「競馬ファンのみならず、ウェールズ文化を知る資料としても最適。」ドリーム・ホース BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)
競馬ファンのみならず、ウェールズ文化を知る資料としても最適。
レースシーンはよく撮れたなと思いました。特にみんなの推し(であり主人公のジャンにとってはある意味、我が子のような)である《ドリームアライアンス》の、強烈な末脚もさることながら、他の馬についてもどうやって撮影したんだろう?と思うくらい。
正直、ストーリー自体はそこまで凝った内容かと言えば、まあよくある話です。実話ベースですが。片田舎の動物好きの夫婦が、我が子同然に惚れ込んだ馬を花形競走馬にするという内容。面白いのが、馬主となるのがウェールズの“ど田舎民”達なのですが、それぞれに決まった額を出資するという組合方式を取っている点ですね。
この辺、推しのアイドルやアーティストに金を突っ込むファン達のFCみたいなもんかと思いました。いや、実際にその後のドリームアライアンスの活躍ぶりはウェールズきっての名馬とされるようになるので、ある意味国民的アイドルという表現でも間違いではないかと。
また今作では日頃何気なく見ている馬の生まれから引退まで、わりとスピード展開ながらも非常にきめ細かく描かれていました。
怪我で苦しませるくらいなら、銃殺するか。
生き永らえる方法をとって、違う生き方を提示するのは、これまで競走馬として生きてきた馬にとってどうなのか。
いろいろ考えさせられる作品でした。
またこの作品、ちょいちょい下町風味のなかなか直接的なジョークが出てきますが、その辺がよく聞く英国式ジョークとはまた違って、非常に面白かったです。
よくよく考えたら、ここまでウェールズ文化にどっぷり触れている作品、あまりお見かけしていないかもしれません。
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