「俺は、今泉脚本が好きらしい」愛なのに CBさんの映画レビュー(感想・評価)
俺は、今泉脚本が好きらしい
古本屋の店主に恋した女子高生が、店主に直球で愛をぶつける一方、店主が今でも想い続けている女性は結婚直前の彼氏の浮気に怒りある決意をもってなんの関心もなかった店主とまた会うという話。
今回の作品は、今泉監督と城定監督が、お互いに脚本を提供しあって、相手の脚本を監督して作品を作るという企画。だからこの映画は、今泉監督が書いた脚本を城定監督が監督して作った方の作品。今回、両方の作品を観て、どちらも面白かったが「脚本のよい映画はおもしろい」のではないかと感じた。そして今回は、脚本の面では今泉さんがうまいなあ、という印象だ。話が俺の好みとあっているんだろうな。
というわけで俺はこっちの映画の方が好きだったわけです。
冒頭、万引きして逃げながら、追いかける店主が息切れしていると水を買ってあげる女子高生。もうこういうところが今泉脚本のいいところだと思う。
この後、ちょっとねたばれなので観てない方は、映画観てから読んでください。
終盤、やってくる両親。「気持ち悪い。気持ち悪いんですよ、あなた!」と絶叫する母親、「もう決して会うな」とだけ言う父親。主人公は「本人に黙って手紙を読んだ?ありえない」と絶句。
ふと手を胸に当てて考えた。自分の娘が同じ状況だった時、俺ってどうする?この母親や父親と五十歩百歩?「心配だから」のセリフですべてが許されることにして手紙を盗み見る?? うわあ、怖い。同じ状況になったら、似たようなことやっちゃってるかも・・。あらためて心しよう。彼女は純粋に好きなだけのに、こちらはアプローチされているうちに好きになってきただけなのに…。そうか、だからタイトルは「愛なのに」なのか。
もう一方では、こちらは純粋に好きなだけのに、相手は身体だけでつきあってくる・・今までよく語られた話を男女逆にしてあらためて語ってみる。こちらも「愛なのに」なんだね。
そして印象に残ったセリフたち。
「名前を憶えてほしくて盗んでしまいました、本」
「告白されて、拒絶されたら、気まずいじゃんか」
「え、いやですか?いやじゃないでしょ? どうでもよくないと気まずくなるの? 私のことなんて、どうでもいいのでは?」
ああ、やはり今泉ワールドは、いい・・
追伸
劇中で語られる「「映画『卒業』ってひどい話なんだよ。お母さんと娘の二股かけてるんだよ・・」のところ、自分も激しくうなづきました。それまでは型通りの正しい道みたいな話が多かった映画にアメリカンニューシネマとして、若さゆえの暴走も描かれて大ブームだったとはいえ、『卒業』はそりゃダメだろって話だと思う。自分が観た時の憤りに近い戸惑いを感じてみたいという方は『卒業』のレビュー読んでください。
CBさん、コメントありがとうございます。
>それをすんなり受け入れられるのが、いい脚本なのかな
後になって「あれ?」 と思う事が出てきても
鑑賞中にはそんな事を全く感じさせず、
鑑賞後には 「ま いいか」 で終わることの出来る作品
そういう作品が、良い作品なのかなぁ と思ったり
ただひたすらストーリーに没入できるのが良い作品かも
と考えたりしてます。
途中が楽しく、ラストも納得できる作品が好きです。
今年もよろしくお願いいたします。
新年おめでとうございます。
昨年は本当にお世話になりました。
優しいコメントにどれほど助けられたことでしょう。
新年早々、攻めた映画でちょっと恥ずかしいです。
今年も宜しくお願いいたします。
今晩は。
「脚本のよい映画はおもしろい」
これ、私の中では鉄板です。
邦画に関しては、公開される映画の八割は読んでいますが、それ故に
脚本の良しあしが映画には影響するのは必然ですね。
でもね、私が一番好きなのは、オリジナル脚本で勝負する今泉監督や、中野量太監督の作品なんですね。無から有を生み出す、しかも商業ベースで勝負できる監督って、凄いなあと思います。海外は、マーベル作品は除いて、6割がたは”ブラック・リスト(この制度は日本でもと入れて欲しい・・。)をベースにした作品ですよね。では。返信は不要です。