「愛を否定すんなっ。」愛なのに TSさんの映画レビュー(感想・評価)
愛を否定すんなっ。
R15+で濡れ場があるのに、コメディ要素満載の映画。今泉×城定コンビだからできた作品。
女子高生(河合優実)の一方的な告白ラッシュに古本屋店主の多田(瀬戸康史)が戸惑う話が軸になっているが、そこに大人の恋愛(性愛?)が妙な形で割り込んでくる様が面白い。
低予算の映画だと思うが、脚本が面白い上に、役者の自然な演技が面白さを誘う。
振り返ってみると、登場人物のキャラが濃い。
・とにかく好きなんで結婚してくれというしつこい女子高生(怖いって)。
・その女子高生に振られてバラの花を花壇に植える男子高生(怖い・・・けど面白い)。
・相手に浮気されたら自分も浮気してみよう、相手は自分に好意を持っていた男にしようという新婦(無鉄砲さと無神経さが怖いよ)。
・浮気相手に別れ話を切り出されても平気な顔で「群を抜いて下手」という女(じゃあなんで今まで浮気してたの?)。
・浮気しに行ったかもしれない妻を心配するでもなく、カップ焼きそばとビール飲んで、帰ってきたらをそれを隠す夫(ノー天気すぎて笑う)。
・「気持ち悪い連発」の目力強い女子高生の母(コントですか?)。
・「一回諦めたら癖になるぞ!」と意味深な台詞を吐いておきながら、実は自分は逆上がりできない父親(この台詞は重要な伏線と思いきや、最後のオチのためだけの台詞だった)。
さとうほなみ演じる新婦一花はどこか壊れていると思われるので、映画だから面白く見れるが、実際いたらあまり近づかない方がいい部類の人(あんなことがあったのに結婚式に招待するところが普通じゃない!)。
女子高生の岬もどこか壊れているように見えるが、こちらは大人になるにつれて徐々に普通になりそう。多田が「愛を否定すんな」と叫ぶが、多分愛じゃないって、これは。
最後の引出物が夫婦茶碗で、その片方の赤い方を多田が岬に渡すシーンが一番笑った。
ラブコメディ×超マイルドなピンク映画、ときどき真面目。そんなテイストで尺もちょうどいい具合の作品でした。