「シリーズでは一番良かったと思うけど、心霊スポットは実在だけど、村はフィクションで、これって“実録恐怖の村シリーズ”でいいのかな…?」牛首村 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズでは一番良かったと思うけど、心霊スポットは実在だけど、村はフィクションで、これって“実録恐怖の村シリーズ”でいいのかな…?
三度、足を踏み入れてしまった…。
『犬鳴村』『樹海村』に続く、清水崇監督の“実録!恐怖の村シリーズ”第3弾。
今回の題材は…
北陸最恐の心霊スポット、“坪野紘泉”。
1982年に廃業し、廃墟となったホテル。現在立ち入り禁止。
そこで撮影を行い、撮影中に心霊現象が起きたという…。
シリーズでも屈指のガチヤバ恐レベル…!
今回も登場。シリーズお馴染み、心霊スポットに赴いて生リポートするYouTuber“アッキーナ”。
演者と役名は同じだけど、前2作とはまた別人。今風に言うと、“マルチバース”のアッキーナ…?(毎回死んでるし)
そんなアッキーナも今回ばかりは…。
今回は女子3人組でお届け。そのロケの最中、一人の少女が行方不明に…。
女子高生の奏音。自称“カレシ”のクラスメイトの蓮から、アッキーナの心霊動画を見せられる。そこに映っていたのは…
行方不明になった少女が、自分と瓜二つ…。
気になった奏音は、蓮と共に坪野紘泉がある富山へ。
海岸で蜃気楼。坪野紘泉で奇怪な出来事。
“何か”を目撃する。
時折奏音の記憶に現れる一人の少女。ある村。
自分はそれらを知っているのか…? 関係があるのか…?
奏音とそっくりの少女。
記憶に無い自分か、もう一人の自分か、色々考えられるが、もっと単純。動画の少女は、生き別れた双子の妹。詩音。
奏音に内緒で来ていた父と、死んだと聞かされていたが、この地で暮らしていた再会した母から、幼少時の事を聞かされる。
幼い頃、この地で暮らしていた。
記憶に無いが、時々頭の中でフラッシュバックする光景は、幼少時代の自分と妹だった。
何故記憶から抜け落ちた…? 何故存在も分からぬよう引き裂かれた…?
その理由は、この村“牛首村”にまつわる因習…。
牛首村では双子は“忌み子”とされ、危惧した両親は姉妹をそれぞれ引き取り、母と妹は村に、父と自分は村を出…。
奏音の祖母も双子であった。祖母の妹に起きた悲劇…。
村の因習により、祖母の妹は深い穴に落とされ、牛の神=牛頭に捧げられる。
所謂“生け贄”。どれほどの昔の事か明確にされていないが、本当にあったのであろう旧い時代の閉塞的な村の狂信的な習わしが戦慄…。
幼い子供が深い穴の中で生き延びられる訳ない。…が、生きていた。他に生け贄にされた子を食って。
その怨念が、災いをもたらす…。
坪野紘泉は実在の心霊スポットだが、メイン舞台の牛首村は“フィクション村”。
実在の心霊スポットを舞台にしたホラーを期待すると、ちょいピント外れ。実際は忌まわしい村とある家族の悲劇。
清水ホラーお馴染み、ラストは非現実離れに。奏音と蓮が突然過去にタイムスリップ(?)して、穴の中で祖母の妹や詩音と会うが…、ちょっと突飛し過ぎ。悲劇に翻弄されながらも、家族の血や姉妹愛を描いたのかもしれないが、お決まりのグダグダ唐突。意図が伝わり難い。
が、坪野紘泉でも案内してくれた松尾サンの死のシーンはまるで『ファイナル・デスティネーション』級の強烈さ!
旧い因習根付く閉塞的な村の雰囲気が横溝ミステリーのようで、話的にもシリーズの中では一番良かったかな…?
清水ホラーであり、“実録!恐怖の村シリーズ”であり、大型新人のデビュー作!…でもある。
キムタクと工藤静香の娘、Koki。
一体どういうコネで抜擢されたか、その謎はひとまず置いといて、その演技の程は…
さすがに拙さはあり。所々棒読みであったり、演技もぎこちなかったり。
でも、スゲー下手ってほどではなく、恐怖演技や奏音と詩音の一人二役も熱演していたと思う。(あくまで個人意見)
何よりキムタクと工藤静香の娘。凡人離れした美貌と佇まいとスタイル!
ひょっとしたら作品や題材の恐怖より、そっちの方こそ驚異的であったかもしれない…。