「「ありきたりなんじゃないか」と侮るなかれ」ドリーム・ホース TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
「ありきたりなんじゃないか」と侮るなかれ
私、イギリス英語が好きでして、さすがに地域ごとのイントネーションや言い回しの違いまでは判らないのですが、本作のように都会ではない場所のパブで、コンプライアンスの欠片もなく、ストレートで下品なことを言い合うおっちゃん達を観てるだけでニヤニヤしちゃうのです。
ちなみに、ジャン(ジャネット)を演じるトニ・コレットはイギリス人ではなくオーストラリアの人ですが、この人はどんな役をやらせても上手だし今回も素敵です。
なおこの映画、実話が基に作られていますが、実際トレーラーを観るだけでだいたい「こんな展開だろうな」とわかってしまいます。しかし、それ自体はあまりマイナスではなく、十分に楽しめて手に汗握ります。
実にその理由と言えるのが、まずは馬の見せ方が素晴らしい。ドリームアライアンス号が仔馬からどんどん育つ様子から、臨場感たっぷりのレースシーン(劇場鑑賞の価値あり)など、可愛いし、素晴らしいし、いつの間にか映画の中の彼らと共に応援し、結果に一喜一憂してしまいます。
そしてドリームアライアンス号の活躍と共に応援団が増え、勝てばパブに集まって呑んで歌う彼らを観てまた幸せになります。ジャンの言葉「朝起きてワクワクする毎日であってほしい」やハワードの「金のため(儲けたいわけ)じゃない」という動機に、大事なことを気づかされ羨ましくなります。
さらに物語が終わってエンドロール前に実話ベースの映画にありがちな「ドリームアライアンス号やジャン達のその後」が紹介された後、キャスト紹介の歌唱シーンが素敵。ちょっとしたサプライズが待っています。
なお、物語中も度々歌唱シーンがありますが、全般いいですね。「ブライアンが入歯をはめた」とか、その歌詞なんやねんと笑ってしまい、また元気をもらいます。
トレーラーだけで「ありきたりなんじゃないか」と侮るなかれ。良作だと思います。
※映画.comの解説、ダミアン・ルイスが演じたのは「ジャンの夫」ではなく、ジャンに競走馬を持つきっかけを与え、アドバイザー兼共同馬主になるハワード役です。夫のブライアン役はオーウェン・ティールです。