劇場公開日 2021年8月13日

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「奥深いドラマ」レリック 遺物 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0奥深いドラマ

2022年3月10日
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冒頭の数分、製作会社等のロゴから始まり、裸の老婆が棒立ちをしているシーンまで流れる重低音の鼓動の様なサウンドと、それに合わせて点滅するように場面を映す演出が秀逸。
これは最恐のホラーだろうという感覚を覚えたが、初心者にも優しすぎる程恐怖演出が少ない作品だった。認知症の母が行方不明になったという知らせを受け、主人公とその娘が車で向かう所から始まる。その晩から静かだが不気味な雰囲気で不穏な気持ちにさせられ、出るか出るかと思いきや中々正体を明かさない「それ」が少しずつ近づいてくる。多くは語られず、こちらも良く分からないまま、認知症の母親が恐らく原因だろうと思いつつ、ストーリーが進んでいく。
もちろん最後に「それ」が襲ってくるのだが、終盤の残り20分位にならないと姿を現さない。本編は短いが、それだと流石に物足りなさを感じてしまう。結局「それ」の正体は分からないが、親子三世代が揃った事に意味があるのだろう。
家族がいても疎遠がゆえ、一人死んでゆく老人が多いのはどこの国も同じなのか。アメリカで三週連続一位だったのもそれを反映した結果だろう。
最後の迷路のような場所や、カビが侵食した壁などは認知症の心の中を具現化したしたのだろうか。それを最後に破ったことで、襲うのを止め、あのラストに繋がったのではないかと思う。
劇中で、誰にも気付かれずに孤独死した身内の話が出てくるが、それも密接に関わっている事からそう推測される。
いずれにせよ、若年層には理解が及ばない作品だろう。そういう人は「死霊館」でビビらせて貰えば良いのである。

Mina