「音を感じるということ」MEMORIA メモリア バタピーさんの映画レビュー(感想・評価)
音を感じるということ
人はそれぞれ音を感じる聴覚、センサーを持っている。
人によってセンサーの感度は異なる。
敏感であればあるほど、微弱な音を高解像度に拾うことができる。
しかし感度が良すぎると騒音の中では暮らし辛い。
冒頭のバスが故障?するシーンは印象的。
タイヤのバーストか、エンジンの故障かわからないが、突如鳴り響いた爆発音に、驚き伏せる男性。
おそらく銃撃などを経験した事があるのではないかと想像できる。
周りの人々はただ道端に寄せるバスを気にするのみ。
音と記憶は結びつくということが一瞬で示される。
音は視覚とは異なる特別な情報源である。
しかし人為的な騒音の中で暮らす現代人は音に鈍感になっているのかもしれない。
音に限らず、
考古学的史料から過去を分析することに似た、環境から情報を得るという能力を我々は秘めている。はずである。
そんな騒音の世界から解放してくれるひと時が雨の音。
と言った感じかな?
はじめは長えと思った。
劇中、今聞こえている音は映画の効果音か自分の部屋の音か、もしくはどちらでもない耳鳴りか?
わからなくなる。
その思考こそがこの映画が示している、環境(環境音)から情報を得るという作業であったと思う。
聴覚を使って見えているもの以上の情報を得る事ができる映画で、ネクストドアを開かれた感じがした。
個人的にはDVDが欲しくなるくらい強く惹かれた。
No. 1637
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