「破天荒」アネット サムライさんの映画レビュー(感想・評価)
破天荒
クリックして本文を読む
破天荒なミュージカル映画だなあ〜とずっと最初から最後まで楽しみながら観ることが出来た。
始まり方から終わり方まで奇想天外だし、一方で描かれる物語やその結末は一筋縄ではいかない感じがして、最初はノリと勢いを楽しみながら観ていたが、やはりレオス・カラックスの映画はそんな簡単に終わるわけないかという展開を見せてくれた。
とは言ってもレオス・カラックスの作品は「ポンヌフの恋人」しか見た事ないので、改めてこの監督の他の作品も観たいと思わせてもらえた。
「ポンヌフの恋人」でも感じたが、レオス・カラックス作品の編集がとても好きだ。物語を紡ぐことにおいて、これから何が起こるんだ?と思わせられる繋ぎ方をしてくる。特徴的な技法でアクロバティックに。そんな編集を味わう度に、映画を観ていることを感じられる。
アネットがなぜ生まれたときから父親が逮捕されるまでの間、ずっと人形として描写されていたのか。
アネットはずっと父と母の操り人形として存在していて、父も母も失う=開放されるという意味で、面会のシーンで初めて人の姿になったのだろうか。そのシーンでアネットはキッパリと「あなたは私を愛せない」と言いきっているので。
ではなぜ、生まれてすぐのタイミングから人形の姿だったのか。その時はまだ父も母も幸せそうだったのに。
そもそも子どもという存在自体が、父と母のエゴから生まれた操り人形という皮肉なのだろうか?
なんにせよアネットは最後自ら決断し、自分で歩けるようになる。それがこの作品の結末なのだろう。
コメントする