劇場公開日 2022年4月22日

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「劇中劇の入れ子構造を曖昧化する巧みさ」ベルイマン島にて 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0劇中劇の入れ子構造を曖昧化する巧みさ

2022年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ミア・ハンセン=ラブ監督作を「EDEN エデン」「未来よ こんにちは」と観たがあまり乗り切れなかった記憶があり、本作も途中までは入り込めずにいた。だが、主人公の女性監督クリス(ビッキー・クリープス)が次回作の脚本としてパートナーの監督トニー(ティム・ロス)に語り聞かせる内容が、劇中劇として--より正確には映画中映画だけれども--、あたかも完成した作品のようにミア・ワシコウスカが演じるエイミーが主役の映像に切り替わるあたりから俄然面白くなる。

この映画中映画のシークエンス(入れ子と考えれば内側の物語)が思いのほか長く、もちろん折に触れクリスとトニーの外側の物語に戻ってくるのだが、きちんと時間を計ったわけではないものの、体感として外側6、内側4ぐらいの比率ではなかろうか。そして終盤になると次第に外側と内側の境界が曖昧になり、ラストでは鮮やかな解決策で二つの物語がつながるのだ。この仕掛けの巧みさには大いに感心させられた。

“ベルイマン島”こと、スウェーデンのフォーレ島の景観も素晴らしく、柱状の奇岩がニョキニョキ伸びた海岸や、時が止まったような建物や風車小屋などが、作中の2組のカップルの心模様を美しく盛り上げていた。

高森 郁哉