「【一匹の猫の出現、失踪により引き起こされる4人の男女のアガペーとエロース、そしてフィリアを描いた作品。脚本・演出、4人の俳優の演技良し。ユニット”L/R15”が世に出した恋愛群像喜劇である。】」猫は逃げた NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【一匹の猫の出現、失踪により引き起こされる4人の男女のアガペーとエロース、そしてフィリアを描いた作品。脚本・演出、4人の俳優の演技良し。ユニット”L/R15”が世に出した恋愛群像喜劇である。】
ー ”L/R15”の「愛なのに」を観た数時間後、今作を鑑賞。
今泉力哉監督と、城定秀夫監督の脚本・演出のセンスの良さに脱帽した。ー
■一匹の猫カンタとの出会いが後押しし、結ばれた亜子(山本奈衣瑠)と、ヒロ君(毎熊克哉)。
だが、徐々に夫婦仲に罅が入り、現れた漫画家になった亜子の編集者松山君(井之脇海)と、週刊誌記者のヒロ君に密かに恋する真実子(手島実優:「フタリノセカイ」で観ている筈なのだが、今作の猫みたいな演技には、ビックリ。)
一匹の猫カンタの失踪により、4人の可笑しな関係性を描く。
◆感想
・亜子とヒロ君が、離婚届に署名、押印した後に、届の上にカンタが小便をする暗喩的なシーンから物語は始まる。
そして、時は二人が出会った頃に戻ったり、冷え切った関係の現在を描いたりしながら、物語は進むのだが、カット割りが絶妙で違和感なく観れる。
・敏腕スクープ記者である、真実子が企んだ事が絶妙に可笑しい。
- 好きな人と一緒になりたいからって、二人の鎹であるカンタを誘拐って・・。可笑しい。-
・怪しげな映画監督(この人誰だろう・・、演技上手いなあと思っていたら、家人が教えてくれました。お笑いの方で伊藤沙莉さんのお兄さんの伊藤俊介さん。”そんな事も知らないのか!”と言われそうですが、知らなかったんだもん!)が試写会「二人のパンツ」上映後、ヒロ君と真実子にしたり顔で語るアガペーとエロース論。
- このシーンを何故挿入したかが、後半分かって来る。エロスじゃなくって、エロースなのね、監督・・。-
・亜子との情事のシーンを真実子に”スクープ”されてしまった松山君が、オロオロしながら真実子の部屋でカンタの面倒を見たり、ブレンドしたお茶を真実子に淹れてあげたりしながら交わす会話。
- ”それ、誘拐ですから!””猫は刑法上はモノだから窃盗だよ!””どちらにしても法に触れているじゃないですか・・。”あー、オカシイ。-
■白眉のシーン
・真実子がカンタを部屋に住まわせていた事が発覚した後の、亜子とヒロ君の家での亜子とヒロ君と松山君と真実子の会話が絶妙に可笑しくて。
亜子は、作業机の椅子に踏ん反り返って座り、真実子と、ヒロ君と松山君は、ソファーに三人で座っている。
亜子と真実子の遣り取りがオカシクって。
キレる亜子に対し、逆切れする真実子。男二人は横でチンマリと小さくなって座っている。
が、段々会話がズレて行き・・・。
ー 何だ、亜子とヒロ君は今でも相性が良いんじゃない。-
<ラスト、4人は仲良く河原で写真を撮る。
亜子とヒロ君と、真実子と松山君。(二人は2カ月前から同棲していると話す。)
そして、カンタが亡くなった後、カンタのガールフレンドの猫ミミが産んだ4匹の子猫を4人が引き取る。
ヒロ君を演じた毎熊克哉さんのちょっと困った様な顔。
亜子を演じた山本奈衣瑠さんの不安を隠しながら、徐々に松山君と関係を持って行く際の微妙な表情の変化。
松山君を演じた井之脇海のどこかオロオロした態度。(ブレンド茶をちゃちゃっと淹れる姿。)
そして、真実子を演じた手島実優の勝気な女性を演じる姿。
(この女優さんは、是非ブレイクして欲しいなあ。)
脚本・演出良し、4人の俳優の演技良しの素敵な作品でありました。>
NOBUさん、コメントありがとうございます。
>ぷーちんの前で
シベリア送りにされたくないので
全力で辞退いたします (汗)
>脚本、役者の演技、演出の出色の出来
本当にその通りと思います。
こういう作品に出会えると、すごく嬉しい。
長文はすごいです!私は書けません笑
「愛なのに」もいいですが、「猫は逃げた」は、やはり今泉力哉の演出が効いてますね。
私は新宿、渋谷で観れるので、恵まれてますね。
やっぱり今泉監督、最高です。
会話での可笑しみ具合が絶妙で
本当に好きです。^ ^
「アイネクライネ〜」「mellow」「his」と観ると幸せな気分に
なれる良作ばかりですよね。
「アガペーよりエロースに、、」
って繰り返される度におかしくて
最高でした。(^。^)