「とても力の入った」共謀家族 tkryさんの映画レビュー(感想・評価)
とても力の入った
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作品で面白かったです。
キャラの描き分けがしっかりしていて、家族への共感と警察サイドに対するヘイトを感じることができました。
また、殺人から隠蔽に至るまでの「なぜそうせざるを得なかったのか」の論理、警察から睨まれるようになってからの「緊張感と追い込み」、この2点は巧みだと思います。
中国映画としてはギリギリなのでは、と勝手に心配になるくらいの「権力の腐敗」描写(一応タイの、ですが)も、やり過ぎ感も込みで楽しめました。
言いたいこともあります。
•悪役の憎々しさを強調できている反面、オーバーアクトが滑稽に写る場面もあり、観客を笑わせたいのか、怖がらせたいのか制作サイドの真意を測りかねる場面も多々ありました。
•オーバーアクトに加えて、スローモーションや感傷的な音楽など大仰な演出もあり、安く感じる瞬間も気になりました。
最大の気になるポイントは、テーマたる「家族愛」への向き合い方です。
お国柄、宗教観、文化など様々な違いがあるので、言っても詮無いことかもしれませんが。
父親の威厳を失った男が、旧来的な夫像、もしくは男性性を取り戻す、そしてその瞬間に家族愛が成就するという着地なのは、昨今のMe tooムーブメントを発端とした、ジェンダー問い直しの流れの中で生まれた優れた作品を沢山観てきた我々にとって、違和感を感じてしまうのも事実ではないでしょうか。
特に事件の発端がレイプであるだけに、余計に考えさせられてしまいました。
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