「アート系ロックオペラ」アネット bionさんの映画レビュー(感想・評価)
アート系ロックオペラ
アネットはマリオネットの姿をしている。木でできた人形が、喜怒哀楽を見せることはできない。ところが、ある瞬間からアネットの表情を読み取れるようになる。アネットの心の内を推し量るがあまり錯覚したのだと思うが、アネットは間違いなく悲しげな表情をしていた。この錯覚を持ったことが幸いして、ラストを強烈に感じることができた。
全体的には、アート系ロックオペラといった趣だが、幅広いジャンルからなる楽曲と各シーンの組み合わせは抜群にいい。
ヘンリーのステージシーンでは、観客の合いの手もミュージカルに組み込まれているが、ヤジはリアルなセリフになっていて、受けているのかスベっているのかはそこで区別されている。
最初の頃は、好印象だったヘンリーが、徐々にダメンズの片鱗を見せ始める。ダメンズではなくクズ男であることが決定したあたりからは、人間のダークサイドをこれでもかと、味あわせてくれる。
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