「ためになったし、エンディングは痛快」スイング・ステート CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ためになったし、エンディングは痛快
恋人同士なのに、かたや民主党の、かたや共和党の、それぞれ選挙対策陣営の顧問をしているゲイリーとフェイスが、とある片田舎の基地閉鎖でさびれた町の町長選挙をかけて争う話。
ここまで巨大化、お祭り化した全米大統領選挙を痛烈に皮肉った作品。最後まで観れば、ちゃんとどんでん返すよ。痛快。
その分、途中の流れは、自分にはそんなに面白いわけじゃなかったけど、これは米国人じゃない弱みかも。たとえばフェイスが「情報戦に負けないように、津会える奴を連れてこい。誰かって?名前なんか知らない。ヒゲとオタクとメガネだ!」って叫んだその時に、それらしき3人が主人公ゲイリーの陣営に加わっているのが見える、なんてシーンは全米では大笑いなのかな。人種差別撤廃を訴える民主党の選対の中でも明らかに人種差別しているスタッフがいるってのも「あるある」って大笑いなんだろうな。大佐のニューヨークでの "裕福な人たちの前でのスピーチ" も米国人なら胸がすっきりするのかしれない。
いずれにしろ、米国の選挙がよくわかるしちゃんとエンタテインメントだし、観て損なし。他山の石としよう。
原題 「irresistible」 の意味は、抵抗できない、抑えられない、禁じえない、人を悩殺する、愛らしい、魅力的な、文句の言えない、いやおうのない といったところ。
選挙は、いったんやったらはまっちゃってやめられないもの、という点を揶揄したものかな。
この映画を見るにあたって必須の知識です。まあ、俺は知らないで観ても楽しめたから必須とは言いにくいかな、でも知ってた方がより楽しい。
スーパーPAC:米国でも企業・団体・組合が政党や政治家に直接献金することは禁止。通常は政治活動委員会(PAC)という政治資金団体を設立し、企業の役員や大口個人株主といった個人から資金を集めて献金していたが、個人献金は年間1人5000ドルに制限されていた。しかし、2010年の判決で「支持する候補者や政党と直接協力関係にない政治活動であれば、献金額に限度を設けてはならない」との命令が下されて以降は、「候補者から独立した政治団体」が、企業献金や個人献金を大量に集め影響力が大きくなった。これが、特別政治活動委員会(スーパーPAC)。無制限に資金を集めることが許されており、テレビのCMなどを利用して様々なキャンペーンを行なっている。
527条政治団体:公職者の選定、指名、選挙、または任命に影響力を及ぼす目的で結成され、選挙委員会によって規制されず、またPACのように寄付制限を受けない。これに対し、以下の批判もある。
「米国の選挙費用はきわめて高く、その費用が民間の資金源への依存と結びついているため、富裕な献金者と強大な利益団体が社会政策に不当な影響力を及ぼすという不安を引き起こしている」
(以上2件、Wikipedia等より引用)
以下はネタバレのあるかもしれないけど、いいなと思ったセリフを残しておきます
・ (景気が)よい時代に強がるのは簡単。苦しい時にこそ、信条を貫け。
・ 敵とは正直にぶつからないと勝負には勝てない。
・ 敵が汚いならこちらは清潔に。いっしょに汚くなったら後悔する。
・ 個人攻撃じゃただの足の引っ張り合い。情報戦じゃみんなをおかしくしてしまう。
・ 報道も加担していること。ニュースはもはや娯楽のひとつだ。自己免疫疾患だ。
以上です。