「マーティンの孤独と鬱憤と渇望」ニトラム NITRAM 12shiho28さんの映画レビュー(感想・評価)
マーティンの孤独と鬱憤と渇望
オーストラリアで実際に起きた銃乱射事件を題材に、事件の犯人であるマーティンが、事件当日に銃を発砲するエンディングへ向けて物語は進んでいく
27歳になっても幼稚園児の様な感情の起伏を見せ、社会不適応な態度を取るマーティンを、周囲はmartinの文字を逆さ読みした「ニトラム」という名で呼び嘲る
一歩引いた所から犯人のマーティンを見ている様な映像が、彼の全てが空回ってどんどん救いがなくなっていく様をリアルに浮き上がらせる
おそらく精神的発達障害者であるにも関わらず、適切な療育も養育環境も与えられず、やる事全てが空回るマーティンの孤独と鬱憤と渇望を見事に体現したケイレブ・ブランドリー・ジョーンズの演技は圧巻
また、威圧的で感情的な母親を演じたジュディ・デイビスも素晴らしい
息子を愛しながらも、彼を理解し導くには無知で力不足だった母親の苦悩と悲哀が画面から滲み出る
登場人物が誰1人幸せにならない
僕は僕以外になりたかった
というキャッチコピーが胸にささる映画でした
個人的に、☆5中☆3.2
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