「【”どのような形の愛でも否定から入らない大切さ。”優しき世界観が心地よいコミカル要素をパラリと塗した複数の恋物語。今泉力哉監督による脚本と、城定秀夫監督の独特な世界観が見事に止揚した作品。】」愛なのに NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”どのような形の愛でも否定から入らない大切さ。”優しき世界観が心地よいコミカル要素をパラリと塗した複数の恋物語。今泉力哉監督による脚本と、城定秀夫監督の独特な世界観が見事に止揚した作品。】
ー 男にとって、最も言われたくない言葉の一つと思われる、
”下手ですよね・・。””え?””だから、群を抜いて下手ですよね・・。”
一花(さとうなおみ)の婚約者亮介(中島歩)が浮気相手のウェディングプランナー美樹(向里裕香)から“事が終わった後”に言われた言葉である。
美樹は本当に、一花と亮介の結婚生活を心配して発した言葉だと思う。
その言葉を、困った表情で聞くパンツ一枚の亮介の、情けない姿。
クスクス笑いながらも、男としては粛然な気持ちになるシーンであった・・。-
◆感想
1.古書店主多田(瀬戸康史)の、二人の女性、岬と一花に対する真摯な接し方が、とても良い。
・イキナリ、常連の可憐な女子高生、岬(河合優実)に”結婚してください!”と言われて驚くも、(そりゃ、そーだ)丁寧に接する姿。
・好きだった一花が、結婚直前に婚約者が浮気している事を知り、彼に会いに来るも、そして断りつつも、最後は受け入れる姿。
- 世間的には、彼の行動はアンモラルに取られるのかも知れないが、私は彼の人としての優しさ故の行動だと思った。-
2.登場人物が、皆憎めない所が、良い。そしてコミカル要素を塗して描かれている所も。
・一花の婚約者の行為は、赦されざるものだが、それに対する一花の行動が凄い。
そして、性の喜びに目覚めてしまった彼女が、教会で懺悔するシーンも絶妙に可笑しい。
- あれは、神父さん困るよなあ。
そして神父の言葉を間違えて捉え、再び多田の元に向かう一花。
だから、神はそれは駄目だって言ってるじゃない・・。クスクス可笑しい。-
3.作品の優しき空気感が良い。
・これは、今泉力哉監督による優れた脚本と、「性の劇薬」(ビックリした作品)「アルプススタンドのはしの方」「女子高生に殺されたい」で発揮された城定秀夫監督の醸し出す独特な世界観が見事に止揚した結果であると思われる。
4.人として不器用ながらも真剣に生きる人々の姿が良い。
・岬の事が好きで、多田の店にまで来る同級生の正雄が、多田に殴りかかるシーン。
・岬の両親が夜、多田から岬に渡した青い封筒に入った手紙と共に、多田の家を血相変えて訪れるシーン。一方的に多田を攻める両親に対し、多田が言い放った言葉。
”愛を否定するな!”
<今作は、エロティックで、コミカルで、けれども人として不器用ながらも真剣に思いを伝えようとする人々の姿が心地良かった作品。
ラスト、一花の結婚式の引き出物を多田に持ってきた広重(毎熊克哉)達が、彼の隣にいた岬の姿を横目で見ながら渡すシーン。
そして、彼らがそそくさと店を出た後に包みを開くとそこには夫婦茶碗が・・。
少し、恥ずかし気に赤い茶碗を岬に渡す、多田の姿。嬉しそうな岬の顔。
最上の形で、二つの個性から産まれた佳き作品である。>
NOBUさんコメントありがとうございます。ギリギリ間に合いました。
夫婦茶碗を貰った時の岬の表情が可愛いかったですね。
要注目の女優さんです。河合優実。
NOBUさん、コメントありがとうございます。
もらったばかりの夫婦茶碗。
その一方を多田くんが岬ちゃんに「あげる」と渡す場面。
良いシーンだったなぁ、と思い出しました。
もしかしたら、岬からの
「私と結婚して下さい」
への返事だったのだろうか?
そう思ったら、より素敵な場面に思えてきました。