「語られずにいる物語はまだどこにでもある」グレート・インディアン・キッチン talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
語られずにいる物語はまだどこにでもある
トマト、紫キャベツ、バナナ、オクラ、ミルクなど色とりどりの食材はとても美しい。毎日毎日三食作ってさらに夫の為のお弁当。美味しい食事につきものなのは残飯の片付けと皿と鍋の洗い物とガスコンロ周りの掃除。その洗い物作業のポイントのシンクの排水管から汚水が漏れている。何度も夫に修理の手配を依頼してもやってくれない。夫は家でヨガしかやってない。濡れた残飯と汚水は匂う、臭い!何度も何度も彼女は手を洗う。でも匂いは消えない。洗濯機も炊飯器もあるけど使われることを嫌がる舅は日がな食べてるか新聞読んでる。広い邸宅、豊かな家なのにメイド居ない。二階から一階の各部屋、階段、トイレの掃除、壁に掛かっている写真の額一つ一つを拭く。夜は夜で夫中心。月に7日間だけは個室に閉じ込められて家事はしなくて済むけれど、夫や舅の目に触れてはならない。そこではゆっくりスマホでSNSを見ることができる!自分は一体なんなんだ?と考えることができる。
最後のダンスシーンは晴れ晴れと力強く希望で胸がいっぱいになった。そこで歌われていた躍動することばの数々:勇気、自由、太陽、星々、火、大地、奔流、世界、知恵、力強き女、前に進め。
そして「語られずにいる物語」はインド中の女性の心を掴んだ。以下はパンフレット(6~7ページ)からです:
Amazon Prime もNetflixも配信を拒否し本作を受け入れたのは弱小の配信会社「ニーストリーム」(顧客ターゲットは本作の舞台でもあるケーララ州民と世界に散らばったケーララ系移民)、2021年1月15日。英語字幕付きで宣伝はほぼゼロ。にも関わらず怒涛の反響。本作に衝撃を受けた主に女性の観客が自主的にプロモーションを始めた。本作を勧めるために生まれて初めて映画レビューを執筆した女性も多かったという。あまりのアクセス集中にニーストリームのサーバは数日間ダウン、その後復旧。ここにきてAmazon Primeは考えを改め2ヵ月遅れで配信開始。母語以外の映画を英語字幕で見ることの抵抗も以前ほどなくなったことも影響し、視聴者はマラヤーラム語を母語とするケーララ人以外にも広がった。そうして本作は汎インド映画となった。
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ケーララ州に始まりインド全土に広がりそして世界中の女性の心に届いて欲しい。
今晩は。何時も、ありがとうございます。
”最後のダンスシーンは晴れ晴れと力強く希望で胸がいっぱいになった。そこで歌われていた躍動することば:勇気、自由、太陽、星々、火、大地、奔流、世界、知恵、力強き女、前に進め。”
素晴らしき、お言葉。
思わず、自分のレビューの評点を上げてしまいました。
料理映画だと思ったら、インド旧弊映画に。
けれど、最後のダンスシーンがクライマックスだよな。女性は太陽なのだよ、と思いましたね。
この映画サイトは、他の素晴らしきレビュアーさん達のレビューを拝読する事で、自分が気が付かなかった点に気付き、このような場で意見を交わせることが素晴しいと思います。
寒き日々が続きますが、私は、辛い(笑い。実は楽しい。)仕事の日々を過ごす中、映画から元気を貰ってますよ。
では。