「大人のためのシチュエーションコメディ」愛なのに 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
大人のためのシチュエーションコメディ
三十路の古本屋主人が女子高生にいきなり結婚を迫られる。結婚直前の新郎が担当のウエディングプランナーと浮気する。その理由をもっともらしく描くことはしない、「もし〜だったら」から始まるシチュエーションコメディ。
冒頭の万引きシーンから、快調に過不足なく物語が転がっていく。最初は並列だった店主と女子高生、新郎新婦とウエディングプランナーの2つのパートが繋がっていく構成も上手い。
何より目を見張ったのは、城定監督の演出力。俳優陣の自然な会話を引き出し、カットつなぎ、場面転換も的確で心地よい。ベッドシーンも節度を保ちつつ、熱いところも見せてくれる。新郎とウエディングプランナーのシーンのスローズームアウトなんて最高。久しぶりに劇場で声を出して笑ってしまった。
俳優陣では、瀬戸康史がこんなこともできるんだと驚く一方、中島歩の情けなさがあまりにハマっていて見事。女優陣の脱ぎっぷりも良かった。河合優実は、かつての原田知世を彷彿とさせるザ・女子高生の雰囲気。
作品のテーマとしては、プラトニックな愛と大人の性愛を対比しつつ、人それぞれの愛の形があって、それを肯定しよう、といった感じか。ラストシーンも、きれいにきまっていた。
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