フラッグ・デイ 父を想う日のレビュー・感想・評価
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例え犯罪者でも・・
何百万ドルもの偽造紙幣を印刷した犯人のジョン・ヴォーゲルは警察に追われ自殺、そんな父の最期をTVで観ていた娘のジェニファーが父との思い出を綴った自伝「FLIM-FLAM MAN(ペテン師)」をもとに名優ショーン・ペンが監督兼出演でジョンを熱演、娘のジェニファー役に実の娘ディラン・ペンと実の親子共演で撮った、大変な想い入れの映画。
タイトルのFlag Dayはアメリカ国旗制定記念日6月14日でジョン・ヴォーゲルの誕生日でもあったことからつけたのでしょう。ジョンは、自分は生まれながらにして祝福されていると感じ、特別な存在として成功する当然の権利があると信じていたそうだが、やることなすこと裏目にでて苦難の連続。
アメリカでは有名な事件だったので関心が高かったのでしょう、確かに父親が例え犯罪者でも子供から見ればかけがえのない肉親ですから想いのほどはしのばれます。
ただ、映画にしてまで観たいかと言うと別物でしょう。
This is America 1970s to 1990s
またしても、いけてない邦題が残念。フラッグデイでいいのに!just leave it!!
とはいえ、ショーンペン様監督、主演作品なので他は文句ない。
冒頭のファミリームービー的な良い感じに古びて揺れる景色、、と思ったらファミリームービーという設定でら16ミリフィルムで撮影されたものらしい。どうりで、美しく魂に刺さる、その揺れる画面に冒頭から泣ける。
世間から見たらどうしようもないクズ男でダメ父である。
ドリーマーで自分をも騙してしまう詐欺師でだから人たらしなところもあり、一番たらし込んで騙し続けるのは自分自身という哀しさ。ジョンと言う男。ショーンがやるしかないし取るしかないしアメリカじゃないとあり得ない感じ。
これが自由ということか。自由奔放に自分の本能と本性を信じて生きようとするとこのようになんだか不自由なことになってしまい、そして家族などの大事なひとの自由を奪ってしまうのだ。自由とはめざせば目指すほどに遠のいてしまう。かつてデニスホッパー(またはデニスが演じていた役)もあくなき自由を追い求め彷徨い歩いて最後は自分を追い出していたように。
そんなことがワンシーンワンシーン、ジョン(ショーンペン)とジェニファー(ディランペン)の表情、街の風景、家などから滲み出てくる。
ジョンの脳天気とも言えるお調子者、無意識の詐欺師、人生に絶望しながらまたすぐ都合良き希望を見出す、嫌なことはしたくない、自由気ままに生きたい。
ジェニファーは、ジャーナリズムそれも調査報道を目指すというのも、なんか、この父親の掴みどころのなさに、なんか本当のことを知りたいという気持ちが湧いたのか。
息子のニック(だったかな)これも大人のニックはショーンの息子のホッパージャックが演じているが彼は何となく凡庸な人凡庸で優しく温かい存在になっていて、彼が一番平穏な生活の中で、母親を支えながら、実は自由に呼吸できているのかもしれない。
冒頭からレコード針が落ち優雅に詐欺的にかかるショパンのノクターン、そのあとは各年代風に音楽が変わっていくのもアメリカだし子どもの頃もその後も、ジョンの誕生日であるアメリカのフラッグデーのパレードの様子は変わらない風景でもあるようだ。ノクターンは、ジョンの夢見る世界なのかな。
道路沿いのダイナーの看板、麦畑、美しい湖畔の小屋、昔ながらのものが少しずつ古びていく中ジョンも肉体は老いて行くが、昔のダイナーの看板みたいになんか楽しくなんか上手く行くって自分を信じ込ませようとしているのか。
信じられないジェニファー。信じたい気持ちもするジェニファー。真実をやがて知り受け入れ愛おしく理解するジェニファー。その時よりそう警官がジェニファーの肩を励ます様に掴む。
ジェニファーは母親が言う通り、ジョンは嘘つきなのかもダメなのかも思いながらも、なにか支えが必要。バスの中疲れてつい眠り込み隣の知らない男に寄りかかるシーン。
どんな人にも、その人なりのストーリーがあり、その人なりのストーリーによりかかり、リーンオンして生きている。
個人的には、えんじ色のシボレーのステーションワゴンもツボであった。
ショーンありがとう、今回もありがとうと言いたい。
道路沿いの楽しみや幸せを呼びかける大きなダイナーの看板、金色の麦畑。ダイナーの看板は古びて朽ち果てていき金色の麦畑で父を思う。
これってほんとにアメリカだよなって思う。
【"ずっと娘の大切な存在でいたくて・・。"哀しく、不器用な父親の姿を、成長して行く娘の視点で描いた作品。ラストは切ない。駄目駄目だけれど、娘にとってはヤッパリ、大切な父親だった事が分かったから・・。】
- 今作は娘を持つ男にとっては、何とも切ない作品である。-
◆感想
・ジェニファーが幼い頃のジョン(ショーン・ペン)は、明るくワイルドで格好良い。
- 子供達が家出する時には勿論、ジョンに付いて行く。お母さんはアル中だし・・。-
・だが、ジェニファーが成長するにつれ、ジョンの”負”の部分が見えて来て・・。-
- 嘘、見栄、誤った自尊心・・。-
・仮出所した年老いたジョンが何どもジェニファーの家に電話するシーンは、観ていて辛い。
- ジョンの留守電を複雑な表情で聞くジェニファーの姿。-
<今作品のジョンは、極悪人とは程遠い、弱く寂しい人間に見える。
それをショーン・ペンが絶妙に演じている。
ジョンが偽札作りに手を染めたのは、"偽札だけど、美しいモノ"をジェニファーに遺したかったのかな。悪人だけど格好良い父の姿を見せたかったのかな・・。そんなジョンのTVに映る、最期の姿。
ジョンが遺した偽札を、女性警官に頼んで、ジェニファーが触るラストのシーンは、何だか切なかったなあ。
娘のジェニファーにとって、ジョンは情けなくて駄目駄目だけれど、ヤッパリ、大切な父親だった事が分かったから・・。>
よかった
ショーン・ペンの監督作はずいぶん久しぶりだが、前に作っていたのはどれも素晴らしく特に『インディアン・ランナー』は大好きだ。今回はクズのお父さんのクズっぷりがとてもいい。娘もヤク中の過去があるもののそれほど悪い感じはなく、ちゃんとした人で、娘もそれなりにクズならもっと心にしみる。警察に追われるカーチェイスがあまりスリリングでなく、あっさり表現されている。
娘と父の関係性の変化
娘と父の物語。
実際も親子である2人がそれぞれを演じる。
娘からみた父親、家族との関係性を史実を元に映し出す。
娘の成長につれ父から娘への愛情の変化は起こらないけれど、娘はみえる景色の変化と、幼い頃わからなかった父の暗部に触れることで起こる娘の成長物語。
父の暗部には受容できる部分とそうでない部分、娘には知られたくない父の葛藤と昔の様に大好きな父親でいたいという願望など、どうしようない父だけど娘に対する愛情だけはブレないものを感じられた。
倫理観というより娘に対する普遍的な愛情を描きつつ、娘と父との関係そして家族を、人間のもつ暗部も含め丁寧に描くことで愛情にまつわる物語として描き切ってる。
人間くさい物語でとても良かった。
Flag Birthday🇺🇸
予告編のイメージから『贋札事件』がメインなのかと思っていましたが、部分的だったのが意外でした笑😂
フィルムカメラの映像は味があって良かったです!
車のシーンや景色と一緒に音楽が流れるのが好きでした。
金銭面で無計画だったり、犯罪に手を染めてしまう父親ですが、娘が自分にとって大切な存在であり、離れていても気に掛けてあげている描写が良かったです。
家族のために普通の仕事が出来れば、もっと平和な人生を歩めたのかなと思ってしまいました。
やんちゃ親父の成れの果てだな。
ショーンペン監督主演。娘、息子さんも共演。嘘とかっこづけの半生。子供達には、憧れの親父だった。
娘さんもなんとか頑張ったが、仕方ないね。
ショーンペン監督作品は、プレッジやイントゥーザワイルドが好きだなあ。ショーンペンの不良の魅力はありましたな。
ショーン・ペンの描く人間臭さが好き
愛しているのに家族を不幸にしてしまう
悲哀に満ちた父親をショーン・ペンが
ノスタルジックな映像と劇伴で。
冒頭の8ミリ映像。
切り取られた人物や風景は
CGで加工された美しさにはない
血と感情の通った美しさ。
ショーン・ペンの視線はいつも
人間臭く激しく魅力的。
自分の中で特別であり続ける作品。
同監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」
常に自分の中にある拭えない厭世観。
意味のない生産と消費と破壊を
繰り返しているとしか思えない日々。
その自分の肩を叩いてくれた作品が
「イントゥ・ザ・ワイルド」
そんな監督が本作では娘と父を軸に。
ペンが演じるジョンに悪意はない。
彼はいつも前向きに生きている。
ただ不器用なだけ、自分にはそう見えました。
無知な子供の目には輝いて見えた父親の姿も
それなりに歳を重ねると変化が。
ジョンから映画らしい教訓めいた
何かを受け取ることはないかもしれない。
でも、綺麗事や作られた感動にはない
その人間らしい弱さや駄目さは
肯定や否定とは異なる特別な感情を…。
心の中を曝け出すだすから生きられる。
エンドロールでジェニファー・ボーゲル( Jennifer Vogel)の書いたFlim Flam Man と言う回顧録だと分かった。父親、ジョン(John Vogel)と家族についての赤裸々な思い出をここに回顧録として書いたことにより、改めて、自己を振り返り気持ちの整理ができたし、最後で許す機会を失った父親を許すことができたと思う。毒親を持つと、ましてや、お尋ね者で自殺をした父親だから、生前より、蟠りが残り許すことができなくなる。毒親でも『あの時こうしていれば、、、』と言う後悔が残ってしま
うだろう。だから、回顧録という形をとって、ジニファーは自分の内省も含めて心の中を曝け出せるし、整理もできて良かったと思う。
この映画から『ガラスの城の約束』を思い出した。両方、毒親の父親を持つが、『ガラスの城の約束』の父親の方が、机上での勉学ではなくYou Learn from livingという言葉のように娘を学ばせる教育実践が気に入って、結構映画の内容が好きだった。
「フラッグディ」はこんな父親を持って子供は大変だなとしみじみ思える作品であった。父親(ショーンペン)が1992年、アメリカ、ミネソタ州の偽札事件の張本人だとは、娘ジェニファーも、息子ニック(ホッパー・ペン、ショーンペンの息子本人)も思っていなかったろう。あの繰り返し繰り返しつく嘘、そして、何度も何度も許してきた娘だが、父親の自殺の前の時は許してあげていなかった。ここがジェニファーにとって、苦しみになった。
ただただ、父を思う気持ちがひしひしと伝わってくるが、父の行動を信じることができない娘が可哀想で。親子の信頼関係が築けないのが、なんとも言えず悲しい。こんなに父親が好きでもいつも疑っているなんて。父親が車、ジャグアを買ってあげると言って、車屋か誰かとコードの繋がっていない電話で話しているシーンは呆れるというより、ここまで娘に。嘘もほどほどにしろと大声で叫びたかった。
どんな役でもこなせるショーンペンは好きな俳優の一人なんだが、この映画は先が読めるのでつまらなすぎて、ちょっと困っちゃった。フォーカスを娘において観続けたど、それも、ジャーナリスになるため大学に行く前は、蛙の子は蛙だと思った。しかし、金がなくても、大学に入れる米国の教育と批判的思考能力のおかげで、彼女はやり直しができて、カエルの子はカエルにならないで良かった。
Olivia Vedder, Eddie Vedder, Glen Hansard - My Father's Daughter
エディ・ベンダーの娘、オリビアが歌う。
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