「全然めちゃくちゃ面白いですやん。」聖地X せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
全然めちゃくちゃ面白いですやん。
亡き父が残した韓国に暮らす自称作家ニートの兄と父親の遺産を旦那に使い込まれて離婚協議中の妹が、妹の旦那のドッペルゲンガーと出会い不思議な体験をする話。
予告はJホラーだけど、どちらかというと今年入江監督がやってたドラマ「ネメシス」の雰囲気に近い。あれをもっと変な話にしたのが今作かなと。
ホラーじゃなくてガッカリした人もいるだろうけど、曰く付き屋敷のJホラーかと思えばドッペルゲンガーが現れて世にも奇妙な物語になり、ドッペルゲンガー同士を合わせないようにするくだりはコメディになったり、不思議な現象の謎を解くミステリーになったり、その先に犯罪モノの香りがしたり。ジャンルがコロコロ変わってずっと面白い。
ドッペルゲンガーの題材は見た事あるけどそいつらが合体するところは見たことないし、「言霊」ではなく「人の思い込み」によって不思議な現象が起きるという設定が斬新で面白かった。
あとは細かい演出がとても良くて、何度も倒されて水がこぼれるコップや、鏡に映ると怖い顔をしている岡田将生(本筋の話よりここが1番怖い、結局何も触れられずに終わったし笑)や、毎日違う色の服を着て登場する妹などなど。
途中に出てくる「電気羊はアンドロイドの夢を見るか?」は、いずれ消える運命にある片割れのドッペルゲンガーにレプリカントの悲しき運命を重ね合わせた演出だろうし、妹が旦那と思われる男をスーパーで見かけた時にオレンジを手にしてたのがちょっと『パラサイト』(妹が桃盗むとこ)意識してるのかな?と思ったり。
岡田将生は顔が良いのを逆手にとった変な性格の役が多くて好き(笑)