華のスミカ

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華のスミカ

解説

華僑4世の林隆太監督が自身のルーツをたどり、横浜中華街の知られざる歴史を描いたドキュメンタリー。横浜中華街にある日本最大規模の中国人コミュニティ。その歴史は約160年前にまで遡り、彼らは団結することで中華街を発展させ、幾多の困難を乗り越えながら日本社会で独自の地位を築いてきた。しかし1952年、横浜中華学校で毛沢東を支持する教育が行われているとして教師が学校から追放された「学校事件」をきっかけに、大陸系と台湾系に学校と華僑総会が分裂し、長きにわたって対立が続いた。かつて紅衛兵だった父の写真との出会いをきっかけに家族の過去と向き合うことを決意した林監督が、日中台の政治に翻弄されてきた華僑の苦難と葛藤の歴史、そして共生の時代を歩む現在の姿を映し出す。

2020年製作/98分/日本
配給:記録映画「華僑」製作委員会
劇場公開日:2021年8月28日

スタッフ・キャスト

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(C)2020 記録映画「華僑」製作委員会

映画レビュー

5.0横浜中華街の歴史から見る日中台の複雑な関係

2021年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

横浜中華街における、中国と台湾の対立の複雑な歴史を、監督の家族のルーツをベースに個人史と絡めて解き明かす素晴らしい作品。
中国大陸と台湾の対立は、近年国際社会の中でも大きな関心ごとになっており、日本も利害関係においても地政学的リスクにおいても無関係ではない。その中国と台湾、そして、日本の歴史が複雑に絡まり合い、今の横浜中華街が出来上がっている。大陸系と台湾系の対立はこの街にも存在し、学校が分裂、中国と台湾の政治的な動きに常に翻弄されてきた。親戚同士でも政治的な考えが対立することすらある。
今でも横浜中華街には、中国系と台湾系の学校に分かれている。それぞれの学校に通わせるのか、日本の一般の学校に通わせるのかの選択は、中華街の住民にとって大きな意味を持つようだ。
中華街では国慶節などを祝う行事も催される。それぞれの記念日には、台湾系の店は国旗の旗をしまうなど、譲り合いの精神もあり、対立はあっても共存している様子をカメラは映し出す。だから、いつ訪れても、水面下での思想的、歴史的対立はあれど、中華街は平和に見える。しかし、中国と台湾の大陸はどんどん先鋭化している。これからも中華街の平和は保てるのだろうか。
この映画は見せる歴史は間違いなく、日本の歴史の1ページでもある。この歴史を知ることができて本当に良かった。

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杉本穂高

5.0私、家、町、国家の繋がり。

2022年1月10日
Androidアプリから投稿

セルフドキュメンタリーは10年以上前に流行って今でも嫌な言い方をすると濃厚なサブカルシーンでたまに話題になったりしているが、あまり楽しく観たことがない。
そんな、構えを持って観に行ったが、素晴らしかった。自分、家、町、国家のアイデンティティーの葛藤を連ねることで、厚みができている。ビジネス本でもたまに架橋に学ぶ交渉術のような本が出版され、私の実感でも架橋の人はビジネスに強いと思っているが、このような広がりのある考えをするから、強いのではとさえ思った。ある時代の終焉を静かに見届ける聡明な感覚が素晴らしい。今後の学習教材資料の定番になりそうな気がする。

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タカシ

3.5これは、個人の歴史の集合体

2021年11月16日
Androidアプリから投稿

横浜の華僑の台湾系、大陸系の対立の歴史をたどりながら、視線はあくまで個人の歴史をたどる。監督自身の父を起点に、おじ、祖母、そして父の恩師、中華街の顔役。個人の歴史に徹することで、政治に巻き込まれない歴史記述になっている。
印象に残ったのは、蒋介石も毛沢東も食べ物を持ってきた人として、支持されていた事。結局、そこなのかも知れない。

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kappan

4.0こんな映画が観たかった!

2021年10月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

日本最大とはいえ行ってみると決して広大ではない横浜の中華街にある、台湾系と大陸系(中国系)2つの中国学校の話は以前新聞で読んだことがある。

記事によると驚いたことに日本人の入学も受け入れ、実際に毎年希望者がいるというので興味深かった。

その2つの中華学校を中心に語られる中華街の歴史と関係者の証言によるドキュメンタリー。

中華街というと中華人民共和国(大陸系)のイメージだったが、中華民国時代(国民党政権)に整備された街である為、実は今も台湾系住民が多いというのが驚きだった。

近々、中華街に行ってみよう!

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