「国境線」コンパートメント No.6 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
国境線
ロシアとフィンランドは国境を隔てているという事実 これを知らないと今作は全く以て心に届かない、邦画によくあるソフトストーリー的プロットに落とし込む帰着に思考を選択してしまいがちになろう 偶々寝台列車の4人個室の相席になったフィンランド人とロシア人の孤独感と共感と、そして距離を縮める淡い思慕 勿論、それだけでも旅情の中での心の変遷を感じる列車ロードムービーとして成立するのだろうが、前述にある、政治的問題が今作のベース足らしめていることを忘れてはいけないと思う・・・ ということを観賞後に考察サイトを調べて自分も初めて知ったことを恥を承知で記載する
"ペトログラフ"云々は、単なる社会階級のメタファーに過ぎない 上流階級に憧れと、しがみつく疲労感 方や一発逆転を夢見ながら今日の生活も儘ならぬ身上 二人とも理想と現実のアンバランスに苛まれる現実なのであり、そんな二人を乗せた列車が国境と並行しながら極北へ進んでいく地理的描写が見事である 個々人は国が違えど同じ悩みや境遇の中で、シンパシーを感じ合える しかしこれが国家同士となると・・・・ 途端に敵同士に変換と相成る この不条理を作劇として落とし込んだ制作陣の意図をきちんとカンヌは評価した結果であろう、グランプリ受賞である 『ハイスタ・ヴィットゥ』のフリオチは、政治を薄めるための制作陣の中和剤といったところだろう 今作プロット、多分世界中の隣り合わせの国の映画制作として活用できる内容なのではないのだろうか、そしてそれが毎年可能な限り作り続けることが、世界の緊張を解きほぐすことが可能な装置の一つだと期待するのは、自分の単なる幻想なのだろうか・・・?
あれから考え、いぱねまさんの深い洞察力と表現に感服です。
単純に、出会ったふたりの意識の変化に目がいき、ついでに思い出にひたり景色を味わっておりましたが
私が見落としたもの、拾いに行きたくなりました。ぜひ、その視点を加えもう一度観てみようと思っています。
こんにちは。
そうか、そんなメッセージがあったのかといぱねまさんのレビューをみてそう感じています。
私は一個人の心の在り方が変えるものをみていましたが、なるほどですね…うーん、なるほどです。