「横に並んで言い合いをする長回しの場面が凄く面白い」猫は逃げた ねこたまさんの映画レビュー(感想・評価)
横に並んで言い合いをする長回しの場面が凄く面白い
R15+指定のラブストーリー映画のコラボレーション企画として製作された映画。「愛なのに」と脚本家と監督が入れ替わって襷になっている。
山本奈衣瑠さんと毎熊克哉さんのダブル主演。
山本奈衣瑠さんの初主演映画でもある。
この2人の演技がいい。山本さんは上手いし、毎熊さんは上手いというよりも空気みたいな存在感が凄く良い。
毎熊さんは「コントが始まる」というテレビドラマで、菅田将暉さんの兄(引きこもり中の兄)を演じていて、その時から注目していた。
全編、ずっと面白いのだけれど、終盤、主要登場人物4人が横に並んで言い合いをする長回しの場面があって、それが特に凄く面白い。
毎熊さんは、この場面ではほとんど台詞がないのだけれど、目線とリアクションがお芝居全体のリアリティーの土台を作っていると思う。
これも、R15+指定のラブストーリー映画なので、地上波で放映出来ないのが凄く惜しい。
上映後に、脚本の城定秀夫さん、監督の今泉力哉さん、主演の山本奈衣瑠さんと毎熊克哉さんの4人でのトークショーがあった。
監督2人は、このコラボレーション企画の成り立ちや創作について、城定さんは淡々と、今泉さんは朴訥に話しをしてくれて、非常に興味深かった。
主演の2人は、コロナ渦でのキャスティングの裏話や撮影や役作りの話しをして、こちらもとても面白いお話し。
お互いがお互いを各々リスペクトしあって、馴れ合わず、プロとして力を合わせたことが伝わってきて、ぽかぽかとした良いトークショーだった。
何よりも、全員が作り上げた作品を愛していることが伝わってきた。
映画を作る人は、この4人の皆さんのように、映画の観客に対して、映画の土俵の中で向き合って発信して欲しい。