「銃が無ければ乱射事件は起きようが無い。とは言うものの。」ニトラム NITRAM bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
銃が無ければ乱射事件は起きようが無い。とは言うものの。
AR-15やBenelli M1014が、許可証も無くアッサリと市中で買えてしまう恐ろしさ。ガンは売れないと言いながら、密売屋からコルト・パイソンまで手に入れてしまうし。
銃乱射事件後、一時的な増税で原資を捻出したオーストラリア政府が回収した銃器は64万丁。未登録銃の保持は、当時のレートで最大2,640万円の罰金、14年の懲役と厳罰化しましたが、数年で規制前のレベルを超えました。
理由は簡単。登録さえすれば良いんで。一旦、銃社会になってしまうと、後戻りする事の難しさを教えてくれます。
映画本編は、終始不穏と恐怖を抱く描写の連続。軽い知的障害と鬱を抱え、予測不能な行動を取り、時に暴力的になるニトラムへの怖さが付き纏います。
父親にプレゼントされたエアガンが好きなニトラムは、知り合いの好意を得る目的で銃を買い、手渡そうとしますが拒否されてしまう。ヘレンと父親とを立て続けに喪くし孤独に苛まれる日々にダメ押し。TVのニュースで見た銃乱射事件に触発され、模倣するつもりになったのか、更には銃を買い足し弾丸も揃えて、凶行に及ぶ。ヘレンから贈られた50万ドルも、最後には使い果たしていた様です。
狂っていると言えば、その通り。ニトラムを止められなかった責任が誰かにあるのか。考えても、詮無い話であり。
市中に銃がある限り、悲劇は繰り返されるであろうよ。ってのが、映画の結論。
日本じゃ、包丁による切り付け事件・大量殺人も起きてますから、銃社会特有の問題でもないよ、ってのはあるにせよ。現実的には、結局は銃対策しても、程度問題にしかならないよ、って事に帰着してしまう。
怖かった。
下手なホラーより、遥かに。