「優しいまなざしから描かれる優しくない物語」アリスとテレスのまぼろし工場 作務衣もんさんの映画レビュー(感想・評価)
優しいまなざしから描かれる優しくない物語
何これ・・・こんなのズルいよ・・・泣くしかないじゃん・・・っ!!
なアニメ、通称『あの花』でおなじみの岡田麿里さんの最新作。監督としては2作目
舞台は製鉄業に主軸を置く田舎町、見伏町
冒頭すぐに主人公 正宗と友達は製鉄所の爆発を目撃する
火を吹く工場。ひび割れる空。荒ぶる龍の形をした蒸気
何が起こっているのか? 急に異世界ファンタジーに巻き込まれていくのか?
そんな「???」を観客に投げつけるようにして映画は始まる
シーンが変わると一転、主人公達の学校生活が描かれる
冬の見伏町で暮らす正宗達。誰かが誰かに恋をしたり、将来の夢を話したり
普通の日常のように見えるが我々にはどこか違和感がある
そして正宗が同級生の睦実に製鉄所に連れていかれることによって物語は大きく動き出す
工場の一区画では、さながら狼少女ジェーンのように一人の少女が飼われていた―――
抽象的でなくまっすぐな青春映画なのに、様々な隠喩とも思える巧みな設定と展開
監督の優しいまなざしから描かれる優しくない物語
悩める若者アニメとして永く残る一本になることだろう
コメントする