「こんな世界、早くぶっ壊れてしまえと正直思う。」アリスとテレスのまぼろし工場 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな世界、早くぶっ壊れてしまえと正直思う。
町にある製鉄所が爆発?したことをきっかけに、町単位で時間が止まり、歳をとることも成長することもなんだったら死ぬこともさえも出来なくなった人々の群像劇です。
時間の進行が止まったといっても一日の時間的経過は普通に起こるので一般的な日常生活は可能です。同じ一日がゆるく繰り返されるけど、進歩や未来が見えないっていう閉塞感あふれる生活なんでしょう。どうも移動も不思議な力で制限されてるらしいです。街の端っこに行く記述がなかったので、大人の都合、いわゆる眉唾かもしれません。
主人公の菊入正宗君はなんだか灘の酒みたいな名前(笑)ですが、それをいじって変なあだ名をつけることをしない本当に良い友人らに囲まれています。昭和時代のうちのクラスに居たら絶対、「ポン酒君」って言われたでしょう。無論、愛着を込めてですよ。話が脱線してすみません。
ただいかにも彼の行動、性格が根暗で厨二病全開なのは、工場で働いていた父親が謎の失踪してしまったこと、そして厨二・・・というか14歳だから本物の中二なんですけど、将来の漠然とした不安が時間の経過と共にうやむやになるという、いわゆる青春アルアルがこの歪な世界では絶対に起こらないので、これには同情するところが多々あるのかな、と思いました。
ただ、無駄に攻撃的で男嫌い?唐突にパンツ見せて正宗君の乙女心を踏み躙る、今の世の中だったらツイフェミ?にでも例えられそうなヒロインの睦実さんはいくらお顔がクールビューティーでも、一人の女性としても人間としても全く美しい部分が見受けられず、行動から何からまるで共感できませんでした。まあ、私が保守思想の強めな男性だからかもしれないですが、なぜわざわざ女性の悪い部分だけ顕在化させたような魅力が半減するようなキャラ設定にしたんだ、と思いましたよ。まあ、閉鎖空間で長期間拘束され性格が捻くれちゃったんでしょうけど。
そんな中、彼女について特に許せない部分がひとつ!
無垢なる者の化身の様な五実ちゃんが淡い恋心を正宗な抱くところを最後の別れ際で「正宗は私に一生ぞっこんなんだから、お前の出る幕無し(うすら笑い)」って捲し立てるシーンには、正直、ちょっと狂気すら感じました。いやはや、ロマンチックなシーンが台無しです。ちょっと私情がからんでいて情報の正確さに欠けることはご了承ください。
結論としては、あの世界は存在価値なしってことで私の中じゃ決定です。崩壊するところが見たかったなあ(笑)。
現実世界で五実ちゃんが家族に再会出来たようで本当に良かったです。終始圧倒された映像美とラストに関しては高く評価したいです。
追伸:あの学校の女生徒はブルマ履いてたりしてたり部屋にCDラジカセあったりしたので、あの世界は昭和後期の設定でしょうか。だったらポン酒くんもアリだわ(笑)。
返信ありがとうございます。
睦実が異常で正しくないのは間違いないですよ。笑
ただ、あの世界で最低10年、下手したら2〜30年抑圧されてたら、正常でいる方が異常かもしれません。
そんな中での初彼氏ですし、五実への愛情も芽生えてたはずなので、許してあげたいな、と。
もちろん個々人の価値観・感性の問題なので、あくまで自分の解釈として、ご容赦ください。
こんにちは。
睦実の五実に対する台詞は本音でもありますが、現実に帰すために突き放した面もあったかと思います。
“まぼろし”の自分たちはお互いを最優先にするけど、“現実”の両親はあなたを最優先にしてくれるハズだ、と。
五実もどこかでそれを理解したからこそ「大嫌いだから一緒に行かない」と返したのではないかと思います。
まぁ、あそこで真っ直ぐに愛情溢れる言葉を言わせないあたりがマリーなのでしょう。笑