コンパートメント No.6のレビュー・感想・評価
全88件中、1~20件目を表示
狭い寝台列車の濃密なドラマ
恋人にドタキャンをくらい、一人で極北にペトログリフ(岩面彫刻)を見に行くことになる主人公が、寝台列車で乗り合わせたのは粗野なロシア人青年。普段、彼女の周囲にいるインテリ知識層とは全く異なる労働者階級の彼とは当然折り合いが悪いのだけれど、なぜか惹かれていく。寝台列車の狭い部屋を共有する2人が親密になっていく過程を、その場に居合わせたかのような手持ちカメラがみずみずしく捉えている。
荒涼として、寒々しく雪に覆われた北の大地は世界の果てのように感じさせる。ここではだれでもいい、人のぬくもりが欲しくなる。2人の間に生まれたのは、恋だったのか。それとも一時のぬくもりを求めただけなのか。フィンランド映画には独特の乾いたユーモアと人間を見つめる目線がある。取るに足らない人間たちの滑稽さを愛らしさが詰まった秀作。
90年代後半のロシアに灯ったほのかな希望。
ちょっと男側に甘すぎませんか?というくらい、粗野だけどナイーブなキャラがナイーブってことで許されてはいる。いい映画だと思うし、元バックパッカーとしては90年代の鉄道旅行の雰囲気がちゃんと伝わってきてたまらないんだけど、さすがに酔っているとはいえコンパートメントに乗り合わせた女性を売春婦扱いして触ろうとする輩を「まあまあ昔の時代の設定だから」でスルーしていいものかと考え込んだ。しかしフィンランドにまつわる記事を読んでみると、90年代のフィンランドは売春のまん延が社会問題になり、国外に稼ぎに出ていた女性も少なからずいたようで、僻地に向かう外国人女性を、炭鉱夫目当ての売春婦と思い込むのも、よくある話だったのかも知れない。『タイタニック』が共通の話題になったり、モスクワの大学教授が生徒と半ば公然と同性愛の関係を結んでいることなど、当時の世相は開放的になっていたことは間違いなく、冷戦が終わり、鉄のカーテンが瓦解して、ロシアは一度陥った経済的危機から立ち直りつつある時代だった。だからこそ、混沌の中での最悪の出会いからも、ポジティブな要素を見いだせたように思う。ロシア関連の世界事情がこじれまくっている今となっては、この映画が照らすほのかな希望が、すごく昔かはるか遠い未来のことに思えてします現実が恨めしい。
この愛おしさ、微笑ましさ。旅の歓びが詰まった秀作
何気なく観たこの映画に思い切り心を奪われた。フィンランド人留学生の女性ラウラは列車に乗りロシアの最北端駅まで向かう。目的は現地にあるヒエログラフを見ること。ただしその列車の旅はひたすら長いもので、しかも彼女が寝泊りする6番個室は、気が滅入るほど無作法なロシア人リョーハと相部屋だ。彼はこれから炭鉱で働くために現地を目指すのだという。2人はまるで水と油であり、旅行好きな人にとってはこういう旅行者と隣り合わせることで全て台無しになるのも「あるある」と頷けることかも。でも本当に面白いことに、共に過ごす時間の長さ、超えていく距離が2人の不理解のギャップを埋め、本作は移りゆく感情をとても繊細かつ微笑ましく紡いでいく。完璧には通じない会話。80年代特有のカセット。ハンディカム。不便な車内、無愛想な車掌。その全てが愛おしく見えてくる不思議。観終えると誰もが同じ思いを抱くはず。「ああ、旅に出たくなった」と。
Romance When You Least Expect It
Intercontinental train travel is where one feels insignificance as the size of the world moves by. Laura is a Finn on a train on her way to study some old calligraphy in Northwest Russia. She ends up roomed with an obnoxiously drunk man, but with no other place to sleep, must bite the bullet. The film wants to have us defy expectations, in an era it sees bent on hard-coding our behavior.
ハイスタ・ヴィットゥ♥️ 「Bon voyage !」
「voyage voyage」 デザイアレス
そんなには知らなかったけど。
「藍色夏恋」を思い出した。
勿論、ジム・ジャームッシュ と アキ・カウリスマキ
そんで
流れは小津安二郎監督。まぁ、ほとんど、コンパートメントでのロケーションだから、工夫しているとは思う。
それで、80年代最後のテクノポップ。改めて聞くと哀愁がある。
実は僕もウラジオストクからイルクーツク、モスクワ、サンクトペテルブルクまで、シベリア鉄道に乗った事がある。
色々の登場人物が、僕の一期一会にもあったが、こう言った出会いは残念だけど無いね。
でも、
クラスノヤルスクの子連れの青年が印象的。彼は「ロシア人を誤解しないで」と一所懸命に訴えて「日本人は、どう考えているんだ。俺達も戦いたくないよ」と言ったような事を言ってた。(勿論、Google翻訳。本当は使えないのだが、尊敬する知り合いに設定してもらってロシアでも使えた。)
もうひとり、赤ちゃんを抱いた10歳位の少女と出会った。勿論、二人の母親はいる。お母さんが大変だから、その少女が面倒見てんだ。健気だね。
と思っていたら、彼女達はノヴォシビルスクで下車をするようで、降りる準備をしていた。この映画よりも等級の低い、狭いコンパートメントだったので、少女は僕に遠慮して椅子にちょこんと座っていた。赤ちゃんを抱いていたので、「足をのばしなさい」と言おうと思ったが、翻訳器を使うタイミングがなかった。しかし、ふと、その赤ちゃんに目をやると、なんと
大きな人形だった。
二人(少女と人形)を見ると満面の笑み。なぜか涙がでそうになった。
親子はオビ川の流れるノヴォシビルスクの街のどこかにある我が家へと帰って行った。帰り際に「スパシーバ」と言って人形の写真を撮らせてもらった。流石に少女の顔は撮れなかった。すると少女の母親が「ボンボヤージュ」と言ってくれた。と思うよ。僕のヒヤリングだからね。
最後、
終始僕の前にいたのが、女性の教師でこれからムルマンスクへ帰ると言っていた。僕がロシア語駄目なのと、教師でも日本語は駄目なようで、二言三言の一期一会であった。教師のプライベートな事もクラスノヤルスクのロシア青年から無理矢理聞かされた。
でも、事実に基づくノンフィクション。
でも、総じてロシア人は「無口でおしゃへな人」が多かった。つまり、僕が何もしゃべれないから、無視をしてくれるのだ。でも、この映画の様に僕に終始関心を示してくれているのが感じとれた。
最後の最後
血の繋がった知り合いにラインをした。「ロケット飛んでこない?」なんと浅はかな。ロシアは広い。
ペトログリフと言われる岩絵
ANORAと共通するボリソフの役柄
ANORAを見て、ボリソフの演技に魅力を感じたので、やはり彼が主役を務めたCompartment No.6を再度見ることにした。ANORAではNY BrightonBeachのTatiana`sや、CompartmentNo.6ではいつも利用したロシア鉄道の寝台列車のトイレなど、私にとりとにかく懐かしい情景が映像化されているが、私にとり最大の魅力はロシア人女性の独特の語り口。 ANORAではイヴァンの母親に、そしてCompartmentNo.6ではリョーシャの母親(作中では母親とは言わないが)にその特徴を見ることができる。20代からアメリカで、そしてその後ソ連・ロシアでロシア人女性を間近に見てきた日本人として、現代映画でのロシア女性の描き方には大きな関心を持つが、この2作は西側がロシア人俳優を主役にして制作しただけあって、全てが本物であり、安心して見ることができる。 2022年の宇露戦争開始で、ロシア人俳優が西側映画に出演できなくなったと悲しんだが、2023年製作のANORAでボリソフが大活躍する姿を見て、大いに安堵した。
「ANORAアノーラ」のユーリー・ボリソフの出演作
アノーラのイゴール役ですっかり女心を掴んだユーリ・ボリソフ。
以前からロシアを代表する俳優なのかも。
2作品を観ていた。
顔には記憶が無かったが、
❶戦車を描いた「T 34レジェンド・オブ・ウォー」は、
ロシアの戦車T 24が激突するアクション映画で、
メチャ熱いアクション大作。2018年。
❷「AK 47最強の拳銃誕生の秘話」
これはロシア製の拳銃の代名詞と言われる
カラシニコフの生みの親の伝記映画で、主役の
ミハイル・カラシニコフを演じている。2020年。
古き良きハリウッド映画みたいな仕様だった。
そしてこの4カ国合作映画の主役。
「ANORAアノーラ」の準主役とロシア産の国際派俳優なのかも?
(もしかしたらウクライナとの戦争で国内では仕事がないのかな?)
2作品に共通するのは、
《粗野だけれど実は頼れる裏切らない男》
本作は1990年代のロシアの夜行寝台列車を舞台に、
フィンランドからの留学生ラウラが最北端の町ペトログリフにある、
1万年前に彫られたという
《岩絵(岩面彫刻)》を見に行く寝台列車の旅を描く映画で、
その個室6号に乗り合わせた
ロシア人の鉱山労働者のリョーハ(ユーリー)とラウラが、
反目しつつ次第に信頼関係が芽生える過程を
旅情豊かに描いている。
そのモスクワからペトログリフまで3泊4日くらいかな?
途中一泊は自由行動泊(?)なんてのもある。
ラウラは強引に誘われて、盗難車を調達したような感じで、
リョーハの知り合いの老婦人宅に泊まる。
リョーハは先にサッサと寝てしまう。
一食一飯のお礼は、リョーハの薪割り?らしいのだ。
ラウラは、リョーハの第一印象が最悪で
(娼婦と間違えられる)、部屋変えを頼むが、
女性の車掌に一言で却下されてしまう。
夜行寝台列車には2~3回位乗ったことがある。
1回目は普通の座席に一昼夜過ごして、上野から佐世保か?長崎?
に着いた(記憶があやふや)
停車する度に目が覚める体質なので、若いのにやたらと疲れた。
別の機会では寝台付き特急で、
寝台は3段ベッドでやたらと狭く寝返りも打てない。
食堂車で何を食べたのだろう?
コーヒーとか、紅茶にお菓子だったろうか?
今の日本は車内販売も殆どないくらいだから、今は昔、
(友達は冷凍みかんを好んで食べていたな!
(甘栗なんかも売っていた)
寝不足で起きた通路から見た光景・・・
朝焼けと日光が次第に登る様子・・・や、
停車する度に目覚めて、車窓からオレンジ色に見える駅舎や
白い駅名を書いた立て看板が通り過ぎてゆく。
駅弁売りが居て、弁当と熱い緑茶の入れ物が懐かしく思い出される。
狸の瀬戸物だったのが、いつしかプラスティックにティーバック入りに
変わってたりした。
到着前に「祝いだ!乾杯だ!!」とリョーハは興奮して、
食堂車で散財をする。
ラウラの方が積極的に抱擁してkissを求めている、
すると
ラウラと心が通った途端にリョーハは姿を消す。
白い無人のシーツが映し出される。
ラウラがコンパートメントに割り込みさせた
バックパッカーのフィンランド人。
そいつが土産代わりにラウラのハンディ・カムを盗む。
(なんてヤツだ)
リョーハを探して鉱山を訪れるシーンもあった。
するとリョーハはふらりと現れて、
「ピエログラフを見に行くんだろう‼️
「みんな根性無しだ!!」
と運転手付き車を調達している。
冬場に行くのは絶対、無理!!」とみんなに言われたのに、
凍った海に漁船を出させて、そこからは凍った岩場を徒歩で行く。
目的地のピエログラフ(岩絵)のなんとチャーっチーこと。
撮影は俯瞰からも写さない。
(予算がないにしても、もう少し接近して見せてくれよ)
なんだこれ!!って代物。
頼りになる男・・・リョーハ。
彼がラウラの願いを叶える話し。
原作はフィンランドの小説だと言う。
私には全て空想のような気がしてならない。
リョーハの存在も。
「人間性の現出」
フィンランド人留学生のラウラが信頼し愛している女性にあっさりと裏切られる。1人で寝台列車の6号コンパートメントに乗り込む。そこでロシア人労働者リョーハと同室になる。彼は下品で粗雑な第1印象であり、ラウラは一瞬で彼を嫌いになる。
しかし旅を続けていくうちに、優しい男に騙され大切な物を盗まれとき彼は優しい言葉をかける。ラウラは、素朴で心優しい彼に魅かれていき彼を抱きしめる。
リョーハは、ラウラを抱きしめたがやがて手を放していく。それは男の優しさであり現実だったからだ。そしてリョーハは消える。
長旅を終えムルマンスクに着いた。目的のペトログリフを見に行こうとしたところ誰もが雪で行けないという。そこでラウラはリョーハを頼る。リョーハはすぐにラウラのもとに駆けつける。
なんとかペトグリフを見て、ラウラとリョーハの愛が解き放たれる。光と影が風景に溶け込み二人の思いの強さをカメラに刻み付ける。
リョーハと別れ、車に残ったラウラにリョーハからのメモ書きが。そこに書かれたのを見てまぶしい陽光のなかラウラの微笑みが印象深く胸に残る。ステキな恋をしたという表情だ。100分ほどの時間で、ほぼ動きがない、いわゆる小粒な映画なのにこんなにも感動を与えてくれる。映画はまさにマジックだ。
やべぇ奴
なんとも不思議な映画だった。
最初少し退屈かな〜と思ったが、どんどん先が気になって一気に観てしまった。
ロシアとフィンランド、このご時世だから両国の関係は微妙だけど、隣同士だし気軽に行き来してたのかな。
しかしラウラはなんでロシア語話せるの?
リョーハが炭鉱労働者だって作中どこかに出て来た??
なんでラウラは居場所がわかったんだろ。
と、いろいろ疑問は残るが、リョーハが最初に出て来た時、やべぇ奴にしか見えなくて、でもどんどんいい奴にも見えてきて。
その変化が面白かった。
しかしロシアって寝台車も男女分けないんだ〜と驚いた。
あんなやべぇ奴と一緒って、誰でも怖いと思うけど。
あの塩対応の車掌。
ザ・ロシア人って感じだった。
途中一泊したり、停車時間がまちまち。(乗り遅れそう)
牧歌的だな、と。
吹雪にはしゃいでたリョーハ…ん?珍しいの?(笑)
おばあちゃんちに泊まったり、そのおばあちゃんがまた最強そうだったり。
最後の岩絵?ペトログリフを2人で見て感動するかと思いきや、雪合戦、タイタニックごっこ(笑)ではしゃぐ2人。
そして最後の手紙。
ラウラの笑顔(可愛い)。
いい作品だった。
今だからこそ観る価値がある作品
CSで録画視聴。
物凄く良かった。
ロードムービーだが、フィンランド〜ロシア
までの旅。一人の女性の列車旅。隣はロシアの男性。最初はぎくしゃくしていたが、最後はお互いが理解し合う。
ロードムービーの良さが物凄く出ていた。
この作品は2021年制作。丁度ウクライナ紛争前。だからこそこの作品を観る価値があった。
遺跡への旅路
Kanozero Petroglyphsはロシアにある遺跡だそうだ。岩石に動物の絵や文字が刻まれているが、意味はまだ解明されていない。フィンランドの女学生が列車に乗ってその遺跡を見に行く。その道中劇。
カンヌのグランプリ(二席)になりアカデミーの国際長編映画賞にもノミネートされている。が、個人的には当初の印象はあまりよくなかった。
主人公は女性だが寝台列車で見ず知らずの青年と相部屋になる。青年は狭いコンパートメントでタバコをふかし酒を飲んで酔っぱらっている。ロシアだから野蛮なのだ──と察しはするが、わたしたち日本人には考えられない状況だ。
旅は道連れ世は情け──を言いたいのはわかるにしても国内の列車事情に慣れた日本人からみるとありえない。モスクワからムルマンスクまで、たんに遺跡を見に行くだけなのに冒険しなきゃならない未成熟なインフラ。それが気にかかって感情移入できなかった。
が、見てから時が経ち、不意にこの映画を思い出すことがあった。見てすぐの印象は良くなかったが、思い返すとあれはいい映画だった──と考えを改めた。
山田洋次の映画で家族(1970)というのがあって怒りの葡萄みたいな話だが長崎から北海道の中標津町まで約2,500キロの列車旅をする。
グーグルを見たらモスクワからムルマンスクまでの距離は約1,900キロ。メルカトルだと北極圏界隈が大きく見えるので掴めなかったが、だいたい長崎から函館へ行くようなもの──と考えると、映画の旅程が把捉できる。高速鉄道はなく寝台列車なので30時間以上かかる。
遠路に加え、主人公の女学生ローラ(Seidi Haarla)はハリウッドタイプの白人女性ではなく、北欧美女でもない。あかぎれのあるざんばら髪のごく普通の女性で、映画は終始、雪と寒さに覆われている。北極圏の冬は8ヶ月つづくそうだ。
がさつな相客と暗く冷たい鈍色の世界に閉口したこと、またハリウッドのもてなしのいい映画を見慣れているゆえの拒否反応があったことは認める。
ローラは道連れになったリョーハ(Yura Borisov)が船乗りに頼み込んでくれたおかげでペトログリフ(紋様が刻まれた石版)がある島へ辿り着くのだが、映画の描き方では、そこには何にもない。ただ雪と岩肌と荒れた海があるだけ。だが目的は果たした。猛吹雪のなかでローラとリョーハは子供のようにじゃれあって親睦するがやがて別れる。凡そ世の映画で男女におこることが、ふたりには一切おこらない。
しかし映画にはペーソスがあった。愛情ではなく友情でもなく同情というか思い遣る気持ちがふたりにはあった。うまく説明はできないが哀しくてやるせないペーソスがあった。それを、見てからしばらく経って思い出したのだった。
「何かを見つけに旅に出る」という命題があったとして映画「コンパートメント No.6」はそれを敷衍して説明している。ローラは自分が見たいものが遺跡にあるような気がしてKanozero Petroglyphsを見に行く。結果的にローラは旅でなしえた体験に対して最後に朗笑する。
トランヴェール(新幹線のメッシュポケットに備え付けのJRサービス誌)風に言うならそれが旅というもの、かもしれない。
フィンランドは約1,340キロにわたってロシアと国境を接している。
この映画の公開(2021)後、2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻したので今は事情が違うことになっているのではなかろうか。その意味でもすでに古き良きノスタルジックな映画だと思う。
imdb7.2、RottenTomatoes93%と83%。
映画は新しい風景を見せる
自宅で観た。現実が素材であるのに、この角度から、視線から、人生を生きた事はなかった。その体験を鋭く体験させる映画であり、初めてであるにも関わらずある種の懐かしさへと連れて行かれる。
人生の全ての瞬間が初めての体験であるのと同じく、良い映画は凝縮したそれを与える。
ある女性の変化を描く。この女性は当初二人で向かうはずだった旅行に、一人で行く事になる。二人で行く事になったなら、女性は幸せであった。パートナーである(はずの)相手は女性大学教授であり、彼女の研究のためかつて訪れた北極海に面した僻地にある古代文字の遺跡に、共に訪れる予定が、叶わなくなった。主人公の女性は、一人でも行くと答える。教授宅で開かれたあるパーティでその事が客人たちの前で紹介され、若き彼女の学究旅行への意志を皆が拍手で称える一コマもある。これを前段として、以降は「旅」の時間となる。
彼女がその華やかさも含めて憧れ慕う「恋人」の足跡を辿るような思いで、孤独な旅を始めた彼女だが、長旅の列車で相席となった相手の事も含めて「思うように行かない」。
その相席となった相手と、不思議な縁となるというのが物語の大筋なのであるが、本作のドラマ性は彼女の中で起きる大きな変化だ。それは不意に神が与えたかのような奇跡の形をしている。
恋愛手前のむず痒くて楽しい時間
電車旅がしたくなった
予告編を見て気になっていた映画を見てまいりました。
予告での主人公2人の表情がなんとなく気になっていた
女性の嫌そうな顔と、男性の悪そうな無邪気な顔。
それと流れていた音楽が良い。
主人公の二人の事はもちろん知らず、制作国はロシアとヨーロッパの合作だったらしい。
これは見に行くしかないと思い、初日に見に行った。
見ての感想は、主人公の男はめっちゃいい奴だった。
女性はおばちゃんかと思ったら女学生だった。
描かれていた時代も今ではなく、ハンディカムとウォークマンを使っていた時代(1990~2000年代?)。
映画の中の音楽も良かったし、めっちゃ異国感を感じた。
良い雰囲気の映画でした。
最初の印象が最悪な男女が最後は結びつくという話に『バルカン超特急』を思い出した
私が学生の時に大好きだった映画『めぐり逢えたら』の中で出てきた映画だ。
かなり古い映画(ヒッチコック)なので見た事はないが、出会いが最悪な男女が最後に結ばれるというストーリーというと『バルカン超特急』を思い出してしまう。
それと、私の過去の列車移動での出来事を思い出した。
15年以上前に、八戸から札幌へ電車で移動する事があった。(当時の私は仙台市に住んでいた)
八戸で仕事があり、次の日なぜか札幌の北海道支店で会議があって、三沢空港から千歳に飛ぶかと思ったらよい時間がなく電車を選択したのだ。
当時は新幹線が通ってないので特急。(確かスーパー白鳥、北斗)
青森駅の付く直前で斜め前の座席に財布があるのに気付いた。
さっきまでサラリーマンのオッサンが乗っていた。
少し離れた席の高校生らしき3人組がいて、チラチラ座席を見ている。
すると車掌が歩いてきたので呼び止め財布がある旨を伝えた。
車掌と二人で中を見てみると10万くらいは現金が入っていたと思う。
学生たちに財布を取られる事もなく、良い事をしたという思いで少し心地よい気分になっていた。
その後も電車に乗り続け青函トンネルを抜け、五稜郭駅で少しの停車時間があった。
当時の私は喫煙者だったので、すかさず降りた駅の喫煙所に向かった。
すると私と同じような喫煙者達が数名同じようにタバコを吸いに来ていた。
何とはなしに、喫煙者には車内で吸えない時間が長いのは辛いですねーという話になり少しの雑談が始まった。
聞くと行先はみんな札幌、若い男性は札幌在住。おばちゃんは青森の人だった。
五稜郭駅前には何かあるのかを聞くと何もないとの事。
2~3本吸って座席に戻った。
見知らぬ人との会話が楽しかった。
ノートPCを出して車内で仕事をしようと思ったが、電車が妙に揺れる。
後で調べたところ、この辺の電車はディーゼル車(パンタグラフは無い)なので揺れるらしい。。
酔ってしまうので仕事は止めた。
その後にトイレに行くと五稜郭駅で一緒にタバコを吸った若者と会った。
彼の会社は出張時に指定席には乗れないので自由席に乗っているとの事で(指定席料金が自腹になる)、私が指定席だと知るとやたら羨ましがられた。
話はだいぶそれたが、電車旅がしたくなった。
なかなか昔の思い出話のような出来事が起こる事はないだろう。。
仕事でならいろいろと電車には乗った事はあるが、プライベートでの電車の思い出はほとんど無い。
そんな事を考えさせる映画だった。
最近見る映画は邦画が多かったので、良い洋画が見れて満足。
世界最北の温み
1990年代。フィンランドからモスクワの大学に留学しているラウラ。交際しているイリーナと、ムルマンスクの岩面彫刻を見に行く予定だったが、イリーナが行けずにラウラは一人寝台列車に。しかしリョーハというロシアの青年と、6号客室で相部屋に。粗野な彼にうんざりするも、客室の変更はできなかった。
うわっ、こんな奴と何日も一緒なんて。男の自分でもやだな、まして女だったら。とみんな思いますが、粗野だけど少年のようなリョーハに、だんだん親しみを覚えるのが良いです。さらに面倒見がとてもいいときています。ラウラは、いかにもフィンランドのじぇごくさい(田舎くさい)顔つきでも、徐々にかわいく見えてきます。見かけで人を判断してはいけないな。
ムルマンスクの駅は、世界最北だそうです。
ウクライナ侵攻前の作品。再びこんな作品がつくられるのを願います。
まさかの
全88件中、1~20件目を表示