、ラストシーンをあのように描けたのだと思う。
「正宗の心は、私がもらう」
まぼろしの世界において、正宗は睦実のものであり、五実のものではない。五実は本来この世界にいないはずで、まぼろしの世界の正宗には出会わないはずだった。キッパリと言ってのけることが、逆に、未来へ行く五実のためでもあると考えたのではないか。五実に嫌われてしまっても良い、だって五実には自分ではない睦実、「沙希の母」としての睦実がいるから。そう思っていたのではないか。そう見るとこの物語は愛の話のように見えそうだ。しかし物語はまぼろしの世界を中心に進んでいく。現実ではない、まぼろしだからこそ、愛ではなく恋を描ける。
愛は恋の延長線上にあるのではない。
そもそもベクトルが違うと思う。
世界が終わる時に、誰を思い出すか。
パートナーを思い出すか、子供を思い出すか。
私はまだわからない。けれど時が止まったまぼろしの世界では必ず正宗は睦実を、睦実は正宗を思い出す。それは決して神が仕向けたものではない。恋する衝動が、世界を壊したのだ。
間違いなく、恋の物語であった。
最後に、このレビューはまだ未完成だ。
まだまだ理解が足りないところもあるし、行き過ぎた論理も存在するはずである。現時点で劇場2回、原作小説2回の私の考えである。
もっとこの作品を考えたい。感じたい。
叶わないことだが、ずっと劇場で見ていたい。
この作品は紛れもなく現在進行形で私を変化させている。
最後の最後に。
この作品を生み出した岡田麿里さん、心から感謝を述べたいです。
そしてこの作品を我々に届けてくれたMAPPAの皆さん、その他多くの方々に感謝してもしきれません。この作品に出会えて本当に良かった。
セカイ系かと思ったら、漂流教室みたいになったけど、最後は大団円。
女子にパンツを見せつけられてキレる・・・ここですでについていけない雰囲気が漂う。 女の子もからかっているわけでもなく、照れるでもなく、ツンデレでは絶対ない。 神起によって閉じ込められた町が舞台で、同じ日を繰り返し、体は変化しないが、心は成長する世界。 その中に現実世界からきた少女が現れて、少女はおそらくだけど、心は変化せずに体だけが成長する。 その少女を現実世界に戻したい。そのために自分達と町そのものが消滅しようともかまわない!前に進むんだ!そしてお前が好きだ!!って感じで終盤にいきなり盛り上がる。 一応ハッピーエンドっぽくなるわけだけど、体は中学生くらいで心は幼女のままの少女は、果たして現実世界で無事に両親の元に辿り着いて、明るい未来が待っているのだろうかと、 少し不安になるラストだった。
沙紀と五美の神隠し
基礎設定には惹かれたのですが、不明瞭な部分が多い。
停止した季節や身体に対し、昼夜はあり、天候も気持ちも変化し、行動の影響も残る。ループでもないので食糧などの補充についても不明だが、その辺はまぁ“舞台装置”と割り切れる。
が、時間経過については“変化”に直結する。
「高炉に火を入れるのは10年ぶり」で、五実の成長も凡そ同程度だが、正宗と睦実が子をなすまでの期間がある。現実の2人は40前後に見えたし、時間の流れがズレているのか、五実は遅れて来たのか…
変わらぬことを是とし、心が肉体に引っ張られているとしても、みんな精神年齢が留まりすぎとも感じる。また、最低10年以上も情動を殺し、特に思春期の正宗たちに暴力あるいは性的な暴走が起きないものか。
否定的なことを先に書いたが、作画、とりわけ大きく崩さず心情を伝える表情芝居は見事。
声は俳優起用含めて違和感はないが、MVPは久野ちゃん。
『メイドインアビス』のファプタで突き抜けた感があったが、人外でなくともその力は健在。替えのきかない、独自の立ち位置を築いたと思う。
正直キャラの心情、特に睦実の情緒へは共感どころか理解できない部分が多い。しかし、五実の正体を知っていたと分かると見え方が変わる面もあり、そこは面白い。
別れ際の言葉も、半分は本音だがもう半分は現実に帰すために露悪的になったのだろう。
「“私”は自分を優先するが、“母”である睦実(と正宗)はあなたを無条件に愛するハズだ」と取れる。
何度も「別の存在だ」と言ってきたことが繋がり、エゴと優しさの混在した複雑さに唸った。
続く五実の「大嫌いだから一緒に行かない」には涙。
予告ではほぼ3人の話に終始すると思ってたので、予想外の群像劇に戸惑いもあった。
あの世界で夢を見つけた仙波は真実を知り何を思い、「友達」の言葉に強く反応した佐上の過去に何があったのか。爆発事故以前と、何が変わって何が変わらなかったのか…
刹那でも最高の幸福を求める者と永続的な平穏を優先する者、という単純な2極でもなく、各々に想いがあった。
2クール使っても十分成立するだけのキャラやアイデアが111分に詰め込まれてしまったのは、勿体ないと思う。
ただ、前回のP.A.WORKS同様に「100%の岡田麿里」を制作会社が求めるほどの魅力は確かにある。頭と心をここまで掻き乱す脚本家は他にいない。
いっそのこと、各制作会社でそれぞれの100%を発揮してみてほしいとすら思った。
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