「【1988年、政情不安定で、ハイパーインフレに見舞われたペルーで行われた恐ろしい出来事を、モノクローム画像で哀切なトーンを基調に、淡々と描いた作品。それ故に、恐ろしさ、哀しさが増幅する作品でもある。】」名もなき歌 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【1988年、政情不安定で、ハイパーインフレに見舞われたペルーで行われた恐ろしい出来事を、モノクローム画像で哀切なトーンを基調に、淡々と描いた作品。それ故に、恐ろしさ、哀しさが増幅する作品でもある。】
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- 序盤は、淡々としたトーンで哀しき出来事が描かれる。だが、懸命に産んだ我が娘と一度も会えずに引き離されたヘオが、執念で新聞記者ペドロの協力の中、我が子を探す姿と共に、当時のペルーの諸問題が明らかになって行く過程に引き込まれていく・・。-
◆感想
・当時のペルーの政情不安から発した、ハイパーインフレ、先住民蔑視(ヘオとレオ夫婦には、有権者番号がない。それ故に、役所や警察で相手にされない。)、テロ、同性愛者でもある新聞記者ペドロへの脅迫状に書かれていた言葉に暗澹とした気持ちになる。
ー 現在、世界各地で行われている事と、余り変わっていない・・・。ー
・暗澹たる気持ちを増幅させる、権力者、小役人達のヘオを含めた貧しき人々に対する愚かしき姿。
ー これも、又、現在と余り変わっていない・・。ー
・そして、レオは、金のためにテロ活動に参画していく・・。
ー これも、テロが頻繁に起きている地域の現状と同じである。ー
<哀しく、恐ろしい物語であるが、少しづつ、少しづつ引き込まれていく。それは、モノクローム画面に映し出される、ヘオやレオを始めとする貧しき人々や、彼女を助ける新聞記者ペドロの姿から発せられる怒りが鮮明だからである。ラスト、未だ見ぬ娘を思いヘオが歌う哀切なメロディと表情が印象的だった作品である。>
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