「安楽死の是非と家族の葛藤を描いた映画」すべてうまくいきますように 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
安楽死の是非と家族の葛藤を描いた映画
2022年9月13日。
ジャン・リュック・ゴダールさんの死が安楽死だとニュースが伝わり、
少なからずどよめきが起こった。
ゴダール氏は日常生活に支障を来す複数の疾患を患っていた。
居住するスイスで「判断力があり利己的な動機を持たない人」に対して
合法化されている「自殺幇助(安楽死)」を選択。
医師から処方された薬物を使用して亡くなった。91歳。
この映画では突然の脳卒中で身体が不自由になった父親が、
娘に「終わらせたい」と言って、
娘は愛情と父の望みの2つの板挟みになって
葛藤するが父親の「安楽死」のために奔走する話です。
誤解されそうな描写があります。
アンドレのようにバクバク食事が出来てワインからデザートまで
平らげる人は該当しません。
回復が全く望めず、甚だしい苦痛があり、死期の近い人に
限られるのです。
余命が殆ど無いとの医師の診断書が必須です。
金持ちは安楽死出来るが、お金がない人はただ死ぬのを待つ。
これも、やや誇張。
スイスの安楽死は営利目的ではないので、日本人が出かけても、
150万~200万で実現が可能なのだそうです。
ただ診断書を書く医師には自殺幇助で逮捕される例があり、
とても難しいようでロす。
2019年にNHKのドキュメンタリーで日本人女性が、
同じようにスイスの施設で安楽死を成し遂げるまでを、
克明に記録したドキュメンタリーを見ました。
40代後半の女性は神経系の難病で話も呂律が回らず、車椅子でしたが、
病状は重かっです。
独身のため、叔母が2人付き添ってスイスへ行きました。
点滴を打ちながら穏やかに亡くなりました。
語学力がかなり必要ですね。
渡航の困難などを考えると相当な努力が必要。
エマニュエルとパスカルの姉妹もてんてこ舞いでしたね。
ソフィー・マルソーさんがとても美しく年齢を重ねられてて
感動でした。
それにしてもちょこっと登場のシャーロット・ランプリング。
夫がゲイと知って(親の反対を押し切って)まで結婚して、
今はパーキンソン病にうつ病。
身体の不自由な人の歩き方。
いやぁ恐れ入るほど上手いです。
(安楽死が必要なのは彼女の方では?)
アンドレは好き放題に生きて最後は苦しまずに安楽死。
なんか釈然としなかったです。
(でも安楽死には賛成です。日本でも早く法整備される事を望みます)