「恋する 衝動が、世界を 壊す」アリスとテレスのまぼろし工場 ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
恋する 衝動が、世界を 壊す
原作・脚本・監督: 岡田麿里
副監督: 平松禎史
美術監督: 東地和生
キャラデザ: 石井百合子
音楽: 横山克
〔敬称略m(_ _)m〕
加えて、中島みゆきさんが書き下ろした主題歌、MAPPA初のオリジナル劇場アニメーション作品とくれば、期待しない方が無理。
公開をずっと!ずっと!待ちわびておりました!
初日8時半から鑑賞!
岡田麿里監督の作家性が爆発している作品でした!!!٩( ᐛ )و
役者の演技も素晴らしかったですし、繊細で力強くて、幻想的で細部にまでこだわりを感じた映像!
もしかすると作品を食ってしまうかも?の、みゆきさん起用の主題歌も見事に後押し!最高でした!!
監督自らお話しされていますが、田舎の閉鎖的な場所で、母子家庭で育った事。お母様との不仲。
思春期に不登校、引きこもりを経験。
そんな時期の自らの置かれた環境や葛藤などを全てをぶつけた、その過去を昇華させた作品なんじゃないかと思いました。
印象的な名シーンや名セリフが多く、全ての想いを語り尽くせません。
⚪︎冒頭のドアップ!
フクロウ時計の目玉が左右に動き「時を刻んでいる」意味深なシーン。
⚪︎正宗が教室を移動する時に屋上にいる睦実の姿「影」を見上げるシーンがたまらない。
⚪︎好きな気持ちを見せ物にされたと泣いた園部。自身無さげな感じとは裏腹に、心の中のドロドロとした感情。
⚪︎フライヤーの表紙にもなっている、五実が手のひらをかざし、あちらの世界の陽の光を感じるシーン。手のひらが光に透けてとても美しい。
⚪︎バス停での原と安見の会話。
「スイートペイン」私もこんな会話していましたよ(^。^)
特別なんかじゃなく、どこにでもいる普通の女の子達だったよね。
⚪︎正宗のグループの中でも地味目な仙波が、この世界だからこそ持てたという将来の夢。変化を望みそして。。
⚪︎アニメ史上最高のシーンになり得るだろう。正宗と睦実のキスシーン!!
閉鎖された街、永遠の冬に閉じ込められた人々。
⚪︎匂い。。
臭くないでしょ。まぼろしだから。
⚪︎痛み。。
失神ゲーム。高所からの飛び降り遊び。
⚪︎睦実が上履きを盗む。。
攻撃。精神的な苦痛(暴力)
⚪︎スカートをまくって見せる。。
情動。からかい。
閉鎖された街では匂いもないし寒さも感じない。
生きている実感を求めて、痛み・暴力・性的な衝動に興味が向かうというのは、見ていて不快にもなるし、危険な事だが、、私にはまともな感情に見えた。
生々しい性の描き方、鬱屈した感情、不安、孤立、好き、嫌い。。
加えて主人公達の置かれた特殊な環境。
思春期の複雑な思いが交差した
「衝動」の凄まじさを感じた。
それは世界をも壊す衝動だった。
キーとなる「五実」という隔離されて言葉も話せない狼のような少女。
何も知らない無邪気さ、素直さ。
そして正宗に対する初めての恋。
五実の心の変化が均等を揺るがすきっかけとなっていく。
女が好きだけど、好きな女がいるわけじゃない
でも。。嫌いな女ならいる。
菊入正宗 は、佐上睦実 が 嫌 い
2人と関わる事で、正宗の心にも又、変化が起き、考えるようになっていく。
恐れず突き進む姿に力強い意志を感じた。
又、睦実と五実の「女同士」としての描かれ方には「マリーらしさ」全開のいやらしさも滲み出ており、そこまで言うかのあのセリフも、やはり名セリフだった。
列車の上で本音をぶつけ合い、五実の将来を考える愛情を見せてくれた睦実に泣かされました。
SFとしての描写が甘いとか、永遠にある物質、ラストの描かれ方への好みなど、いつもならケチをつける部分もありましたが、とことん感情に沿っていて、そこがブレなかったからこそ力強い作品になり、感動したのだと思います。
思春期の頃の心の中にあった、あの得体の知れない衝動や葛藤、情動を見事に表現してくれた秀作です!!
最後におじいちゃん。ボケてるのか?思うてごめん。グッジョブ!
いつもコメントありがとうございます。
濃縮しすぎて、マリー慣れしてない方にはエグみが強そうでしたね。笑
キャラが多く、それぞれ掘れる要素があるのでもっと見たいのが正直なところです。
原ちゃんはまだ優遇されてますが、園部や仙波、正宗父や佐上にも匂わされてる部分がありますし。
個人的には笹倉と安見をもっと知りたいし、「スイートペイン」的な日常会話をもっと欲しい。
ちなみに正宗が影を見上げるシーン、絶対振り返る前から睦実だと確信してましたよね。