「榎木淳弥さんの演技が魅力 岡田麿里作品で初めてアリだと思えた作品」アリスとテレスのまぼろし工場 名無しさんの映画レビュー(感想・評価)
榎木淳弥さんの演技が魅力 岡田麿里作品で初めてアリだと思えた作品
印象は何も残らなかったが、岡田麿里監督作としては初めて上手くいっているような気がした。
正直、岡田作品はどれも嫌いというか苦手(心叫、あの花…など 空青に至っては途中で見るのやめた)で、更にはMAPPAの作品も嫌いだった。
だが、今回はいずれも魅力となって返ってきた。
岡田麿里にしか扱えない世界観をある程度熟した上で見せられたため、それは認めざるを得ない。ざっくりしているようで、意外と丁寧なところはちゃんと丁寧なのである。
(繋がりが乏しかったり、モヤるとこはまだあるが…)
天気の子やすずめともよく似ており、規模は違えど、同じくらい私は良い作品だったと思う。
MAPPAとも相性がよかった。
そして、今作は榎木淳弥さんの自然で軽やかな演技が光っていた。わざと感がなく、“セリフ”と言うよりそのキャラから漏れ出てる声だ。
声優さんの掛け合いは上手くいっていたようで、それはよく伝わった。そして、それを重要視しているのが岡田監督作品らしさなのだと、思った。
一方で、
カット間の変化が少なく、
同じ画を見せられ続けている感じがした。
閉じ込められているにしても、もうちょっとやりようはあったと思う。
3人の関係について、色々遊んであげてるとこをダイジェストにするとか。カットの変化を増やし、豊かにして、力強い「仲間外れ嫌!」台詞の舞台裏を描いてあげるとか。
あと、まだエロティック要素はあっさりしているので、もっと気持ち悪くしてよかったと思う。
総合的には、個人的に好きでは無いが、こういうのもアリだと思う。
あの花までは、置いてけぼりにも程があると言った感じで、雰囲気や感情の勢いで上手くやり過ごせてる感じはなかった。
しかし今回はちょっとくらいぶっ飛んでても少しは平然と受け入れられるような環境作りがあったため、導入から割と自然に入れた。
エンタメ作品としては優しくない作品ではあるが、そこは紳士に寄り添ってあげてみて欲しい。
ちなみに、新海誠作品と通ずる所は多くあるが、全く別物だと思っている。
タッグを組めば〜など言っている方がいたが、そういうことでは無い。それぞれがそれぞれの良さを追い求めている。