「世界観と心理描写がピカイチの作品」アリスとテレスのまぼろし工場 ツツジさんの映画レビュー(感想・評価)
世界観と心理描写がピカイチの作品
映像・演出・演技(20)
MAPPA制作なので映像は申し分ない。他の音楽や演出は標準的。しかし、声優の演技はとても良かった。
15点
世界観(20)
世界の神隠しという世界観はとても面白い。キーが製鉄所なのも独創的で良し。身体は成長せず、内面は変化する(これも身体のホルモンバランスにある程度依存するため限定的ではあるが。)幻影の町の住人と、身体は成長し、内面の変化が乏しい現世の少女いつみとの構造的対比が美しい。しかし、微細な矛盾点が存在したのでわずがにマイナス。
18点
脚本(20)
全体的はストーリーラインは問題ないが、緩急が付けられているとは言えず非常に惜しい。
8点
キャラクター造形もしくは心理描写(20)
キャラクター造形は標準的だが、主人公やヒロインをはじめとした人間の感情の非一貫性が克明に記載された作中の心理描写は良し。特に恋愛感情に関してはかなり深くまで踏み込んでおり圧巻。
キャラクター心理描写優先評価で
17点
メッセージ性(20)
メッセージは『変化することの尊さ』が押し出されていた。しかし、閉じ込められた町の変化を嫌う(かなり曖昧だが。)性質と主人公たちの行動の矛盾は解消されていなかった。
10点
総評
68点
エンタメ作品として見ると良作とは言えず、かと言って駄作と評するには出来が良いので、この評価。エンタメ作品としてというよりかは小説を読む心持ちでいくと良いだろう。後になって考えると新しい発見があるのもこの作品の面白い点だ。
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